居間塵(imagine)

居間塵、と書いて、イマジン。その日その時、流れゆく時の川から、思いつくままに掬いあげる。絵図とポエムの棚

残る

2012-11-15 23:37:21 | ポエム

残る

 

 

きのうは
すこしのこるけれど
あしたはまるっきり
のこっている
あしたになると
きのうはまるっきり
のこっていない

きのうとあしたと
のこるものがいれかわる

のこるものは
まいにちかわる

えっ?

そのうちメハナダチというものが
君からあなたへ
あなたから彼へ
彼から自分へ
自分から君へ

ひとまわりするころに
薔薇は枯れて
ススキの穂が風でとばされて

えっ?

ここまできて
なにがのこった?

あしただけがのこった

のこった
のこった

相撲だったら
おもしろいね

 


マルテの手記

2012-11-14 17:09:53 | ポエム

マルテの手記(*1)

 

この本を読んだら
なにかが解るかもしれない
とおもって読んだ
昔々その昔
学生服を着て歩き
でかんしょでかんしょではんとし暮らす(*2)
あとのはんとしゃ寝て暮らす、と
どなっていた頃
どくしょどくしょと
うなっていた頃
読書のことがかいてあった
おんなじようなことを
マルテがかんがえて

読書に熱中するくだりがある
大人とみなされて
予期しない経験に出くわしたとき
みがまえること
それは大人用の経験だから
手に負えなかった
むしろその経験は
子供時代の経験に
おいしい栄養たっぷりのミルクが
どっさりある場所を
おしえてくれた・・・

大人の知恵がはじまらないと
子供の知恵も終わらないことが
感じ取れたという

でかんしょをうたわなくなっても
大人と子供の間を行き来して
かなりの読書をこなしたが
大人か子供かはっきりしない
いまよれよれの脳の襞に
こっそりとかくれて
何とかの手記なんてものを
かいているのだろうか

パルミジャーノ・レッジャーノが
チーズとしてはおいしいけれど

 

                                           

                                            (*1)リルケ作
                                            (*2)デカルト・カント・ショーペンハウアーを合成した歌言葉

 

 

 


                                               

 

 

 


Solamente Una Vez

2012-11-12 11:45:07 | 絵と音楽

Solamente Una Vez

 

ソラメンテ・ウナ・ベス
Los  Panchos
キョウト カワラマチ ロッカク
カフェ サンカクドウ
ラテンミュージック
京都時代のいきつけのカフェ
もうかき消された街の景色だ

クローズまでねばって
うちでは聴けないステレオを
あかずに聴いていた

ショートしてこげた仕事は
あっけなくて
それでも
ソラメンテ・ウナ・べス
仕事は火だるま

硝煙のまなかでもみみについた

五月雨式に
解放区にすんで
キョウト カワラマチ ロッカク

ニッポンの裏側の音楽だから
いま聴いても遠い曲だが
かすれながらもいいおとがする

ストリート・カ―が
ごわごわごおおおおおと
カワラマチのどまんなかを
わがもの顔ではしっていたよ

常日頃はどわすれしている風景だ


まっしろになる

2012-11-11 18:11:33 | ポエム

まっしろになる

 

まいにち
まっしろになる
なにが
あたまのなかが
まっかにならないで
まっしろになる
どうして?
それがわかっていたら
まっしろにならない
いろえんぴつもってるの?
6しょく8しょく12しょく
でもしろいろのほかは
かけません
すべて1しょくのようです
ぶんぼうぐてんが
まちがえたのですか?
いいえ、りっぱなぶんぼうぐてんですが
しろいがいのいろえんぴつには
せっちゃくざいでカバーがつけてあるのです
不毛というカバーが
野望というのもあります
因縁とか暗黙とかいうのもあります

だからしぜんに
あたまのなかで
うつくしい白鳥が
そだっていきます


別途

2012-11-11 17:33:33 | ポエム

別途

 

あ あの日に
目に入らなかった
そんな行方が
オプションではなくて
状件だったのか
ちゃんとはじめから
そうなったらこうなると

えらべという
上下左右に斜めがついている

なんのはなし?
だから、若者の話
上下ピッタリを
別途買い
老いなば斜めでいいのだが

別途はペットでもある
そんなニュアンスをもっている
面倒見ないと大変なことになるが
それも別途のうちだろう

別途を有効にするもしないも
自由だけれど
別途は事故を起こしやすい

 


