京都童心の会

ほっこりあそぼ 京都洛西の俳句の会
代表 金澤 ひろあき
俳句 冠句 自由律 詩 エッセイなど同好の人たちと交流

春の雪

2025-02-25 08:22:36 | 俳句
春の雪
          金澤ひろあき
 春の雪が降る昼のことである。ある料理店の、私の隣の席に、三十代に見える男女が座った。恋人のようである。
 そのうち二人は、共通の知り合いであるSという男のことを話し出した。
 Sはカリスマ性を持ち、中学時代から、多くの人の憧れであったらしい。
 現に女性のほうはワインを飲みながら、「憧れていて、真剣に結婚したいと思っていた」と、涙を浮かべながら言う。
 二人は社会人になってすぐに、Sが興した会社に参加している。Sはカリスマ性を発揮し強気に進んで行くのだが、細かいフォローをせず、あちこちで破綻し迷惑をかけたらしい。
 結局うまく回らなかったのだが、Sは魅力ある人物なのだろう。もといた会社に戻り、うまくやっている。
 話をしている二人は、もといた会社にも戻ることができず、借金もかかえ、男のほうは離婚も経験している。
 しかし、二人ともSのことを懐かしがり、ほめているのである。
  春の雪 思い出話かた結び ひろあき
 春の雪が上がったので、私は店を出た。話はまだ続いていた。


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