高速バス車内でのとある出来事(陰徳ポイント加算・ルッキズム全開でポイント減算)

2022年08月11日 18時08分02秒 | 巻二 起居注
帰省に伴う高速バス移動中、車内の話。
今日朝の出来事。




俺の席は通路側のA。
斜め向かいのBの席にはおそらく二十代前半であろう女性。
細身で黒髪ロング。
イマドキな感じの。

その女性、発車からしばらくはスマホの画像データをいろいろ眺めていた。

いや、別に覗き見していたわけではなく、位置関係的に自然に目に入ってくるのだから仕方ない。

女性、いつの間にか寝入ったらしい。





突然、ガタッと物音。

なんと、女性の白いスマホが、シートの隙間から後の床(つまり俺から見て通路を挟んだちょうど左側)に落っこちてたのだ。

女性は睡眠中。気付いていない

なお、そこの座席(つまり俺から見て通路を挟んだ左側)二人分、空席である。


うーん。
こんな時どうしますかね?普通。


選択肢は幾つか。

寝ている女性をすぐさま起こして、スマホが後方に落っこちたことを教える。
これは一番親切かもしれないが、無防備に寝ているノースリーブの女性の肩を叩く事に激しい抵抗感を覚えるのは確かだ

流石に痴漢や不審者扱いとはならないだろうが、少なくとも「俺は怪しい人じゃないです。親切心からの行動です。」という釈明を何らかの形で表明する必要がある。

めちゃくちゃめんどくさい。

なるべく他人との関わりを避ける質の自分にしてみれば、まあハードル高し。

次の選択肢。
女性がスマホの紛失に気がついてから教えてあげる。
まあ、これが無難か。

一切関与しないという究極の選択肢もあるにはあって、普段の俺の行動様式なら有り得ないやり過ごし方ではないのだが。



まずはとりあえず様子見を決め込んだ。


しかし、この様子見の時間が苦痛なのだ。

まず、周囲の乗客がこの様子を目撃していて、俺の反応を密かに窺ってないか。

これはたぶん、現場の位置関係や乗客の様子(寝ていて気づいていない)からして、このスマホ落下事件を認知しているのは俺だけなのだが、それでもとてもそわそわする。

さらに、床に落下した件のスマホが、丘陵地越えのカーブの度に左右に動く。

ああ、気になる。


そんな状況が数十分間。



ついにあの女性が目を覚まし、なにやら身辺をまさぐっているではないか。


キタキタキタ。さあどうする俺。

これが女性ではなく老婆だったら?むさいおっさんだったら?

その人の属性や見た目で反応を変えるのは人でなしなのだろうが、そこはもう、俺は人でなしだ。うん。



俺はその女性(ルッキズム全開で謂うなら美人)の顔の前に無言で手を差しのべ、座席の後を指差す。

女性はスマホが後方に落下したことを俺のジェスチャーにより気がついたようだが、走行しているバスの車内ですぐにはスマホ捕獲の動作を取りづらそうだ。

とっさに俺氏、遠慮がちに身を屈めて立ち上がり(走行中に立ち上がると運転士からめちゃくちゃ怒られる事があることを身をもって知っているので遠慮がちに)、素早い動作で白いiPhoneを掴み女性に渡した。

恥ずかしそうに苦笑いしながら、軽く会釈する女性。ああ、やはりかわいい人だった。うんうん。どういたしまして。ルッキズム万歳。


その直後、バスは俺の降車予定停留所へ。
颯爽とバスを降りる俺。


斯くのごとく陰徳を積む。


あの女性が、この出来事をSNSに書いてたりしないかな、とか物凄くどうでもいいことを頭に描きながら。




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