今となっては町の名前も忘れてしまいましたが、イランのとある町。その時、私は珍しく自分の行くべき宿泊先を決めていたのでした。目指したのは"モーテル サファイエ"。特に拘りがあったわけではないのですが、逆ルートでやってきて私とすれちがった日本人の旅人から得た宿泊先情報でありました。
町に入ってすぐに声をかけてきた車のドライバーに"モーテルサファイエはどこ?"と聞くと連れていってくれたそのモーテルは、広大な敷地が全体として森を形成していて、2部屋から3部屋を1セットとして、敷地内を走る道に沿ってコテージ型の部屋が互いに距離を置いて建てられています。
部屋に荷物を置いてシャワーを浴びると、既に少し薄暗い時間帯になっていました。このモーテルまでの道すがら、食事をできそうな場所が見出せなかった私は、今日はモーテルのレストランで食事をとる事にしていたのでした。チェックインの際、フロントとしての機能を持っている建物にレストランが設置されていた事も確認済みです。
森の小径を歩いてフロント棟へ。まだ少し時間が早いのか、人もまばらなレストランで夕食を注文しました。記憶は定かではないのですが、頭がボーっとしていた事はよく覚えているので、この日、結構な距離を移動してきたのだと思います。
レストランにはテレビが設置されていて、何だかニュースが流れています。イラン・イラク戦争当時の事なので、流されるニュースは戦争関係のように見えますが、何分、ペルシャ語なので私には全く理解できません。
食事をはじめてしばらくすると、レストランにどんどん人がやってきます。当時のイランでは女性の姿を目にする事は稀だったのですが、どういうわけか、ここには子供連れの女性も多数やってきて、満員になりました。
レストランの席が満席になっても、まだまだ人がやってきます。席につけなかった人は壁沿いに立ってテレビを眺めています。席に着いた人たちも全員テレビの方にイスを回してテレビを眺めています。そして、どういうわけか、時々、私の顔をチラリと見るのです。
しばらくすると、その人々がレストランの従業員に向かって口々に何かを訴え始めました。レストランの従業員は急ぎ足でテレビに近付くとチャンネルを変えて去っていきました。
何気なくテレビの画面に目を移すと、そこに映っているのは日本人にそっくりな人物。しかも女優の田中裕子さんにそっくりなのです。
実はこの数日前、ザヘダンの町で自分にそっくりな人物に会った私(自分探しの旅参照)は、やっぱりイランには日本人とソックリな人がけっこういるものだなと一人合点したのです。
ところが次の瞬間、画面に大きく映し出されたのは平仮名筆文字。
"おしん"
そして、レストランに居る全員の視線が私に集中。
私はそこで起こっている事がしばらく理解できずにいましたが、ペルシャ語に吹き換えられた日本のドラマ、"おしん"の放映の間中、皆の視線が時々私をチラと見る事を意識していました。
放映が終わると数人の男性が私のテーブルに集まってきて、"ここに座ってもいいですか"と尋ねて向かいに座りました。そして、この番組は日本でも人気があったのか?と尋ねられました。実は私は"おしん"を知ってはいたのですが、見た事はありません。でも人気があった事は事実でしょうから、"人気があった"と答えておきました。
彼等は続けます。
"この番組はすばらしい。日本の文化を教えてくれる。日本という国がどうして敗戦から立ち直って世界の先進国として素晴しい発展を遂げたのかを我々に教えてくれる。イラン人は"おしん"から日本を学び、日本からもっと学びたいと思っているのです。イランではとても人気のある番組なのです。"
"私たちは本当に日本人を尊敬しています。"
モーテルサファイエで"おしん"に熱心に見入っていたイランの人々、行儀よく見ていたイランの子供たち、彼らは今でも日本を尊敬してくれているのでしょうか。そして、我々はその尊敬に値する者として存在できているのでしょうか。
町に入ってすぐに声をかけてきた車のドライバーに"モーテルサファイエはどこ?"と聞くと連れていってくれたそのモーテルは、広大な敷地が全体として森を形成していて、2部屋から3部屋を1セットとして、敷地内を走る道に沿ってコテージ型の部屋が互いに距離を置いて建てられています。
部屋に荷物を置いてシャワーを浴びると、既に少し薄暗い時間帯になっていました。このモーテルまでの道すがら、食事をできそうな場所が見出せなかった私は、今日はモーテルのレストランで食事をとる事にしていたのでした。チェックインの際、フロントとしての機能を持っている建物にレストランが設置されていた事も確認済みです。
森の小径を歩いてフロント棟へ。まだ少し時間が早いのか、人もまばらなレストランで夕食を注文しました。記憶は定かではないのですが、頭がボーっとしていた事はよく覚えているので、この日、結構な距離を移動してきたのだと思います。
レストランにはテレビが設置されていて、何だかニュースが流れています。イラン・イラク戦争当時の事なので、流されるニュースは戦争関係のように見えますが、何分、ペルシャ語なので私には全く理解できません。
食事をはじめてしばらくすると、レストランにどんどん人がやってきます。当時のイランでは女性の姿を目にする事は稀だったのですが、どういうわけか、ここには子供連れの女性も多数やってきて、満員になりました。
レストランの席が満席になっても、まだまだ人がやってきます。席につけなかった人は壁沿いに立ってテレビを眺めています。席に着いた人たちも全員テレビの方にイスを回してテレビを眺めています。そして、どういうわけか、時々、私の顔をチラリと見るのです。
しばらくすると、その人々がレストランの従業員に向かって口々に何かを訴え始めました。レストランの従業員は急ぎ足でテレビに近付くとチャンネルを変えて去っていきました。
何気なくテレビの画面に目を移すと、そこに映っているのは日本人にそっくりな人物。しかも女優の田中裕子さんにそっくりなのです。
実はこの数日前、ザヘダンの町で自分にそっくりな人物に会った私(自分探しの旅参照)は、やっぱりイランには日本人とソックリな人がけっこういるものだなと一人合点したのです。
ところが次の瞬間、画面に大きく映し出されたのは平仮名筆文字。
"おしん"
そして、レストランに居る全員の視線が私に集中。
私はそこで起こっている事がしばらく理解できずにいましたが、ペルシャ語に吹き換えられた日本のドラマ、"おしん"の放映の間中、皆の視線が時々私をチラと見る事を意識していました。
放映が終わると数人の男性が私のテーブルに集まってきて、"ここに座ってもいいですか"と尋ねて向かいに座りました。そして、この番組は日本でも人気があったのか?と尋ねられました。実は私は"おしん"を知ってはいたのですが、見た事はありません。でも人気があった事は事実でしょうから、"人気があった"と答えておきました。
彼等は続けます。
"この番組はすばらしい。日本の文化を教えてくれる。日本という国がどうして敗戦から立ち直って世界の先進国として素晴しい発展を遂げたのかを我々に教えてくれる。イラン人は"おしん"から日本を学び、日本からもっと学びたいと思っているのです。イランではとても人気のある番組なのです。"
"私たちは本当に日本人を尊敬しています。"
モーテルサファイエで"おしん"に熱心に見入っていたイランの人々、行儀よく見ていたイランの子供たち、彼らは今でも日本を尊敬してくれているのでしょうか。そして、我々はその尊敬に値する者として存在できているのでしょうか。
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