覇王の馬券密議

中央競馬の壮大な演出劇の真実・・・ターフ裏の怪人が饒舌に説き聴かせる回顧と予想

「優駿」作戦

2005年02月16日 23時33分28秒 | Weblog
 中央競馬会PRセンター発行の月刊誌「優駿」は素晴らしい雑誌だ。クリアで美しい紙面 抜群の取材能力 充実した執筆陣。にも加えて、そもそも主催者、胴元が予想も含めて競馬会のあれこれを盛り込むのだから、そこいらの競馬マスコミが束になってもかなわない豪華版というのも無理からぬこと。1冊¥、600也。にもかかわらず、高い競馬新聞は購入を欠かさぬくせ、この胴元のガイドブックには見向きもせずという出鱈目な競馬ファンには恐れ入る。わたしも優駿競馬で随分といい思いをした。昨年の日本ダービーの折は最新号のあるページを開くと、ちゃんと12番 5番の2頭のゼッケンを背負った競争馬が載っていた。このような予告 というより満天下の見守る結果の告知があること、ひいてはレース展開がどうあろうとゴール板での入着順位が予め決めてあってダービーという興行が挙行されていることなど思いもよらず、もちっと武アドマイヤが先につけていれば差し切れたものをなど嘯きつつ「予想」と称して出鱈目な論理を編み上げても一切的中とは無縁で、かかる連中はどこか競馬の本質とは別のものを楽しみ弄んでおるのに過ぎない。途中まで五十嵐が引っ張り、4コーナーでアンカツが出て、横山が差して来て最後エビショーと入れ替わる、という脚本どおり、大舞台でトッププロがやり違えることなど先ずありえない。予め決めてある結果にさまざまのサイン 告知を見極めることで迫ること、それ以外に真の予想はない。殆どの幼児期にある競馬ファンがレースをあたかも競争ででもあるかのように捉え、本質を見落とし、競馬会にいいように遊ばれていながら、自らを競馬ファンと称して、国民の余剰金の国庫回収に懸命に協力している。

 優駿競馬の一例を挙げよう。

 ある秋の天皇賞の時、最新号のその天皇賞にまつわるあるページを開くと、どこぞの学者風の人物のものしたエッセイ風の記事が載っていた。題は、アルビオンの壁 であったかと思う。記事は、ドヴァー海峡沿いの英国の岸辺はそそり立つ白い壁になっており、その白壁をアルビオンと呼ぶ。ナポレオン1世でさえこれを乗り越えることが出来なかった英国の自然の砦である、と言う。唯一紀元前ジュリアス・シーザーが兵を率いて上陸した(ローマのブリタニア征服を指すと思われる)ことがある。この白亜の壁こそは英国の独立の象徴だという。
 私はこの記事をレース1週前に読み切って、当時圧勝間違い無しと世間が囃したてた葦毛の白い馬を倒す馬が出走することを確信し、その馬の名をもはっきりと読み取り、単勝馬券をごそりと購入した。1番人気が一本かぶりだったので、2番人気ながら確か8,5倍くらいついたかと思う。勝ったのはネーハイシーザー。人気のビワハヤヒデは馬群に沈んだ。

 優駿競馬を忘れまい。また同じくPRセンター発行の無料パンフ競馬ガイド 値千金たることを付け加えておく。もう大昔なので、今御礼するが、オグリ引退のおり、この小冊子の高橋源一郎氏の「アイドルを探せ」のエッセイ。当たり馬券サインのオンパレードで、春シーズンを儲けさせていただいた。

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