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読書メモ「古代氏族の研究13 天皇氏族 天孫族の来た道」(宝賀寿男、2018年)

2024年10月26日 09時25分07秒 | 歴史

読書メモ「古代氏族の研究13 天皇氏族 天孫族の来た道」(宝賀寿男、2018年)

 

足立倫行氏の書評から引用。

ヤマト民族の基盤は3層の集団である。倭地に最初に定着した犬狼トーテム種族(山祇=やまづみ族)。次に稲作・青銅器を伴った竜蛇トーテム種族(海神族)。最後に鉄器を持ち太陽神祭祀の鳥トーテム種族(天孫族=天皇家一族・物部・息長氏族など)

伊都国が天孫族なら、「国譲り」した葦原中(あしはらなかつ)国(筑前那珂郡)は隣接の奴国になるが、奴国王は後漢から金印を授与され、印鈕は蛇(竜蛇トーテム)だった。

天皇家の父系源流殷王朝の流れを汲むツングース系で、鳥トーテミズム・太陽神信仰・鍛冶技術などを持ち、平壌あたりの箕子(きし)朝鮮半島南部の洛東江流域を経て、紀元1世紀前半頃に九州北部に渡来した。

始祖・五十猛(いたける)神(スサノヲに相当)以降の動向。

松浦半島から筑後川中流域の御井(みい)郡(福岡県久留米市)に移り、そこが高天原(邪馬台国の前身)。4代目のニニギは筑前怡土(いと)郡(福岡県糸島市)に移り支分国を作った(天孫降臨)

伊都国(糸島市)には、日の出の方角には日向(ひなた)峠や日向山があり、記紀でいう天孫降臨(北東アジアでは始祖の地域移遷を指す)の地「日向」の地である。

その孫・神武は庶子だったので、2世紀後半に新天地を求めて小部隊と大和へ向かった(神武東征)

奈良盆地には、神武の前に同じ天孫族のニギハヤヒがすでにいた。しかも神武は緒戦で破れ、兄(五瀬命)を亡くし、ニギハヤヒが敵将長髄(ながすね)彦を裏切った末の薄氷の勝利(八咫烏・金鵄は天孫族の鳥トーテム)だった。(引用以上)

 

天皇氏族(天孫族)の三つの流れ。天照大神の諸子の後裔。

高天原から天孫降臨した瓊瓊杵尊の流れ。

天孫族の本拠高天原(筑後・久留米市)からの支分国となる筑前怡土の王家が嫡統だが、いずれも九州では消息不明となる。神武以降の皇統と分岐した諸氏は、多氏、阿倍氏、葛城氏や丹比氏以下の真人姓諸氏。新羅へ渡った神武の兄・稲飯命の裔と称する朴氏(新良貴氏)。

先に高天原から派遣されて天降った天若日子(天津彦根命)の子の天目一箇命の流れ。鍛冶神・天目一箇神系は中央の物部氏、鏡作氏。天穂日命の後裔という出雲国造、土師氏、武蔵国造、額田部氏など。天津彦根命の後裔という三上氏、凡河内国造、山背国造、穴門国造、蒲生稲置

天目一箇命の兄弟の少彦名神の流れ。宇佐国造・息長氏系の諸族(蘇我氏、紀氏などを含む)。

阿蘇・火・筑紫などの国造。忌部氏・玉作氏、服部氏・倭文氏・麻績氏など。鴨県主・三野前国造、葛城国造、弓削氏など。

主要三種族の特徴。天孫族のトーテムは鳥、熊、猪海神族は大己貴神・大物主神・宗像神、長・葦などの地名。山祇鏃は九頭竜神・丹生神。犬・狼・月神・北辰・妙見信仰

神武は筑前怡土から紀の川を遡上して奈良盆地南部を押さえた。治世はAD175年~194年。その後330年ごろまで北九州と畿内に王権勢力が併存した。景行天皇により邪馬台国勢力は350年ごろに滅ぼされた。崇神天皇のころは本州主要部が版図で西は吉備・安芸が西限。

天照大神は男性神で、神武の4代前。久留米の邪馬台国国王。天孫族の始祖は五十猛神・イタケル。度津(ワタツ)神。半島南部から渡る。

鉄鍛冶。支石墓。積石塚。朝鮮系無文土器。三種の神器のルーツは殷の王族末裔の箕子朝鮮。天孫族は箕子朝鮮の流れを汲み、紀元1世紀初めに半島から松浦半島に到来した。多紐細文鏡。王権の象徴。福岡の吉武高木遺跡の王墓から多紐細文鏡と三種の神器が出土。神武につながる日向王家の墓か。

天皇氏族の五十猛神は半島から唐津に渡来し、吉野ケ里あたりを経て子の高魂命のときに久留米の高良山麓に落ち着いた。高良山の神籠石。祇園山古墳は卑弥呼の墓にふさわしい。

崇神から景行までの3代にわたり纏向に宮都をかまえ、大王権が確立した。神武以来の王統は仲哀の死をもって外戚の応神に簒奪された応神は宇佐国造(息長氏)の流れ。広義の息長氏一族の紀氏・平群氏・蘇我氏の中央進出。神武から仲哀までの皇別氏族は葛城氏、阿倍氏、多氏。天孫族では息長氏、物部氏、紀氏、鴨氏、服部氏、三上氏、出雲氏。

即位年。神武(174)綏靖(195)安寧(203)懿徳(212)孝昭(233)孝安(242)孝靈(267)孝元(286)開化(300)崇神(315)垂仁(332)景行(342)成務(357)仲哀(377)応神(390)仁徳(414)履中(435)反正(438)允恭(441)安康(462)雄略(465)清寧(488)顕宗(493)仁賢(496)武烈(507)継体(515)安閑(534)宣化(536)欽明(540)。