東埼玉病院 リハビリテーション科ブログ

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第17回リハビリテーション科地域連携勉強会を開催しました!

2018年03月15日 | 活動報告
年に2回「顔の見える連携」を目指し、院内外及び多職種の方々が出席し、身体を張って参加する勉強会を開催しました。
一人の患者さんに関わる多くの医療従事者や福祉従事者の方々が共通の理解を得てすぐに実践できるものを持ち帰っていただきたいという想いから、毎回趣向を凝らした企画を重ねてまいりましたが、前回は「嚥下」をテーマに、今回は「排泄」をテーマに、まさにADLに欠かせないテーマに対し、基本的な知識から多職種による介入を紹介する形で、「明日からいつでも誰でもどこででもできる知識と技術」を持ち帰っていただくべく、座学+ハンズオンセミナーという形の勉強会を行いました。

前半の講義形式では、リハビリテーション科専門医より、主に排尿の仕組みや排尿障害の種類と基本的なアプローチ法についてと、また、実際に経験した症例を紹介しながら排尿障害について講義形式でお話ししました。排泄介助は決して看護師さんの仕事だけではありません。主に下部尿路障害へのアプローチと、トイレへ行って帰ってくるという一連の排泄関連動作に対するアプローチを同時に行います。正しい技術とアプローチ方法を獲得することで、患者さん自身の負担も介助者の負担も大きく減らすことができます。実際は重度右片麻痺と重度失語症を抱えた方が膀胱留置カテーテルを挿入したまま回復期病棟へ入院し、そこからリハビリテーションアプローチを経て在宅環境の中でトイレで排泄できるようになるまでをご紹介しました。
続いて、言語聴覚士から重度失語症患者の尿意を訴える方法について、コミュニケーション手段の獲得という観点でお話ししました。


講義風景

後半は、グループごとにブースに分かれてハンズオンセミナーを行いました。先ほどと同じく排泄へのアプローチとして多職種による多角的なアプローチを体を動かしながら体得していただきました。
理学療法士(PT)のブースでは、排泄関連動作のうち、トイレへの移動・移乗手段や便器に座っていられる条件、介助者と共に行うトイレ動作について基礎的な方法をご紹介しました。実際のトイレを利用して介助方法を紹介し、目で見て理解いただけたと思います。

PTブースの様子

作業療法士(OT)のブースでは、PTでの基礎編からさらに応用させ、環境によりセオリー通りに行くことや行かないことを想定した介助方法についてご紹介しました。病院内での訓練と実際の在宅環境は必ずしも一致しないという多くの悩みに沿った紹介となりました。

OTブースの様子

看護師(Ns)のブースでは、様々な排尿器具の使い分けや、オムツかぶれなどの皮膚トラブルへの対応、なかなか聞けない陰部洗浄の方法に至るまで、モデル人形を用いたデモンストレーションを行いました。参加者の皆様の食いつきがかなり良いブースとなりました。

Nsブースの様子

いずれもかなり濃い内容を短時間でお伝えすることとなりましたが、参加者の皆様には“とても有意義であった”というご意見を多数いただくことができました。今年1年を通して、ADLの一つである「食事」から「排泄」に至るまでをシリーズ企画で知識と技術の情報提供をすると共に、多職種アプローチの大切さを身近に感じていただけた会になったと思います。

当院では他の施設ではやっていない“痒い所に手が届く”勉強会をこれからも開催し、より一層顔の見える連携作りを推進して臨床へも役立てていきたいと考えています。

G7(MD)

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