21世紀 脱原発 市民ウォーク in 滋賀

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勢いを失っていない 世界の 原発建設

2020-04-01 16:55:20 | 記事

《第85回・脱原発市民ウォーク・イン・滋賀のご案内》

次回の脱原発市民ウォークを4月4日(土)午後1時半からおこないます。
集合場所はJR膳所駅前の広場です。だれでも自由に参加できます。
ご都合のつく方はぜひご参加ください。

■■ 福島第一原発事故後も勢いを失っていない世界の原発建設 ■■

福島第一原発での大事故の後、脱原発へ舵を切って電源に占める再生可能エネルギーの比率を高めている国々が出現しています。たとえばドイツでは昨年、全発電量に占める再生可能エネルギーの割合は46%に達しています。また自然エネルギー財団によれば、2018年における再生可能エネルギーの比率は、デンマークが69%、英国が33%、中国が26%、フランスが19%、インドと米国が17%、日本が16.9%であるとされています。しかしながら、原発建設が世界的に福島事故以前に比べて勢いを失っているというわけではありません。

原子力安全委員会による「平成29年度版 原子力白書」の「世界の原子力の基本政策と原子力発電の状況」と題された章において(注参照)、世界における原発建設の現状を示す資料が示されています。以下にその内容の概要を紹介いたします。

(注:http://www.aec.go.jp/jicst/NC/about/hakusho/hakusho2018/s6.htm )

《全体的状況》

上記の原子力白書において示されている「世界の原子力発電の現状(2018年3月末時点)」と題された一覧表の内容の概要は以下のとおりです。

世界の原子力発電設備容量は2018年1月末時点で、運転中の448基の原発で、3億9305万kwに達しており、建設中、計画中のものを含めると総計663基、6億1795万kwに達するとされています。一方、現在建設中の原発は57基、計画中の原発は158基あるとされています。これらの数値から計算しますと建設中の原発と計画中の原発が将来すべて稼動されるに至ったと仮定すると、原発の発電設備容量も原発の数も現在の約1.5倍にも達することになります。また、現時点では世界で40の国が原発を運転中であるか、原発を建設中であるか、あるいは原発建設を計画しています。
 
すなわち、福島第一原発の事故後には、脱原発の政策を決定したドイツのような国もありますが、一方においてアジアの国々を中心に57基もの原発が建設中であるのです。また、2011年以降でも、世界で42基もの原発が営業運転を開始しているだけではなく、37基もの原発の建設が開始されています。

前述のように、現在建設中の原発は世界で計57基、計画中の原発は世界で158基ですが、これらの原発の大半は中国、ロシア、インド、米国で占められています。すなわち建設中の原発は中国が20基、ロシアが6基、インドが6基、米国が2基であり、計画中の原発は中国が39基、ロシアが28基、インドが19基、米国が14基、英国が11基です。また、この原子力白書のデータでは、日本は建設中が2基、計画中が9基とされています。

《新たに原発を保有しようとしている国》

これらの40の国のうち、現時点では原発を保有していないものの、現在原発を建設中あるいは原発を計画している国が9カ国あります。すなわちアラブ首長国連邦は4基の原発を、ベラルーシは2基の原発を、バングラデシュが1基の原発を建設中です。また、ポーランドは6基、トルコは4基の原発、バングラデシュは1基、ベトナムは4基、エジプトは2基、ヨルダンは2基、インドネシアは1基の原発建設を計画しています。これらの原発の大半は実質的に原発先進国による原発の輸出によるものだと考えられます。

《脱原発政策を採っている国》

一方、2017年現在、脱原発政策を採っている国は、経産省の資料(注参照)によれば以下のとおりです。

・2011年以前に脱原発を実現し、現在利用していない国:イタリア(1986年閣議決定、
 1990年に閉鎖)、オーストリア(1979年に法制化)、オーストラリア(1998年に
 法制化)
・2011年以前に脱原発政策を採った国:ベルギー(7基:2003年法制化、2025年に全廃)
・2011年以後に脱原発政策を採った国:ドイツ(7基:2011年法制化、2027年に全原発を 閉鎖、韓国(24基:2017年閣議決定、原発への依存度を漸減させる)、
 台湾(6基:2017年法制化、2025年に全原発を閉鎖)、スイス(5基:2017年法制化)。

(注)
https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/tokushu/nuclear/sekainonuclear.html

