少し慣れてきた頃、ボランティアの人たちが来て、病院内でコンサートがあった。
私は時間が空き、退屈なので行くことにした。
こういうコンサートは演奏する人たちの自己満足でやっているのではないか、と日頃考えていた。
ホールに行ってみると、沢山の人が集まっていた。大半の人は片手片足が動かず、私と同じで車いすで来ている。
なかにはひとりでは来ることは出来ず、看護婦さんと一緒の人もいた。
いよいよ始まった、ギターを持った男女が楽しそうに歌い始める。
聞いている人たちも、不自由な手で、手拍子を打っている。
上手に声を出せないのに口ずさんでいる人もいる。
何か違うぞ と思った。
今までの自分は、元気だった、でも今は、患者の一人だ。
入院した時は、ここにいる人たちとは違うのだ、と思っていた。
というより、見下していた。
マヒは無いし、口もきける、顔の表情だって普通に出せる、ただ、歩くのが下手なだけだ、と思っていた。
そうではない、ここにいる人たちは皆、頭のなかの一部が壊れただけなのだ、同じなのだ、と気がついた。
すると、急に周りの人たちとの距離が近くなった気がした。
いつの間にか、気楽に手拍子をするようになっていた。
入院していた時のことをときどき思い出す。
今はあの頃のことは、僕の 大好き になった。
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私は時間が空き、退屈なので行くことにした。
こういうコンサートは演奏する人たちの自己満足でやっているのではないか、と日頃考えていた。
ホールに行ってみると、沢山の人が集まっていた。大半の人は片手片足が動かず、私と同じで車いすで来ている。
なかにはひとりでは来ることは出来ず、看護婦さんと一緒の人もいた。
いよいよ始まった、ギターを持った男女が楽しそうに歌い始める。
聞いている人たちも、不自由な手で、手拍子を打っている。
上手に声を出せないのに口ずさんでいる人もいる。
何か違うぞ と思った。
今までの自分は、元気だった、でも今は、患者の一人だ。
入院した時は、ここにいる人たちとは違うのだ、と思っていた。
というより、見下していた。
マヒは無いし、口もきける、顔の表情だって普通に出せる、ただ、歩くのが下手なだけだ、と思っていた。
そうではない、ここにいる人たちは皆、頭のなかの一部が壊れただけなのだ、同じなのだ、と気がついた。
すると、急に周りの人たちとの距離が近くなった気がした。
いつの間にか、気楽に手拍子をするようになっていた。
入院していた時のことをときどき思い出す。
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