旅のウンチク

旅行会社の人間が描く、旅するうえでの役に立つ知識や役に立たない知識など。

社会のバランス変更

2008年10月16日 | その他
ここ数年、企業の本分は利益を上げることにあるという事が少し極端な形で認められてきたように感じることがあります。勝ち組、負け組みなどという話もそのあたりに関連しているとも言えるだろうし、利益だけを追求するあまりに発生したものと感じられる事件も発覚しています。

確かに民間の営利企業が利益追求を本分とするのは事実ですが、それが唯一の本分と考えるのは大きな間違いであることも事実でしょう。上げた利益でより世の中を便利にする製品やサービスを生み出すことや、雇用の創出、従業員の生活向上など、自然と背負う、社会的役割も多いわけです。そういう視点に立ってみると、ここ数年(今じゃありません)、景気が回復してきたといわれても、”実感がない”と言う勤労者がかなりの割合で存在していたのは、企業がその役割の1つを担うことなく、利益の追求だけに邁進していたことの現れかもしれません。

ところで、民間の営利企業が自社の利益”のみ”を永続的に追求し続けることというのは本当に可能なのでしょうか。

例えば、”事故米”を食品として販売していた事件を例に挙げてみた場合、短期的には莫大な利益を上げることができるかもしれません。でも、自社の従業員も”事故米”を買う可能性がありますし、それで健康被害が発生したら、自社の従業員も出社できなくなって業務が滞るかもしれません。あるいは、自社は上手く逃れたとしても、日本全体で多くの健康被害が出て、人口が減少したら、やはり市場は減少します。

結局、企業も社会の一員なので、遅かれ早かれ自分達が社会にもたらした影響を自分も受けることになるはずです。

この事実に気が付けば、国による法規制の強化など行わなくても企業は自社の”利益を守る”ためにこそ、”利益のみを追求”することを放棄する事になるでしょうし、従来、多くの企業の経営者はそうやって来たのだと思います。

そんな余裕を失ってしまった時期がしばらく続いたのかもしれませんが、今度は利益のみを追求する社会のアンバランスが維持できなくなり、再び社会がどこか違うバランス点を求めているのがちょうど今、この瞬間なのかもしれないなと漠然と思うのでありました。


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