虫下し…という言葉を知っているだろうか…?
40歳以上の人なら…なんとなく覚えているかも知れないな…。
強制的に飲まされた人も…結構居るだろうから…。
昭和40年より前の一般の人たちの生活は衛生状態があまり良好ではなくて…御腹の中によく寄生虫が居た…。
蟯虫や回虫などが…知らぬ間に寄生しているのもそんなに珍しいことではなかった…。
これらの虫は人の身体に寄生するだけでなく悪さをするので…薬を飲んで殺して排出するのだが…この薬のことを一般に虫下し…と呼んでいた。
衛生状態が改善されてくるに従って、回虫の方はあまり見られなくなったようだが、蟯虫の方は未だに感染する子供たちがいるらしい…。
回虫があまり見られなくなったといっても、刺身などを食べて回虫に寄生されることがある…。
ひどい症状を起こして、回虫を除去するために手術をした人も居ると聞いている…。
魚やイカなどの生食にはよく注意した方が良さそうだ…。
あれは…まだ自分が学生の頃だったと思うが…ある晩…オカンがイカの刺身を買ってきた…。
家族揃って刺身好き…おいしそうなイカ刺しに一斉に箸をつけた…。
みんながすでにひと口めを飲み込んでしまった後で…妙なことに気付いた…。
イカの端っこから糸のようなものがニョロッと出ている…。
しかも…そいつは動くのだ…。
ぐにゃ~っと身体を曲げて…頭をもたげる…頭かどうかは分からないが…。
何じゃこれ…寄生虫と違うか…?
慌てたオカンはすぐに近所の内科の先生のところへ電話をかけ…どうしようかと相談した…。
虫下し…飲まんよりは…飲んどいた方がいいでしょうなぁ…。
効くかどうかは…分かりませんが…。
御医者の先生がそう言うので…親父が早速…薬を取りに行った。
誰もまだ症状が出ているわけではないので…先生としてもどう対処のしようもなかったのだろう…。
勿論…イカは処分した…。
シロップ状のその虫下しは、ひとりずつ何回分かプラスチックの容器に入れてあって、一回にひとメモリずつ飲めばよかった…。
夜更けて…オカンがふと親父の薬瓶を見ると…オカンのより多い…。
ありゃ…お父さん…飲み忘れとるわ…。
オカンは子供たちにも飲んだかどうかを確認し…すでに寝ている親父をわざわざ起こし…薬飲んだ方かいいよ…というようなことを言った。
いや…俺は飲んだぞ…。
親父はそう答えた…。
家族の誰もが飲んだと答えた…。
絶対飲み忘れとる…と思いつつ…オカンもそれ以上は言わなかった。
寄生虫は怖いで飲んどいた方がいいのに…。
それとも…自分の薬だけ瓶に入っとった量少なかったのかな…。
おかしいおかしいと思いながらも…オカンはそのまま寝てしまった…。
翌朝…起き上がれなかったのはオカンひとり…。
めちゃくちゃ具合が悪くなっていた…。
寄生虫にやられた…? それとも…イカにあたった…?
とんでもない…。
薬物中毒…原因は虫下し…。
オカンは自分が虫下しを飲んだことをすっかり忘れて…寝る前にもう一回飲んでしまったのだ…。
薬の残量を見て…みんなが飲み忘れているのではないかと思い込み…ご丁寧にも親父を起こし…飲ませようとした。
もう少しで枕を並べるところだった親父と子供たちは記憶が確かで難を逃れた…。
唯でさえ…体重が少なくて薬に弱いオカンが人の倍も飲んでしまったのだから…効果覿面…。
腹の中に実際に居るかどうかも分からない虫を殺そうとして…自分を殺しかけたというわけ…。
しかも家族全員を道連れに…。
dove家…まさに…危機一髪…。
いやぁ…虫下しの飲み過ぎってのは…ホンマに気分悪いで…。
きつい薬だわ…。
もう少しで一家心中やな…。
すっかり薬が切れて…回復した時にオカンはそう言って笑った。
あんたねぇ…笑い事かい…。
虫下しは…言わば毒なの…。
回虫…殺すんだから…。
気い付けないと…人間も死ぬんだってば…。
虫下しの飲み過ぎで一家全滅したんじゃ…オカン…新聞ネタにもならないよ…。
落語のネタには…なるかもしれないけどね…。
40歳以上の人なら…なんとなく覚えているかも知れないな…。
強制的に飲まされた人も…結構居るだろうから…。
昭和40年より前の一般の人たちの生活は衛生状態があまり良好ではなくて…御腹の中によく寄生虫が居た…。
蟯虫や回虫などが…知らぬ間に寄生しているのもそんなに珍しいことではなかった…。
これらの虫は人の身体に寄生するだけでなく悪さをするので…薬を飲んで殺して排出するのだが…この薬のことを一般に虫下し…と呼んでいた。
衛生状態が改善されてくるに従って、回虫の方はあまり見られなくなったようだが、蟯虫の方は未だに感染する子供たちがいるらしい…。
回虫があまり見られなくなったといっても、刺身などを食べて回虫に寄生されることがある…。
ひどい症状を起こして、回虫を除去するために手術をした人も居ると聞いている…。
魚やイカなどの生食にはよく注意した方が良さそうだ…。
あれは…まだ自分が学生の頃だったと思うが…ある晩…オカンがイカの刺身を買ってきた…。
家族揃って刺身好き…おいしそうなイカ刺しに一斉に箸をつけた…。
みんながすでにひと口めを飲み込んでしまった後で…妙なことに気付いた…。
イカの端っこから糸のようなものがニョロッと出ている…。
しかも…そいつは動くのだ…。
ぐにゃ~っと身体を曲げて…頭をもたげる…頭かどうかは分からないが…。
何じゃこれ…寄生虫と違うか…?
