中野笑理子のブログ

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困った風邪

2018年10月15日 | 日記
久々に相談事を持ち込まれました。
人生相談、いや、恋愛相談か。

相談者の彼女は既婚者でありながら、好きな人が出来てしまった。
けれども夫のことが嫌いになった訳ではなく、夫以上に好きな人が出来てしまった、と言うのです。
相手の男性は独身者であるけれど、どうしようもなく好きになってしまった、そしてそんな今の自分の状況を地獄のようだと言うのです。

つい先日、地獄めぐりをしてきたばかりの私には、あの地獄絵図が頭の中に浮かびました。
しかし話を聞く限り、彼女の言っている地獄は私が思い浮かべているような地獄ではなく、森瑶子さんの小説のような、苦しさの中にもその苦しさと同じくらいかそれ以上にある甘やかなものを感じました。

人を好きになることはいけないことではないけれど、そりゃ困ったね。
しかし今すぐ独身者の彼に告白するとかは、きっとしない方が良いと思う。
けれども人はしてはいけない、と言われたら余計にしたくなってしまういきものです。

まぁとりあえず一週間、様子をみてみましょうよ、と風邪の患者にお医者さんが言うように言ってみました。
今すぐどうこうしなくても大丈夫だから、もう少し様子をみて考えてもいいんじゃないかなぁと言うと、彼女も静かに頷いてくれました。

恋は世界で一番美しい病気、と中島らもさんは書いていました。
恋は底ぢから、とも書いておられましたが、それは言わずにおきました。
病気とだけ言ったら怒りだしたかもしれないけれど、世界で一番美しい、をつけたら納得してくれたようでした。

家庭と仕事の両立に少し疲れたのかもしれない、好きで堪らないと思っているのは案外、勘違いだったということもあり得ます。
彼女とご主人は、見る限りとても仲の良い夫婦なのです。
しかし実際のところは、ふたりにしかわからないであろうこともわかる。

もう既に独身者の彼と離れられない所にまで来てしまっているのなら話は別ですが、話からは、まだ引き返す余地が充分あるように思えたのです。
心の風邪ひきであることを願って、彼女を見送ったのでありました。