客が入ってきて仰天する
「やまびこ」という名前の
接岨峡温泉の展示館に入っています。
この展示館の人が、
最初は客が来たぞという仰天ぶりに
こちらも驚く感じだったのですが、
もう入り口のところから
展示物の案内が始まりました。
「この木の塊はねえ、ブナこぶといってねえ、
貴重な木の塊で、昔はこれを求めて山に入る
木こりもいたよ」とか言ってくれます。
とても親しく話しかけてくるのです。
あるいはこのはく製はねえと
説明も始まります。
熊もいるよ~とのことですが、
月の輪だったらこうして
頑張れば勝てますなんて胸を張ります。
この人はどうも地元の人のようで、
昔はこんなんだったよとか言いながら、
面白おかしく話をされます。
「大井川の水も昔は多くて
馬でも越せないといってたけど、
いまはダムの影響や石の下を流れていく
水なんかでうんと見た目の水が減ってねえ、
昔みたいに川の上の運送なんて
全然できないよ」と喋ってはりました。
大井川はダムの多い川です。
先ほど見てきた長島ダムなどのほか
5つも6つもダムがあるので、
それが川の水を減らす原因なんだそうです。
昔はよかったよというおじさんの顔も
川の変遷を話すときは
少し寂しそうでしたね。
それから、昔はねえ金もとれたんですよ。
砂金でね。
そういう仕事している人も
いたんだそうです。
「金」のついている地名も
多いよとのこと。
そうかあ、なので大井川鉄道の
最初の駅が「金谷」なのかあ
といったけど、これは返事がなかったです。
そもそも調べたら「金谷」は
刀づくりや金属加工の技術者が
多くいたからそんな名前に
なっているようです。
まあ当初抱いていた疑問が
ここにきてどんどん
解決していくような気がします。
「そうそう、湖上駅のところに
カモシカがいましたよ。」というと、
そうかあそりゃおるやろうねえ
といってはりました。
もうなんか自分の暮らしと合わせて、
そんなの当然だよって感じです。
また植物なんかでも
自然科学的な発言も多く出てきます。
話はいろいろはずんで、
自治会のことなんかも出てきます。
会長してるよと言ったら
感心してはりました。
今日は止まるのかな?と聞くので
「はい寸又峡で」というと
「そしたらあの宿やな」
と予約している宿を言ってはりました。
「そうです、そうです。
その宿に予約してます」
というとそれはよかった
みたいな感じでした。
もし今日の宿が決まってなかったら
うちへ来るか、みたいなことを
言い出したらどうしようって
感じでしたね。
それほど、親切な人に見えました。
さらに展示物を見ていきながら、
それごとに詳しい説明が
始まっていきますが、
残念ながらもう電車の時間が
近づいてきました。
最後に一緒に写真をとって、
さよならすることに。
いやあとても名残惜しい
展示館でしたね。
帰りには、この地方独特の植物の見本や、
パンフレットなんかもいっぱいくれて
とてもありがたかったです。
「〇〇さん、さようなら~」といいつつ
展示館を出て、接岨峡温泉駅を目指します。
ちょうどいい感じで
最高の時間の使い方をしたって感じです。
この駅はある程度登って行った
先にありますので、
頑張って登ってゆきます。
地元の年寄りは大変でしょうね。
そうしてたどり着いた駅は
こんな感じです。
無人なんやなあと思っていたら、
電車が付く少し前に
おじさんが一人入ってきました。
フリー切符を見せてホームに入り、
遣ってくるアプト電車を待ちます。
続く
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