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チェンマイをスタートして2日目の朝、バイクのオイルチェックをしたり、荷物を積み込んだりしている合間に、いつもお世話になっているゲストハウス、YA HOUSEのオーナー、サンさんと少し雑談をしていました。
先に背景を説明しておきましょう。スーパーカブで旅するタイ北部ではゲストハウスやホステルと呼ばれる安宿に宿泊することが多いのですが、そのうちでもチェンマイのYA HOUSEとチェンコンのBAAN FAIは1980年代を思い出させてくれる古いタイプの安宿、つまり民家を改造したり増築したりしてできている宿で、私のお気に入りの宿の一つなのです。
さて、そのYA HOUSE。実は過去に何度も満室で断られたことがあります。そのたびにサンさんに”だから来る前に電話してって前に言ったでしょ!”と言われたものでした。おそらくその独特の雰囲気と、サンさんの人柄からだと思うのですがドイツを中心とする欧米からのバックパッカーに人気があって長期滞在している人も多かったのです。
ところがこの朝、ここ数年、充分な集客が得られていないという悩みをサンさんが話し始めました。
”今はインターネットですべての事をこなすようになったからゲストハウスは旅人にとっての中心地ではなくなった。”
と話します。
もしかするとインターネット無しで旅した時代なんて、ここを読んでいる人の中には想像もできないかもしれませんが、実はもっと正確な情報を常に手に入れて旅をしていました。だから今よりずっと奥地まで旅行者は入り込んでいたものです。その情報の中心がゲストハウス。
ゲストハウスに行けばある程度の英語を話すオーナーや従業員がいて、出入りのガイドやドライバーもいました。そして何より他の旅行者。インターネット上の何年前の事か判らない匿名情報ではなくて数日前のフレッシュな実名情報を手に入れる事ができたわけです。
だから部屋に荷物を置いてシャワーを浴びたら他の旅行者がたまっている中庭へ行ってお茶でも飲みながら情報を集めるのが標準的な手法で、しかもかなり実際的な手段だったのです。
そして、そういうところでのいろいろな交流が旅の大きな魅力でもあったのです。今、中庭でビールを飲んだりしているのは私たちのグループぐらい。他の人は部屋でこの町や次の町の情報をネット検索しているのでしょうね。
”11月に雨季が明けてからのシーズンでどのくらいの人が来てくれるか、そこに賭けてはいるんだけれど、あまり期待はできないなぁ”とサンさんは語り、少し肩を落としました。
さて、そんなサンさんと別れて私たちの向かう先はチェンコンのBAAN FAI。ちょうどYA HOUSEと同じタイプの宿なのですが、こちらは昨年11月同様、到着早々”予約は?”と。予約をしていない旨伝えると、”それでは部屋はありません”との話。
実は昨年11月に予約の件を尋ねられたので、帰国してから”まさかインターネットで予約できるのか?”と思い調べてみました。
驚くべきことに、Booking.comで予約できるようになっています。
ただ、私にとっては快適なBAAN FAI。決して万人向けとは思えません。あのレベルの宿だと好みがわかれるところなので、インターネットで予約してしまうリスクを考えると、”予約でいっぱい”というのはかなり驚きです。
スーパーカブで旅するタイ北部で、宿探しに付き合ってくれた方々はご存知のように、あまり宿にこだわりがない私でも料金を聞いた後、必ず部屋と設備を確認して、何軒も断ってやっと宿を決めるのが常なので、中級以上のホテルでない限りインターネット予約は無理だと思っていたのです。
さて、泊まれなくなりそうになったBAAN FAI。昨年11月の経験からネット予約を受けていない部屋があることを知っている私は、”そちらなら空いてるでしょ?”と尋ねます。この部屋はシャワーやトイレが無くて共同シャワールームを使用。しかも結構離れているのと、部屋はベッドだけでほぼいっぱい。もちろんエアコンはありません。だからあまり泊まる人はいないようです。
結局、件の部屋を確保して、無事チェンコンで宿泊することはできました。
チェンライからチェンコンへの旅の1日はインターネット予約という現代的な手段をいち早く取り入れたBAAN FAIと、その必要性を感じながらも旅の姿の様変わりに困惑を隠せないYA HOUSEとの間の明暗を改めて感じさせられる事となりました。
帰国してからもサンさんの”ゲストハウスは旅人にとっての中心ではなくなった”と言った言葉が何度も頭をよぎります。
それではインターネットが旅人にとっての中心となったのかというと、むしろ旅人は自分たちの中心を失ってしまい、もはや旅人であることもやめて、ただ移動するだけの通行人か傍観者と化してしまったのではないかとも...。
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2019年3月のスーパーカブで旅するタイ北部の模様を動画で公開しています。
