現在のコロナ禍では、この俗にいう「島国根性」「日本人気質」がむき出しになっている。感染が発覚した患者宅への投石や差別落書きを筆頭に、お上による自粛「要請」にもかかわらず、まるで法を破った罪人であるかのように旅行をした芸能人をつるし上げて叩く。感染を公表した俳優の石田純一氏へは、出演するラジオ局(私も別曜日で出演している)へ、石田氏個人を批判する声が寄せられているという。
そればかりではなく、自粛「要請」の段階で経済自衛のためやむなく営業を続ける小売店やパチンコ店へ、市民が自主的にその営業実態をお上に通報する事態が相次いでいる。これらは法的根拠に基づかない「この非常時に不道徳である」という観念に基づいた自発的な制裁で、つまりは私的制裁の一種である。
私は数年前、コロナ禍が起こることなど予想できなかった時分に、人々が不倫などを行った著名人を「不道徳である」と決めつけ、電話やメールで徹底的に叩き制裁する風潮を「道徳自警団」と名付けたが、ようするにこの「道徳自警団」による私的制裁、集団リンチがコロナ禍によって噴出しているのである。