京都童心の会

ほっこりあそぼ 京都洛西の俳句の会
代表 金澤 ひろあき
俳句 冠句 自由律 詩 エッセイなど同好の人たちと交流

2020年11月京都童心の会 通信句会 【選評】その3

2020-12-07 07:56:45 | 俳句
2020年11月京都童心の会 通信句会
【選評】その3
○野原加代子特選
16 西山に沈む夕日や稲を刈る      宮崎清枝
 通勤前後に田園風景を毎日の様に見ています。と同時に故郷を思い出します。西山に沈む「夕日や稲を刈る」が、母の若い頃、稲を鎌で切り回し束ねる動作を思い出しました。黄金の実りが眩しいほどに心地良いものです。農作業も同時に想い出す風景です。
 「西山に沈む夕日や」はなんとも言えない哀愁を感じます。哀愁漂う風景を稲を刈る時期に感じられたのも、色んな場面を思い起こせる句だと感じました。
○金澤ひろあき選
特選
114 犬逝って残る襖のかじりあと    三村須美子
 動物を飼っていると、寿命の長短はあるものの、死という別れが巡ってきます。逃れられないとは分かっているのですが、喪失感をしばらく拭えません。私も、猫や犬、鳥、モルモットなどを飼い、見送ってきました。愛したものが残したものを見ていると、じんわりとそれらと過ごした日々を思います。
この句も死んだ愛犬の残したもののクローズアップで、じんわりと伝わってくるものを感じます。ふと漏らす息づかいの中にこもる深い心情。俳句とはそういう詩なのかもしれません。
1 焼芋包む父の命日         野谷真治
 冬の寒い時期、焼芋のぬくみがほんのりと伝わる。なんだか人恋しい、そんな気持ちになります。その中に混じる父への思い。やはりあたたかみを感じる句です。
33 路肩の仰向けヒキガエル冬に入る 青島巡紅
 路肩に仰向けになったヒキガエル。寒い光景ですね。こういう光景に目をとめて詠まれた句を見たことがないので、何かを訴えてくるものを感じました。何でも無い光景のようでいて、切実なものを感じるのです。
47 都構想冬の梅田に消えにけり   中野硯池
 大阪市を廃止し、大阪都にするという二度目の投票も、不可という結果で終わりました。大阪を都にしなければならない必然性が、私にはよく分かりませんでした。そういう強い意志はあったのでしょうけれど。
 梅田は大阪一の繁華街です。交通の要所で、他府県の人も多く行き交います。都になっていたとしても、その光景は変わらなかったでしょうが、今日も何事もなかったように、多くの人が行き交っています。
87 カーテンを取り替え気分生き返る 坪谷智恵子
 年末に向けてのしつらえでしょうか。本当にカーテンを変えると雰囲気も変わります。気分も変わります。いつまでもお元気にお過ごしの様子がうかがえて、嬉しくなります。


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