https://youtu.be/ZVdfsPb6cCE
先に背景を説明しておきましょう。スーパーカブで旅するタイ北部ではゲストハウスやホステルと呼ばれる安宿に宿泊することが多いのですが、そのうちでもチェンマイのYA HOUSEとチェンコンのBAAN FAIは1980年代を思い出させてくれる古いタイプの安宿、つまり民家を改造したり増築したりしてできている宿で、私のお気に入りの宿の一つなのです。
さて、そのYA HOUSE。実は過去に何度も満室で断られたことがあります。そのたびにサンさんに”だから来る前に電話してって前に言ったでしょ!”と言われたものでした。おそらくその独特の雰囲気と、サンさんの人柄からだと思うのですがドイツを中心とする欧米からのバックパッカーに人気があって長期滞在している人も多かったのです。
ところがこの朝、ここ数年、充分な集客が得られていないという悩みをサンさんが話し始めました。
”今はインターネットですべての事をこなすようになったからゲストハウスは旅人にとっての中心地ではなくなった。”
と話します。
もしかするとインターネット無しで旅した時代なんて、ここを読んでいる人の中には想像もできないかもしれませんが、実はもっと正確な情報を常に手に入れて旅をしていました。だから今よりずっと奥地まで旅行者は入り込んでいたものです。その情報の中心がゲストハウス。
ゲストハウスに行けばある程度の英語を話すオーナーや従業員がいて、出入りのガイドやドライバーもいました。そして何より他の旅行者。インターネット上の何年前の事か判らない匿名情報ではなくて数日前のフレッシュな実名情報を手に入れる事ができたわけです。
だから部屋に荷物を置いてシャワーを浴びたら他の旅行者がたまっている中庭へ行ってお茶でも飲みながら情報を集めるのが標準的な手法で、しかもかなり実際的な手段だったのです。
そして、そういうところでのいろいろな交流が旅の大きな魅力でもあったのです。今、中庭でビールを飲んだりしているのは私たちのグループぐらい。他の人は部屋でこの町や次の町の情報をネット検索しているのでしょうね。
”11月に雨季が明けてからのシーズンでどのくらいの人が来てくれるか、そこに賭けてはいるんだけれど、あまり期待はできないなぁ”とサンさんは語り、少し肩を落としました。
さて、そんなサンさんと別れて私たちの向かう先はチェンコンのBAAN FAI。ちょうどYA HOUSEと同じタイプの宿なのですが、こちらは昨年11月同様、到着早々”予約は?”と。予約をしていない旨伝えると、”それでは部屋はありません”との話。
実は昨年11月に予約の件を尋ねられたので、帰国してから”まさかインターネットで予約できるのか?”と思い調べてみました。
驚くべきことに、Booking.comで予約できるようになっています。
ただ、私にとっては快適なBAAN FAI。決して万人向けとは思えません。あのレベルの宿だと好みがわかれるところなので、インターネットで予約してしまうリスクを考えると、”予約でいっぱい”というのはかなり驚きです。
スーパーカブで旅するタイ北部で、宿探しに付き合ってくれた方々はご存知のように、あまり宿にこだわりがない私でも料金を聞いた後、必ず部屋と設備を確認して、何軒も断ってやっと宿を決めるのが常なので、中級以上のホテルでない限りインターネット予約は無理だと思っていたのです。
さて、泊まれなくなりそうになったBAAN FAI。昨年11月の経験からネット予約を受けていない部屋があることを知っている私は、”そちらなら空いてるでしょ?”と尋ねます。この部屋はシャワーやトイレが無くて共同シャワールームを使用。しかも結構離れているのと、部屋はベッドだけでほぼいっぱい。もちろんエアコンはありません。だからあまり泊まる人はいないようです。
結局、件の部屋を確保して、無事チェンコンで宿泊することはできました。
チェンライからチェンコンへの旅の1日はインターネット予約という現代的な手段をいち早く取り入れたBAAN FAIと、その必要性を感じながらも旅の姿の様変わりに困惑を隠せないYA HOUSEとの間の明暗を改めて感じさせられる事となりました。
帰国してからもサンさんの”ゲストハウスは旅人にとっての中心ではなくなった”と言った言葉が何度も頭をよぎります。
それではインターネットが旅人にとっての中心となったのかというと、むしろ旅人は自分たちの中心を失ってしまい、もはや旅人であることもやめて、ただ移動するだけの通行人か傍観者と化してしまったのではないかとも...。
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2019年3月のスーパーカブで旅するタイ北部の模様を動画で公開しています。
https://youtu.be/ZVdfsPb6cCE
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