慌てたオカンはすぐに近所の内科の先生のところへ電話をかけ…どうしようかと相談した…。
虫下し…飲まんよりは…飲んどいた方がいいでしょうなぁ…。
効くかどうかは…分かりませんが…。
御医者の先生がそう言うので…親父が早速…薬を取りに行った。
誰もまだ症状が出ているわけではないので…先生としてもどう対処のしようもなかったのだろう…。
勿論…イカは処分した…。
シロップ状のその虫下しは、ひとりずつ何回分かプラスチックの容器に入れてあって、一回にひとメモリずつ飲めばよかった…。
夜更けて…オカンがふと親父の薬瓶を見ると…オカンのより多い…。
ありゃ…お父さん…飲み忘れとるわ…。
オカンは子供たちにも飲んだかどうかを確認し…すでに寝ている親父をわざわざ起こし…薬飲んだ方かいいよ…というようなことを言った。
いや…俺は飲んだぞ…。
親父はそう答えた…。
家族の誰もが飲んだと答えた…。
絶対飲み忘れとる…と思いつつ…オカンもそれ以上は言わなかった。
寄生虫は怖いで飲んどいた方がいいのに…。
それとも…自分の薬だけ瓶に入っとった量少なかったのかな…。
おかしいおかしいと思いながらも…オカンはそのまま寝てしまった…。
翌朝…起き上がれなかったのはオカンひとり…。
めちゃくちゃ具合が悪くなっていた…。
寄生虫にやられた…? それとも…イカにあたった…?
とんでもない…。
薬物中毒…原因は虫下し…。
オカンは自分が虫下しを飲んだことをすっかり忘れて…寝る前にもう一回飲んでしまったのだ…。
薬の残量を見て…みんなが飲み忘れているのではないかと思い込み…ご丁寧にも親父を起こし…飲ませようとした。
もう少しで枕を並べるところだった親父と子供たちは記憶が確かで難を逃れた…。
唯でさえ…体重が少なくて薬に弱いオカンが人の倍も飲んでしまったのだから…効果覿面…。
腹の中に実際に居るかどうかも分からない虫を殺そうとして…自分を殺しかけたというわけ…。
しかも家族全員を道連れに…。
dove家…まさに…危機一髪…。
いやぁ…虫下しの飲み過ぎってのは…ホンマに気分悪いで…。
きつい薬だわ…。
もう少しで一家心中やな…。
すっかり薬が切れて…回復した時にオカンはそう言って笑った。
あんたねぇ…笑い事かい…。
虫下しは…言わば毒なの…。
回虫…殺すんだから…。
気い付けないと…人間も死ぬんだってば…。
虫下しの飲み過ぎで一家全滅したんじゃ…オカン…新聞ネタにもならないよ…。
落語のネタには…なるかもしれないけどね…。
最近耳にしなくなったね~。
あと、「疳の虫」。
それぞれの地方で、「疳の虫」をだす儀式みたいのがあったりするんだよね。
「おまじない」みたいなやつとか・・・。
浮気の虫…とかそれこそ疳の虫とか…虫が知らせるとか…腹の虫…ふさぎの虫…なんてね…。
doveは少し前まで本の虫だったけど…いまはブログの虫…かな…。
いやいや…そこまでは行ってないぞ…。