ボルテックスジェネレーターがリムからの気流剥離を抑え、層流がより長くリム表面に留まることで、角度がついた風によって前方への推進力が生まれる「セーリング効果」が最大化されることが、このタイヤがもたらす最も大きなアドバンテージなのです。コンチネンタルが公表したGP5000との比較データでは、あらゆる角度において抵抗の減少が示されているのですが、風の角度が大きくなるにつれ、その差は大きく広がっているのが良くわかります。
AERO 111が最も効果を発揮するのは速度が”遅い”ときです。速度が遅くなると、タイヤとリム側面に対して、斜めから風が流れてくる可能性が高くなります。フロントタイヤで削減できる空気抵抗は1~2W程度なのですが、リムに対して空気の流れが斜めになる場合は10W以上抵抗が削減できる可能性があるというのです。
従って、AERO 111の恩恵が得られるのは決してグランツールに出場するような速いライダーだけでなく、様々な速度域で走る人の中でも比較的遅いサイクリストにこそメリットがあるようです。タイヤにパフォーマンスを求める全てのライダーにとって、AERO 111を使うことでさらに速く走ることが可能になるのかしれません。
これまであまり無かったアプローチでタイヤのエアロダイナミクスを向上させたAERO111ですが、タイヤとして重要な転がり抵抗やグリップ、耐久性といった要素もなおざりにされてはいないようです。コンチネンタルの誇るハイエンドレーシングタイヤであるGP5000Sに用いられたテクノロジーとマテリアルを承継し、トップレベルのレーシングタイヤに相応しい性能を確保しています。
ナノ・カーボン粒子によって異次元のしなやかさと高いグリップを生み出すブラックチリコンパウンド、鉄の約5倍の引張強度をもつベクトラン製のアンチパンクレイヤーや、異物による損傷を抑えるためパンク防止層がビードまでを覆う強固なカーカス設計などはその最たるものです。
タイヤの性能に空力という新たな軸を加えたAERO111。サイズおよび重量は26㎜が248g 、29㎜が280gとなり、フックレスリムにも対応するようです。チューブレスレディのみの展開となり、価格は19,800円(税込)。入荷時期は2025年の1月以降を予定しているとのことです。
輸入代理店のMIZUTANIのWEBサイトには29㎜のサイズか表記がありませんので、26㎜サイズが正規輸入されるかどうかは不明ですが、もし26㎜サイズが手に入るのならSupersix EVOのHollowgramR45のフロントに装着してみたいと思っています。