間もなく衆議院で2023予算の採決が行われる。
昨日(27日)の衆院予算委員会総括質疑を聞いていたが、〝子育て予算の倍増〟ひとつ取っても岸田首相の答弁は相当いい加減だ。
頭ごなしに閣議決定した防衛予算とは打って変わって、「数字ありきではない。」「内容はこれから整理して6月の骨太方針に大枠を示す。」と繰り返すだけで、倍増のベースがGDPなのか金額なのか、いつ実現するのか、曖昧にして答えなかった。
事の発端になった15日の予算委員会の中継も聞いていたが、岸田首相は、「2020年度の家族関係社会支出がGDPで2パーセントを実現しているので、それを倍増しょうと言っている。」と間違いなく答えている。
それが「家族関係社会支出」を指すことは初歩的な国語の問題だ。
にも拘わらず、である。
厚労省の国立社会保障・人口問題研究所の昨年8月の発表によると、2020年度の「家族関係社会支出」(子供・子育て関連支出)は10兆7536億円で、GDP比は2.01%。
倍増させるには約11兆円の財源が新たに必要になる計算だ。
統一地方選の前に〝財源論=増税〟に話しが及ぶのを避けたのだろう。
これでは口から出任せ、まったくもって無責任だ。
アメリカ、自民党右派、財務省の間で木の葉のように揺れ動くのが岸田首相だ。
自民党の少子化担当相経験者は「首相の勘違いではないか。家族関係社会支出だけで倍増するのは相当難しい」と述べているというし、政府関係者も答弁内容について「事前に聞いていなかった」と驚いたという。
16日になって、松野官房長官は「将来的な倍増を考えるベースとして家族関係社会支出のGDP比に言及したわけではない。」と釈明したがどうみても理解不能である。
首相答弁書の責任者である木原官房副長官までが、BSTVで「子どもが増えれば予算は増える。出生率がV字回復すれば早いタイミングで倍増する。」と言い出す始末である。
今に始まったことではないが、政府の国民軽視、国会軽視には呆れる。
それでも予算は予定調和の如く粛々と国会を通過してゆく。
曖昧な答弁に終始する首相に対し、野党第一党の立民党泉代表は23日の自身の質問が終わって記者団相手に「へんてこな倍増論だ。」と鬱憤晴らしをした。
しかし、そんな悠長なことを言っている場合ではない。
首相から「丁寧に」どころか、まともな説明がなされないのだから、「国会軽視」として、〝審議拒否〟すべきだった。
岸田首相も何かにおどおどしているが、野党の先頭に立つ泉代表も〝提案型〟に拘って闘う気迫が感じられない。
働いている人は見ていない時間帯の国会中継で、質問の合間に「我が党は、」と政策集の話しをしたところで響かない。
ニュースでも取り上げられない。
岸田首相はこれまでも「令和版所得倍増」や「資産所得倍増」といったスローガンを打ち出したが雲散霧消している。
もっと厳しく国会対応すべきだし、日頃の地道な活動に取り組んで欲しいものだ。
攻め所満載なのに、これでは統一地方選はおぼつかない。
ここまでおかしくなった政治と行政。選挙は大事だ。