《原発推進を続けている国々を中心とした、主な国における原発政策の現状》

米国:米国は世界一の原発利用国であり、2018年2月末の時点で99基の原発が稼働しています。1979年に起きたスリーマイル島の原発事故の影響で原発の新規発注は途絶えていましたがブッシュ政権下で原発推進政策が打ち出されたため、建設が再開され、2016年に1基が商業運転を開始。2009年に発足したオバマ政権もクリーンエネルギーとして原発利用の拡大を支持、2018年2月の時点で米国原子力規制委員会は7件、12基の原発建設を許可しています。しかし、シェールガス革命により天然ガス価格が低下しているため原発の経済性が相対的に低下しており、一部の原発建設計画は取り下げられています。その後、2017年6月、トランプ大統領はエネルギー週間の演説で、原発は炭素を出さないクリーンなエネルギー源であるとして、原発の再興と拡大を開始する意向を示しています。

◆中国

中国では電力需要の増加と石炭利用による大気汚染問題に対応する観点から、福島第一原発事故の後しばらくはペースを緩めていたものの、原子力発電の拡大が図られています。現在運転中の原発は38基であり、設備容量(発電能力)は3000万kwを超えています。更に20基(約2155万kw)が建設中です。中国は国産の第三世代の原子炉の開発を進めるとともに、クローズドサイクル(使用済み燃料の再処理による利用)の実現に向けた高速炉(高速中性子炉)の開発も進めており、実験炉がすでに作られており、2017年12月には実証炉の建設が開始されています。また中国は近年、原発の輸出を積極体に進めており、すでにパキスタンに輸出しているだけではなく(カラチ原発)、英国での原発新規建設へ中国企業が出資する予定であり、中国国産の原子炉の供給も行われる見通しです。

◆ロシア

ロシアでは2018年2月の時点で、36基の原発(うち2基は高速炉)が運転中であり、総発電量の約15%を供給しており、現在6基が建設中です。2010年に決定されたロシアの「連邦重点プログラム」では、2050年までに総発電量に占める原発の割合を45~50%とする目標が掲げられています。その後、2016年には、2030年までに現在建設中のものに加えて11基を建設する方針が決定されています。またロシアは原発事業の海外展開を積極的に進めており、旧ソ連圏以外のイラン、中国、インドでロシア型原子炉の運転を開始させているほか、トルコやフィンランドなどにも進出することが決定されています。さらに、クローズドサイクル実現に向けて高速炉でのMOX燃料の利用を進めています。

◆インド

2018年2月時点で、インドで運転中の原発は7カ所、合計22基であり、総出力は622万kwです。インドでは急増するエネルギー需要を賄うために原発利用の拡大を計画しており、原発による総発電能力2032年までに6300万kwにまで拡大し、2050年までに総発電量の25%を原発で賄うことを計画しています。インド政府は2017年に国産原発である天然ウラン重水炉(PHWR:加圧重水炉)10基の新設計画を承認しており、今後は原発の拡大が進むと考えられます。また高速増殖炉の開発・導入が進められています。

◆英国

英国では2018年2月時点で、15基の原発が稼働中であり、総発電量の約20%を占めています。英国では1995年以降、原発の新設は途絶えていました。しかし、北海ガス田の枯渇や気候変動が問題となるなか、2008年1月に原発新設の推進を盛り込んだ「原子力白書」を発表、次いで同年11月に制定された原発新設に係る許認可プロセスを効率化することを内容とする法律に基づき、政府は国内8カ所に原発を新設することが記載されている原発に関する国家政策声明書を策定し、2011年7月に議会の承認を得ました。2016年の国民投票後に発足した新政権も、これまでの原発推進政策を踏襲しており、2017年11月に公表した産業戦略では、英国の生産性向上のために原発が不可欠であると位置づけられています。このため、2017年12月の時点では、国内5カ所において計10基の原発新設計画が進められています。

◆フランス

フランスでは2018年2月時点で58基の原発が稼働中であり、総発電量の約7割が原発で賄われており、米国に次ぐ原発大国です。2006年の原発政策に関する国民討議を経て、2007年12月以降、10年ぶりに新原発の建設が進められています。2012年に発足したオランド前政権は、総発電量に占める原発の割合を2025年までに50%に縮減する目標を掲げており、2017年に発足したマクロン新政権もこの方針を踏襲していました。しかし、送電系統運用株式会社(RTE)が同年11月に、原発による発電量を50%にまで縮減するためには、既存の石炭火力発電所の維持とガス火力発電所の新規建設が必要との分析結果を示したために、減原発目標の達成時期を2025年から先送りする方針を発表しました。エネルギー転換法では原発による総発電量の上限を現行の6320万kwとすることが規定されているため、EDF(フランス電力公社)は2018年末に予定されている新原発の運転開始に伴い、国内最古の原発2基を閉鎖することを決定しています。マクロン政権も、フランスの原子力事業者の海外進出を支援することを方針としています。

2020年3月31日

《脱原発市民ウォーク・イン・滋賀》の呼びかけ人のひとり:池田 進

連絡先:大津市木下町17-41 
電話:077-522-5415
メール:ssmcatch@nifty.ne.jp


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