細いパイプのホリゾンタルフレームには100年以上にわたり存在し続けている理由があるのです。時代はアルミからカーボンへシフトしてもクロモリフレームは存在し続けているのですから。先日、コルナゴから新しいクロモリロード“STEELNOVO”の限定販売が発表されました。コルナゴといえばポガチャルのV4Rsが注目されていますが、イタリアの老舗スチールバイクメーカーでもあるのです。
クロモリフレームの老舗といえばパナソニック・Fuji・Araya・GIOS・COLNAGO・DE ROSA・Raleighの7社が有名です。コルナゴ(Colnago )は、イタリアに本社を置く自転車メーカーで、今や世界屈指のライダー、タディ・ポガチャルが使用しているV4Rsが有名ですが、ロードレース用フレームビルダーとして、2013年までに140以上のチーム、2,500人を超えるプロ選手に自転車を供給し、7,000勝以上を挙げているロードレース界の老舗中の老舗なのです。
ただ、アルミからカーボンフレーム全盛期へと移行する波に飲み込まれ、コロナゴの名声はポガチャルがV3Rs で2020年にツール・ド・フランス初優勝を飾るまで、スペシャライズドやTREKといったアメリカのメーカーの躍進にかすんでしまっていたのです。
どうしてもクロモリと言ってしまいますが、厳密にはクロモリとスチールは同じ鉄でも微妙な違いがあります。スチールは鉄に炭素を微量に含んだ合金で鋼鉄や普通鋼や炭素鋼などと呼ばれることもあります。クロモリはこの普通鋼にクロムとモリブデンを混ぜた合金で、スチールさらに加工した特殊鋼なのです。
クロモリはスチールよりも強度や引っ張り強度、粘りがあります。振動吸収性に優れ、バネ感のある乗り心地が特徴です。熱処理調質することで高強度が得られ、500℃程度の環境下でも強度が低下しにくいという特徴もあります。
つまりクロモリはスチールの進化系ということになるのですが、敢えてコルナゴがスチールロードと呼ぶのはスチールフレームメイカーとしての矜持があるからでしょう。おそらくパイプはクロモリのはずなのです。
クロモリロードはフォークも細くベンドしたクロモリで、ブレーキもリムブレーキがほとんどです。個人的にはベンドしたクロモリフォークの形が好きです。CAAD10のフロントフォークはややベンドしているのですが、CAAD12からはストレートフォークになってしまいました。