電車道

2012-11-10 19:58:50 | ポエム

電車道

 

夜の9時頃に
なんとなく散歩する
人通りのない電車道
空気が冷えてくると
よれよれのアスファルトに
だんだん近づいてくる
ハイヒール
コンなのかカンなのかケンなのか
若い歩幅がおいついてくる
コンコン カンカン ケンケン
昔 戀をしていた時
待ち焦がれたおとだ

戀をおいてきぼりにした今
コンカンケンをあつめて
コツコツ コツコツにビブラートがついて
いい音がするものだと
ほれぼれしていると
しせいのいい赤い薔薇が
おいこしていった

たちどまって
星の少ない夜空をみて
またビブラート付きのコツコツコツに
傾聴する

電車はこない電車道を
かたちだけ残っていた戀の手をひいて
道連れにしてあるく
ベートーヴェン・ピアノソナタ「月光」が
いいねえ きれいだねえ 

ほんとうにそうでしょうかねえ


渇くのど

2012-11-10 13:12:48 | ポエム

渇くのど

 

 

のどがかわいたので
セットしておいたレモンのジュースを少し飲んだら
ずいぶんとあかるいふんべつがついて
ある日きっと返事がくる手紙のことを
おもいだした

   人文学の論文の下書きにつかえるとおもった

ガキのころ
おやじにしかられて
そのまま家出したという経験もないが

   ハートウォーミングして運転している僧侶のドライヴ

ダチのいえにいつづけしたことはある

  燃えるシーズンのファッションだ

アシガルはなんでも言いつけられる
それがアシタの正体だ

  時には夢幻の下絵にウツツをぬかす

春  街なかのちいさな産院の窓を見た
夏 遠浅で透明な湖で水遊びした
秋 枳愨の生け垣にもたれた
冬 継貼りの靴下をはかされた

ナースがかたずをのんで見送る
ササヤキがきこえるときもあった

   誕生日にならない日もあるのだろうか

間断なく生まれ間断なく死ぬ
30分で生と死をすます昆虫もいるだろう
30分、餌だけたべるとサヨナラをする

   猛烈に短い映画は30分でおわる

遠雷が鳴り黒雲がスピードをあげる
自然は無鉄砲な人のようだ

いつもの海辺か?
点々とした足跡がある

 

 


愛のゆくえ

2012-11-08 13:46:02 | ポエム

愛のゆくえ

 

ざっとふるような雨
傘をさしかけてくれる
まばゆいクロスオーバー

きっとかるく顔みあわせて
驚きとはにかみと照れくささとが
傘の下で火花のように
激震をまねくだろう

それから雨はすぐやんで
愛の傘はとじられる

   どちらまで?
   帰宅します
   あなたは?
   おなじです

有難うございましたといって
ステーションにむかう
しばらくは薄暮のなかで
能面のようになる

愛なんかしらない電車は
いつものように
怪鳥みたいにとんでゆく

閉じられた愛の傘は
ポタポタ雫をおとして
地下鉄のなかで直立している

雨に 濡れた 愛 が
明日 乾く だろう

それは 愛 ではなく
ひろげたり、とじたりできる
あの落書きにもつかわれる
傘だったのか
それとも
ぬれたりかわいたりする
脇の下のくすぐったい感触?

 


白いゆび

2012-11-07 14:45:29 | ポエム

白いゆび

 

へやがくらいので
ゆびがかがやいて

いつものうえで
よこのほうこうにひかる今夜のほしたちが
へやのかべのうえで
つめたいエアーのちぶさになる

それからすこしのあいだ
とりたちがベッドのうえで
はしやいで
ひとすじのしせんをくぎづけにする

あさまでのひとりぼっちのページのうえでも
はねまわる

そらのいちばんふかいところは
いまたくさんのひえた溶岩が
いってんをめざして
ふりそそいでいるとしたら
その光年のながさは
こんなちいさなひとりぼっちのへやまでは
とどくこともないが
たったいちどでおわる
いきもののいのちのまえにでてきて
もえつきるのが
見たい

ひとりぼっちの空間に
なにかが
ただよってくるけれど
めにはみえない

幻影はないほうがきらくだ
強力脱臭剤でも撒こう