最澄が持ち帰った法華経は天台宗の根本経典であり、
釈尊が直接説法をおこなう形で
28のストーリーが展開するもので、
このストーリーの区分には色々な解釈があるようですが、
説法がおこなわれた場所に分けてみると
3部の構成からなるとする意見があり、
最初は釈尊の聖地霊峰であった霊鷲山での
山上での説法集会であり、
最後は地上での集会、
その間で展開したのが
霊鷲山の虚空に浮かんで現れた宝塔における
天空での集会でした。
「見宝塔品第十一」(11番目のストーリー)では、
法華経を説く釈迦の前に燦然と輝く塔が
地から湧き出して空中にそびえ立ち、
塔中に座した多宝如来が十方世界の諸仏を集め、
多宝如来は塔中の一座を譲って釈迦とともに
並んで結跏趺坐してさらに説法が・・・
その時、無量無数の光が放たれ
法華経の功徳があまねく世界に広がって・・・
法華経千巻が収められた宝塔は
天台宗の法華経世界を現実のものにするためには
必須の施設であったことが理解されます。
竈門山(宝満山)の宝塔院は
今回調査された34次地点のものがそうであれば、
まさに地上から山中に至る間の
虚空に浮かぶが如くの峰上にあり、
立地としては法華経の世界を読み解くと
最高の場所にあるといえるようです。
山頂の手前の頂が推定宝塔院跡