旅のウンチク

旅行会社の人間が描く、旅するうえでの役に立つ知識や役に立たない知識など。

ストレス社会

2008年10月23日 | ライフスタイル
 現代社会はストレス社会だと言われる事がよくあります。この表現を耳にするたびに、少し勝手な被害者意識なのではないかと思わされます。
 
 人間がもっと本能に忠実に生活していた時代、つまり狩猟採集の生活をおくっていた頃は、獲物が獲れなければ即飢えることになりますし、獲物を狩に出かけると、そこには危険な動物が待ち構えていて、自分が逆に狩られる立場になるかもしれません。そんな環境では、現代社会とは比べ物にならない、とてつもないストレスに晒されるのではないでしょうか。

 現代社会では、狩に出なくてもスーパーに行けば獲物は手に入りますし、スーパーが閉まっていても冷蔵庫に何らかの食物が備蓄されていることが多く、即座に飢えるわけでもありません。
 
 ただし、現代社会で我々が感じるストレスは、その場の状況によって感じるものというより、より長い期間に渡って感じ続けるストレスであるという特徴があるのかもしれません。

 そんな日々のストレスを解消するために、例えばスポーツをやったり、休日、レジャーでリフレッシュしたりするわけですが、例えば、こんな話はどうでしょう。

 『休日に友人達と晴天の野外でバーベキュー。』

 きっと気持ちが良いでしょうし、良いリフレッシュになりそうに思えます。

 『調理器具が故障して、明日から1ヶ月程度、全ての調理はバーベキューセットで。行ってください。』

 最初数日はピクニック気分ですが、その後、とてつもなくストレスになりそうですね。
 
 同じバーベキューでもストレス解消になったり、ストレスの原因になったり。人間の脳は非常に複雑な反応を示します。物事の捉え方次第であるともいえますが、前者と後者にはちょっとした違いがあります。それは”日常性”と”継続性”。

 休日にキャンプを楽しむ人もおられるでしょう。そういう方も、日常的にテントで暮らせるかというとどうでしょうか。私は3か月ほどほとんどキャンプだけで暮らしながら旅行をしたことがありますが、生活感のあるキャンプはレジャーとして楽しめる位置づけではなくなります。

 漠然としたイメージですが、リフレッシュとかストレス解消には”非日常”である事が一つの要因のように思えますね。つまり、一番最初の話題に出た、現代のストレス、これに継続性がある事、感じ続ける事がナウマン像に踏み潰されたりサーベルタイガーに噛み殺されたりする危険を犯すことから受けるストレスよりずっと人間にとって厳しいストレスで、やはり現代社会はストレス社会なのだと納得。

 という事は、現代社会のストレスに対する処方は、究極の非日常。『旅に出る』事なのかもしれません。


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