旅のウンチク

旅行会社の人間が描く、旅するうえでの役に立つ知識や役に立たない知識など。

進んでる、遅れてる

2007年12月22日 | 旅行一般
海外を旅している時に、誰かが"日本より10年遅れているという感じだなぁ"と発言するのを聞いたり、自分自身がそういう感覚を覚えたりする事はないでしょうか。
一方で、"さすが進んでるなぁ"と感じる事もあるでしょう。そこで少し考えてみましょう。進んでいるとか遅れていると感じる場合というのはどういう場合でしょうか。

いずれの場合も日本での我々の日常とは違う場合である事は確かではないでしょうか。そこまでは進んでいると感じる場合も遅れていると感じる場合も同じです。それでは、どういう場合に進んでいると感じ、遅れていると感じるかという事です。それは単純に先進国と呼ばれている国を旅していて感じた事象には"進んでいる"と感じ、発展途上国と呼ばれている国を旅しているときに感じた事象には"遅れている"と感じている事が多々あるのではないでしょうか。これは偏見という奴です。

我々日本人は"モノマネ名人民族"と世界でも呼び名の高い優秀な民族で、他国の良い物をどんどん導入する事にかけては天才的才能を発揮できる性能を有しているのですが、その性能を阻害している要因があるとすると、上にあげた偏見だと思います。

例えば、今、問題とされている"格差社会"。これは景気の良いアメリカの経済をモノマネしようとした際に副作用としてもたらされたものであるわけですが、大元のアメリカにこの問題が存在しつづけてきた事から副作用がある事などわかってよさそうなものですし、それだけではなく、古くから社会にあった問題で、カールマルクスは産業革命がイギリス社会にもたらした格差社会の是正を考えてマルクス主義を考え、もっと古くから、イスラム教では格差から来る貧困を補うためのシステムをその教義の中に持っています。

イスラム教は紀元500年頃の思想ですから、格差問題はその頃の社会にも存在した"遅れた"現象といえますし、紀元2007年にまだ格差問題を抱えている社会、そして、格差社会に打つ手を持たない社会は"イラクより1000年位遅れているという感じだねぇ"と言う事もできますね。

そこに"民主主義を輸出する"という名目で社会を改革しようと押しかけるなんて、ありがた迷惑も良い所かもしれませんよ。

我々、モノマネ名人民族は、あくまでモノマネ名人であって、サルマネ名人に転落しないように注意しなければなりません。青く見える隣の芝生を盗んでくるなら、そこに一緒に付いてくる副作用をいかに避けるかを考えてから植えてこそ名人であります。遅れているという先入観を捨てれば発展途上国と呼ばれる国の生活にも我々が参考にすべき事が多々あります。どんどん荒んだ感じになっていくこの国の社会にいると、貧しいけれども屈託のない笑いが絶えない途上国の人々の方がずっと進んだ社会にいるのではないかと少し羨しくもなります。


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