京都童心の会

ほっこりあそぼ 京都洛西の俳句の会
代表 金澤 ひろあき
俳句 冠句 自由律 詩 エッセイなど同好の人たちと交流

竹斎の句の場所

2020-01-06 15:06:54 | 俳句
竹斎の句の場所
           金澤ひろあき
 江戸時代の初め頃、「竹斎(ちくさい)」という物語が読まれていました。京都にいた藪医者竹斎が、京都では生活できなくなり、従者のにらみの介を連れて名古屋に行き、江戸に行くという話です。途中滑稽な狂歌をたくさん詠んだり、まぐれで病気を治したりと、笑い話であったのです。
 この笑い話の主人公竹斎さんを句材に、松尾芭蕉が名古屋で、
「狂句こがらしの身は竹斎に似たる哉」という発句を作り、名古屋の俳人達と連句をしました。それが『冬の日』という名で刊行され、『芭蕉七部集』のトップを飾ります。だから、蕉風発祥と言われていますが、今風に言うと、漫画の主人公で句を作って新境地を拓いたのですね。
 前置きが長くなりましたが、今年の正月、親友の中村先生と、竹斎風に京都から名古屋まで行ったのです。例によって、青春18切符でのんびりと、各駅停車です。向日町から米原。米原から名古屋と一回の乗り換えだけで行けるのです。彦根も関ヶ原も雪もなく、おだやかな車窓です。年始の時だったので、混みましたが、これは仕方がありません。
 芭蕉が『冬の日』の連句を巻いた場所は、野水という裕福な呉服屋さんの座敷だったそうです。今は名古屋の栄町のテレビ塔の所です。地下鉄で行ったら、なんとテレビ塔の所全体が工事中で立ち入れません。なんか私自身竹斎になった気分です。
  狂句こがらしの身は竹斎に似たる哉  芭蕉
狂歌を吐く藪医者竹斎のような私は、木枯らしのようなもので、花もある皆様の木を枯らしてしまうようなやつですよ。
と軽くジョークも入れて名古屋の俳人達に御挨拶。発句はお客が御挨拶します。
 それに対して亭主の野水は、
  たそやとばしるかさの山茶花     野水
 いえいえ、あなたの旅笠に散っている山茶花は水のようにほとばしり、茶の湯の打ち水のように、私達をうるおしてくださっていますよ。ご来訪をお待ちしていましたよ。
 脇の句は、亭主が挨拶を返すのです。
 私たちも入れなかったのは残念ですが、この場所なんだねと、心の中に思い浮かべます。
 大須の観音の境内にも句碑があるというので行ってみたら、こっちは正月の屋台設営のあおりで、青いビニールシートに囲まれています。
「いざさらば雪見に転ぶところまで 芭蕉」の写真は撮れましたが。
  蕉風は工事現場となる名古屋     ひろあき
  はっと現実山茶花くずれる      同

年末の連句会へ

2020-01-06 09:47:34 | 俳句
年末の連句会へ
            金澤ひろあき
 12月の最後の日曜日に、大津義仲寺の連句会へ。冬のお寺は寒いですね。現場で一句。
 暖房の効かぬ欄間の高さかな ひろあき
 発句の季は「歳末」でというので
  数へ日に来られぬ人のうはさかな ひろあき
 ずっと会えない人がいて、出席者が懐かしがっていたのです。私もできるだけ行くようにしています。「一期一会」という言葉が身にしみるようになってきました。

新年の御挨拶

2020-01-06 08:58:21 | 俳句
明けましておめでとうございます。

 退職生活一年間。再任用で近くの高校に行っております。相変わらずの忙しさです。
 最近、放哉と住宅顕信を読み返しています。病気をやってから、自由律が多くなり、心ひかれるようになりました。自分が行く所はそこかなと。
 冬木立 影に余分なものはない ひろあき
 今年もよろしくお願いいたします。
2020年元旦   金澤ひろあき