ふじいのりあき氏の『ロードバイクの科学』 は物理の単位が目白押しで、私立文型の私には理解不能な箇所も少なくありませんでした。まぁ、それでも自転車における「空気抵抗」の影響の大きさは私なりに理解できたと思っています。「空気抵抗は速度の2乗に比例して大きくなるので、時速30kmになると時速15kmの時の約5倍になります」という文章を読みながら時速30kmで走ることはどれほど大変なことかが良く分かりました。時速20kmで走行する場合のエネルギーを50W程度とすると、時速30kmで走るためには150W、40kmで走ろうとすれば300W以上のエネルギーが必要になるそうです。そしてこのエネルギーの大半(76%)は空気抵抗との戦いで消費されているというのです。
自転車に乗っていると「風の影響」は意識できますが、「空気抵抗」を意識することは少ないのではないでしょうか?F1ならダウンフォースを得るためのウイング角度調整などの話は聞きますが、自転車で「空気抵抗」を減らす為に車体であるフレームやフォークを調整することはできません。勿論、自転車のフレームやフォークはそもそも「空気抵抗」を意識して設計されており、その必要がないというべきなのかもしれません。
では、自転車競技で「空気抵抗」を減らす為の対策が全くなされていないかというとそうではありません。TT(タイム・トライアル)を見て頂ければ一目両全だと思います。通常のワンデイ・レースやステージレースの時とはバイクが違いますし、ハンドルやホイールの形状まで特殊なものになります。
バイクの違いは分からなくても、ハンドルやヘルメットが普段のレースと全く違うことは誰にでもお分かりいただけると思います。これは自転車で最も空気抵抗が大きいのが乗る人自身だという証です。ハンドルは長さが短い方が空気抵抗を減らす効果が高いそうです。ブルホーンバー(エアロバー)で前傾を深くすることで、投影面積をできるだけ小さくして、空気抵抗を減らすのが目的です。ヘルメットも流線型のフード式が主流になっています。
真円の空気抵抗は想像以上に大きなものがあるようで、人の身体の次に空気抵抗が大きいのがホイールだそうです。ZIPP社のWEBサイトのデータによるとホイールの空気抵抗は13%ということです。円柱に風を当てると背面に空気の乱流が発生し、これが大きな抵抗として作用するようです。従って投影面を真円より楕円に近づけることでこの乱流を減らすことができるので、空気抵抗を減らすことができるのだそうです。そして、TT用のヘルメットに象徴されるような流線型では乱流の発生がほとんどないので理想的な空気抵抗対策になります。 ただ、ホイールの場合はヘルメットのように単純に流線型にすることはできませんので、様々な工夫が各メーカーによってなされているのです。まず、空気抵抗という意味ではTTバイクのリアに多く装着されているディスクホイールが最も優れています。次は前輪に多く使用されているバトンホイールになります。現状ではこの2種類のホイールの組み合わせがより速く走るために使われています。
より速く走れるなら普段のレースでも使用すればいいとお思うかもしれませんが、このホイールは横方向の風の影響をもろに受けることになるので、ロードの集団走行では非常に危険なのです。それと重量が通常のホイールに比べて重いこともあります。坂が多く平均速度が高くならないTTでは前後ともハイトリムのホイールを使用することも少なくありません。これは速度の上がらない登りでは空気抵抗よりも軽さが重要になるということを意味しています。
最近のグランツールを見ていると普段のステージでもほとんどのチームがリムハイトが50mmや80mmといったディープリム・ホイールを使用しています。カーボンで相当軽くできているのだろうと思いますが、中級山岳でもディープリム・ホイールが使われているのには正直驚かされました。こうしたホイールが山岳ステージでも使われるとすれば、プロの選手はホイールを軽さではなく空気抵抗の少なさで選んでいることになると思います。まぁ、前後で数十万円というホイールはどんなに素晴らしいものであっても私には手は出せませんが・・・ ディスクホイールやバトンホイールは特殊なので競技目的以外で使用されることはありませんが、ディープリムのホイールは空気抵抗を軽減するには最適なアイテムであることは間違いはないでしょう。ただ、リムが高いほど横風の影響を受けやすくなるので、フロントのディープリム・ホイール採用は自分の技量を考える必要があると思っています。個人的には今の30mmのリムでも横風でふらつくので50mmや80mmのディープリム・ホイールになんて怖くて乗れません・・・
また、『ロードバイクの科学』によると回転部位であるホイール軽量化は全車重の1.5倍、そのさらに外周にあるタイヤは1.9倍に該当するそうです。タイヤはそのままだとしても、ホイールをSHIMNOのWH-RS20-Aに換えると前後で約200gほど軽くなるので、トータルで300gの軽量化を果たしたことになります。
さらにホイールをWH-6700にすると、スポークの扁平率が2.0-1.8-2.0から2.0-1.5-2.0へと高くなり、ホイール重量もさらに200g軽くなりますから実質600gの軽量化を果たしたことになります。理想としてはタイヤもより軽量なもので前後で200g程度軽量化できればトータルで1kgほどの軽量化にも繋がります。 とはいえホイールの軽さと空気抵抗の削減は比例するもではありません。例えばカーボンスポーク採用で軽量化を図ったMAVICのR-SYSは前後で1390gと軽量ですが、円形のカーボンフォークは径も大きい為、空気抵抗が非常に大きいというデータがあります。空気抵抗を考えるならSHIMANOのWH-7900-C24-CL(前後1395g)がコストパフォーマンス的にも優れています。ただ、乗り心地の良さはカーボンスポーク採用のR-SYSが明らかに上なので、この辺りは用途に応じて選ぶことになると思います。
WH-6700はスペックを見る限りWH-7900-C24のDNAを引き継いでいるように見えます。リムがカーボン・ラミネートでハブがチタンという材質的な違いはありますが、スポークを含め形状的な違いはないようなので、空気抵抗と云う面ではWH-7900-C24に近いものがあると見ています。
ホイール(スポーク)が たわむ感じがしてパワーが全然 伝わらない感じでした。
ケイデンスを上げてもスピードが上がりませんでしたから、自分には最悪なホイールでした。
アルテグラのホイールの方がスピードも出ましたし、快適でした。
そう考えると軽量ホイールやカーボンホイールが必ずしも快適とは限らないと思います。
いかに自分に合ったホイールを選ぶかですね( ̄▽ ̄;)