「同一メーカーが同一のコンセプトで作った方が高性能を発揮する」というコンポーネントという概念を積極的にリードしたのはカンパニョーロの創業者であるトゥーリオ・カンパニョーロでした。今では当たり前になったコンポーネントという概念ですが、1950年代まではブレーキはブレーキの専門メーカーが、チェーンホイールはチェーンホイールの専門メーカーが作るのが当たり前だったのです。
シマノは後発メーカーでしたが、1990年に手元での変速を可能にしたデュアルコントロールレバー(STIレバー)を発表し、ヨーロッパでの市場を徐々に広げて行くのです。そして1999年のツール・ド・フランスでランス・アームストロングがDura Aceで初めて勝利し、シマノはようやくカンパニョーロと肩を並べる存在となるのです。そのシマノが今や世界NO.1のチームと選手にコンポを提供する存在にまでに成長したのです。
これでUAEチーム・エミレーツは今後シマノから正式供給を受ける形になります。発表の中で「今後4年間、プロサイクリング界の2大巨頭が団結し自転車の可能性を再定義します。(中略)チームはDURA-ACE DI2グループセットを含むシマノの最先端製品を使用し、チームに最先端のシフトとブレーキング体験を提供します」と語られているのです。
チーム代表のマウロ・ジャネッティ氏は「シマノとのパートナーシップを開始できることを大変誇りに思い、興奮しています」と言っています。「私たちは革新的なチームであり、常に最先端機材を使い結果を出すことを望んでいます。最高レベルで競争するには、最高の機材を使用し、専門知識を組み合わせる必要がある。今後数年間で素晴らしい成果を達成できると感じています」とも加えています。
シマノの執行役員で、バイシクルコンポーネンツ事業部 企画部長を務める島野勇三氏は「UAEチームエ・ミレーツとの4年間のパートナーシップは、技術革新への長期的な取り組みを意味しています。私たちは近い将来にサイクリング技術を前進させる包括的なパフォーマンスソリューションを設計しています」と述べています。
シマノのコンポーネントはグランツールやワンデークラシックを含めて2024年に80以上の勝利を収め、その中でも筆頭がタデイ・ポガチャル擁するUAEチーム・エミレーツです。さらにはファンデルプールとフィリップセンでモニュメントを3勝しているアルペシン・ドゥクーニンクもシマノのコンポですから、ポガチャルの2つを加え、モニュメントの完全制覇となります。「プロのレーサーであれ、週末の愛好家であれ、このパートナーシップは人間のパフォーマンスと卓越性の絶え間ない追求の証です」とプレスリリースの最後に綴られているのが印象的でした。
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