今年はポガチャルを乗せて大活躍したコルナゴが年の瀬に来てY1Rsという新型エアロロードバイクを発表して話題になっています。昨年来エアロロードの話題を独り占めしていたのはCANYONのAEROAD CFRでした。過去に世界最速バイクと言われたスペシャライズドのVENGEをエアロ性能で上回るというデータが示されたのですから。
その一方でグランツールを勝ちまくり、世界選手権や2つのモニュメントまで征したのはコルナゴのV4Rsでした。このバイクはスペシャライズドのターマックやTREKのマドン同様純粋なエアロロードではないのです。いわゆるオールラウンドなエアロロードと呼ばれている製品です。それでもコルナゴがエアロに全振りしたY1Rsを開発し、今回提示されたデータが確かだとすれば、これはとんでもないエアロロードだということになります。
ヨー角が-12.5度の時のCDA値が0.05とV4Rsと比べ0.25も小さいというのです。ヨー角とは自転車速度と風速の合わさった結果として、自転車乗車者が経験する相対的な風の角度です。ホイールなどの抗力(空気抵抗)はヨー角によって変わるといわれているのです。CannondaleのエアロロードのSystemsixの最小値が0.055ですから、この数値は驚きです。ヨー角が0度のCDA値は0.625程とSystemsixと差はないので、Y1Rsは横風に強いエアロロードといえるのかもしれません。自転車速度40km/h、風速8m/sそして風向角度30°の場合にヨー角は12.5度になる計算です。
ただ、コースは平地ばかりではありません。下りに関してはエアロ効果はプラスに働きますが、登りではどうかというのがエアロロードの最大の課題になります。登りはスピードが落ち、重力が大きな抵抗になって来るからです。
登りの速さを決定する指標は「パワーウェイトレシオ」になります。体重に対してどれほど大きなパワーを発揮できるのか、サイクリストが最も好む指標です。例えば体重80kgで400W出せるライダーのパワーウェイトレシオは5.0W/kgですが、体重50kgで300W出す人のパワーウェイトレシオは6.0W/kgになります。登りで競争すれば後者のライダーが速いことになるのです。
このように重力に抗うことになる登りではライダーの体重やバイクの重量が極めて重要になるのです。ただ、パワーウェイトレシオと勾配の関係は、空気抵抗を無視しています。ヒルクライムにおいて軽量バイクが好まれることは間違いないのですが、「軽さ」は速さを決定するための数ある要素の1つに過ぎません。
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