1987年。パキスタンと中国の国境であるクンジェラブ峠へ向かってバイクを走らせていた時の事。もうずいぶん昔の話になります。
峠は標高4,000mを大きく超えた場所なので酸素も少なく、人間もバイクも本調子ではありません。峠へ抜ける最後の区間は何度もスイッチバックを繰り返しながらどんどん標高を上げていくので本来ならバイクらしい機動性を楽しめるのだと思うのですが、バイクのエンジンもパワーが全然ない感じですし、人間もイマイチ元気がでません。頭も少しボーっとしてしまいます。考えてみれば富士山の頂上を越えた高さを走っているわけですから。
スピードの出ないバイクをボーっとした頭で走らせながら、道路脇に今まで見たことのない標識があることに気がつきました。徐行しながら読んでみると"雪豹に注意"という標識でした。
世界的に貴重な生き物である"雪豹"の生息地域なので車で轢いてしまったりしないようにという注意を促す標識だったわけです。
ここへ来るまでの間、安宿に泊まったり、道端で野宿したり、警察のチェックポストに泊めてもらったり、気ままに過ごしてきたのです。今日の宿泊だって"宿があるところまでたどり着けなかったら適当に野宿"という計画...いや無計画なわけです...。
ところがここには"豹"がいるのです。猫じゃなくて豹。動物園でしか見たがありませんし、雪豹はテレビでしか見たことがありませんが、それでも豹。バイクで貴重な生き物をはねてしまう心配よりも岩棚の上からヒョイと飛び掛かって来る雪豹の餌食として一生を終える事の方が心配です。
"ここでは野宿はできないな"
少し計画的な事が頭をよぎります。今朝、少しだけ立ち寄ってオーナーと雑談した安宿、"マウンテンリフュージ"までは十分帰れる距離ですから、それほど心配ではありませんが、実はクンジェラブ峠で野宿というアイデアもあったので少し残念です。
幸い、雪豹に襲われることはなく、残念なことに雪豹を目にすることもありませんでした。さすがに”貴重な生き物”です。
日本にいると、トラとかヒョウとかオオカミとかは動物園にしかいない生き物で、野山で危険な生き物はクマとイノシシ、あとは毒蛇くらいなので、檻を挟まずに同じ空間にヒョウがいるとかジャッカルがいるという事実を感じる機会は無いわけで、そういう意味では貴重な体験だったかもしれません。
その後もたいして反省することはなく、いろいろな国で野宿やキャンプを繰り返してきましたが、幸い動物の食事になることはありませんでした。おそらく肉食動物の餌食になる可能性よりも強盗の餌食になったり、ゲリラや警察や軍隊に拘束されたりする可能性の方がずっと高いのかもしれません。
先日、久しぶりに日本の山中で野宿をしていてふと"クマが出たら?"と考えて"食料とかはちゃんと保管したほうがいいかな"と考えている際に、ふと蘇ったのがこの雪豹の記憶だったのでありました。
峠は標高4,000mを大きく超えた場所なので酸素も少なく、人間もバイクも本調子ではありません。峠へ抜ける最後の区間は何度もスイッチバックを繰り返しながらどんどん標高を上げていくので本来ならバイクらしい機動性を楽しめるのだと思うのですが、バイクのエンジンもパワーが全然ない感じですし、人間もイマイチ元気がでません。頭も少しボーっとしてしまいます。考えてみれば富士山の頂上を越えた高さを走っているわけですから。
スピードの出ないバイクをボーっとした頭で走らせながら、道路脇に今まで見たことのない標識があることに気がつきました。徐行しながら読んでみると"雪豹に注意"という標識でした。
世界的に貴重な生き物である"雪豹"の生息地域なので車で轢いてしまったりしないようにという注意を促す標識だったわけです。
ここへ来るまでの間、安宿に泊まったり、道端で野宿したり、警察のチェックポストに泊めてもらったり、気ままに過ごしてきたのです。今日の宿泊だって"宿があるところまでたどり着けなかったら適当に野宿"という計画...いや無計画なわけです...。
ところがここには"豹"がいるのです。猫じゃなくて豹。動物園でしか見たがありませんし、雪豹はテレビでしか見たことがありませんが、それでも豹。バイクで貴重な生き物をはねてしまう心配よりも岩棚の上からヒョイと飛び掛かって来る雪豹の餌食として一生を終える事の方が心配です。
"ここでは野宿はできないな"
少し計画的な事が頭をよぎります。今朝、少しだけ立ち寄ってオーナーと雑談した安宿、"マウンテンリフュージ"までは十分帰れる距離ですから、それほど心配ではありませんが、実はクンジェラブ峠で野宿というアイデアもあったので少し残念です。
幸い、雪豹に襲われることはなく、残念なことに雪豹を目にすることもありませんでした。さすがに”貴重な生き物”です。
日本にいると、トラとかヒョウとかオオカミとかは動物園にしかいない生き物で、野山で危険な生き物はクマとイノシシ、あとは毒蛇くらいなので、檻を挟まずに同じ空間にヒョウがいるとかジャッカルがいるという事実を感じる機会は無いわけで、そういう意味では貴重な体験だったかもしれません。
その後もたいして反省することはなく、いろいろな国で野宿やキャンプを繰り返してきましたが、幸い動物の食事になることはありませんでした。おそらく肉食動物の餌食になる可能性よりも強盗の餌食になったり、ゲリラや警察や軍隊に拘束されたりする可能性の方がずっと高いのかもしれません。
先日、久しぶりに日本の山中で野宿をしていてふと"クマが出たら?"と考えて"食料とかはちゃんと保管したほうがいいかな"と考えている際に、ふと蘇ったのがこの雪豹の記憶だったのでありました。
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