旅行中に問題と取り組む際に、まず、それを問題と考えるのか、”違い”と考えて気にしないのかを考える事について前回書きました。仕事であれば自分や組織の思い通りにならない事は修正していかなければなりませんが、旅の場合は意図と違う事があっても、自分を順応させるという選択肢があるわけです。
さて、それでも解決に向けて取り組まなければならない問題と判断した場合、解決への取り組みはたいていの場合普段よりもずっと難易度が高くなります。言葉の問題はもちろんですが、旅先では気の利く友人や親族や同僚がいつの間にか解決してくれるような事は絶対ありませんし、同僚や部下に解決への面倒な努力を押し付ける事もできません。
こういう困難への心配が問題への直面を避けようとして出発前にああでもないこうでもないと情報収集したり、便利グッズを買いあさって荷物を増やしたりすることに繋がったり、旅行中の行動を過剰に消極的にする結果につながる事もあります。いや、インターネットの普及によって多くの情報が手に入る現在、多くの旅行者が以前よりむしろ消極的になっている事は案外この辺に理由があるのかとも思います。
実際のところ、旅の場合は問題を常に乗り越える必要があるわけではありません。解決せずに問題を取り除く一つの方法は”移動”です。ある意味”逃亡”ともいえます。
これで解消できるのは限定された問題となります。
例えば、見つけた宿が自分のイメージとは違いすぎる場合、別の宿へ移動するような話です。とりあえず1泊して、稼いだ時間で自分の思い通りの宿を探して移動する場合もあるでしょうし、宿に泊まる事を最終決断する前に部屋を見せてもらうようにすれば、それほど外れの宿に泊まることも無くなります。
少し長い期間の旅をしている場合は人間関係からの逃亡の場合もあります。親切な人だと思っていた現地の人や、他の旅行者が、実は自分の懐を目当てにしているだけだと気づいた場合や、その他ちょっと面倒な人間関係に巻き込まれた場合など、その人間関係に苦言と呈したりするよりも一気に別の町へ移動してしまった方が手っ取り早い解決になります。
こんな目的の移動の結果、自分の当初の計画とは違う町を訪れる事になるかもしれません。そんな予定変更こそ旅の楽しみの一つであるとも言えるのです。
常に問題と戦う事はありません。しなやかに逃げ出すのもまた知恵の一つなのです。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます