イギリスの『Living 生きる』という映画が2022年に公開されて話題になったという。
映画の中でイギリスのフォーク歌手リサ・ナップが歌う「The rowan tree ナナカマドの木」というスコットランド民謡をラジオで聴いた。
歌詞は分からないが心に浸みた。
映画『生きる』と言えば、志村喬が主演した1952年の黒澤明監督作品が有名だが、『Living 生きる』は1953年のロンドンが舞台で、黒澤作品をベースに、カズオ・イシグロが脚本を書いた。
カズオ・イシグロは映画『生きる』に強い影響を受けたという。
役所に勤める主人公が、癌で余命半年と宣告されて人生を振り返り、一念発起するところは両方の映画に共通するようだ。
志村喬は地域住民の要望が長らく〝タライ回し〟にされてきた公園の整備を終え、ブランコに乗りながら、〝命短し恋せよ乙女〟と歌う。
小雪が舞うシーンは印象的だ。
スコットランドと同じ北国の北海道では、ナナカマドの木は紅葉が終わって、雪がちらつく季節に実を真っ赤にして、モノトーンの景色に彩りを添える。
何か全てが繋がっているようだ。