以前、うつ病関連の本を読んでいたとき「抗うつ薬の副作用として自殺企図に至る患者さんは、もともと躁的要素を持っている人、つまり双極性障害である」という文章を目にして「なるほど」と頷いたことがあります。
この報告も、その延長線上のお話しだと感じました;
■ うつ病患者の自殺予測に「躁状態の混合」確認が有用な可能性 国際共同研究BRIDGE-Ⅱ-MIX試験
(2015.9.1:MTPro)
欧米のうつ病患者2,811例を対象としたBRIDGE-Ⅱ-MIX試験の解析で自殺企図のあるうつ病患者には,ない同患者に比べ,躁状態を示す混合エピソード(mixed episode)が先行して現れていることが分かった。詳細は第28回欧州精神神経薬理学会議(ECNP2015,オランダ,8月29日~9月1日)で発表された。
◇ 既往例の40%に「危険行動」「精神運動興奮」「衝動性」
報告を行ったスペイン・Hospital Clinic De BarcelonaのDina Popovic氏らは,BRIDGE-Ⅱ-MIX試験に参加した自殺企図の既往を有する628例を含む2,811例のうつ病患者を対象に,自殺企図の予測因子を検討した。対象患者には通常の診療のセッティングで精神科医による聞き取りが行われた。今回の検討で同氏らは,家族歴や治療歴・経過の他,自殺企図の有無による行動の違いなどに着目したと述べている。
解析の結果,自殺企図の既往があった群では,既往なしの群に比べ女性,双極性障害や精神病の家族歴を有する割合が有意に高かった。
また,自殺企図の有意な予測因子として治療抵抗性や易刺激性の他,
① 無謀運転や無分別な行動といった危険行動
② 部屋を歩き回る,手を握り締める,衣服を脱いだり着たりといった同じような行動を繰り返す精神運動興奮(psychomotor agitation)
③ 後先を考えずに行動してしまう衝動性
―が抽出された。
自殺企図の既往がある患者の約40%にこうした「混合性エピソード」が見られた一方,従来のDSM-5の診断基準に合致したのは12%だった。同氏らは「現行の基準では,自殺リスクのある患者が多く見逃されたり,治療の機会を逃したりしているのではないか」と考察している。
◇「自発報告ないため,医師側の働きかけが重要」
今回の検討から「うつ病患者の自殺企図に先行して“抑うつと躁状態”の混合がしばしば見られることが分かった」とPopovic氏。一方,患者が医師にこうした躁症状を伝えることがないため,医師側が積極的な聞き取りを行う必要があると指摘する。また,効果的な自殺予防につなげるには,専門医だけでなくうつ病患者を診療する一般医を含む全ての医師による実践が必要と提言した。
この報告も、その延長線上のお話しだと感じました;
■ うつ病患者の自殺予測に「躁状態の混合」確認が有用な可能性 国際共同研究BRIDGE-Ⅱ-MIX試験
(2015.9.1:MTPro)
欧米のうつ病患者2,811例を対象としたBRIDGE-Ⅱ-MIX試験の解析で自殺企図のあるうつ病患者には,ない同患者に比べ,躁状態を示す混合エピソード(mixed episode)が先行して現れていることが分かった。詳細は第28回欧州精神神経薬理学会議(ECNP2015,オランダ,8月29日~9月1日)で発表された。
◇ 既往例の40%に「危険行動」「精神運動興奮」「衝動性」
報告を行ったスペイン・Hospital Clinic De BarcelonaのDina Popovic氏らは,BRIDGE-Ⅱ-MIX試験に参加した自殺企図の既往を有する628例を含む2,811例のうつ病患者を対象に,自殺企図の予測因子を検討した。対象患者には通常の診療のセッティングで精神科医による聞き取りが行われた。今回の検討で同氏らは,家族歴や治療歴・経過の他,自殺企図の有無による行動の違いなどに着目したと述べている。
解析の結果,自殺企図の既往があった群では,既往なしの群に比べ女性,双極性障害や精神病の家族歴を有する割合が有意に高かった。
また,自殺企図の有意な予測因子として治療抵抗性や易刺激性の他,
① 無謀運転や無分別な行動といった危険行動
② 部屋を歩き回る,手を握り締める,衣服を脱いだり着たりといった同じような行動を繰り返す精神運動興奮(psychomotor agitation)
③ 後先を考えずに行動してしまう衝動性
―が抽出された。
自殺企図の既往がある患者の約40%にこうした「混合性エピソード」が見られた一方,従来のDSM-5の診断基準に合致したのは12%だった。同氏らは「現行の基準では,自殺リスクのある患者が多く見逃されたり,治療の機会を逃したりしているのではないか」と考察している。
◇「自発報告ないため,医師側の働きかけが重要」
今回の検討から「うつ病患者の自殺企図に先行して“抑うつと躁状態”の混合がしばしば見られることが分かった」とPopovic氏。一方,患者が医師にこうした躁症状を伝えることがないため,医師側が積極的な聞き取りを行う必要があると指摘する。また,効果的な自殺予防につなげるには,専門医だけでなくうつ病患者を診療する一般医を含む全ての医師による実践が必要と提言した。