「キャサオ?セーヌ上流の海はどう? 今流行りの舟遊び。たのしいでしょ」
≪小舟の舟遊びーボナール夫人・ボナール≫
ドン!!ドン!! ドン!! ドン!!
「なに? キャー! あれが噂の巨大ウサギ!ウサズリーだわ!。な、鳴かないのね!そのかわりに地団駄踏んでる!」
ドン!! ドン!!
「やだ!こっちにくるわ!!」
「キャサオ!!あなたじゃ勝ち目ないわ!!」
ドン!! ドン!! ドン!!
「キャサオ!!」
「ドン!!ドン!!」
「ウサズリーを倒すなんて無理よ!キャサオ!!」
「ドン!!」
「ドン!! ドン!!」
カリガリガリ‥‥‥
「ウザズリーが痛がってる!!」
「ガリガリガリ!!」
「ウサズリーを倒したわ!でも、キャサオまで!キャサオ?!! キャサオ?おきてーー」
「キャサオは勇敢に戦って天国へ行ったのさ」
「お祈りしましょ‥‥‥」
「キャサオ‥‥‥」
「キャサオ‥‥‥」
「キャサオ。セーヌの海から、僕たちを見守ってくれよ」
「キャサオ‥‥‥」
「カット!!おつかれさまでしたーー」
「今日のは何?」
≪花束のある静物・ボナール≫
「モデルはなんということのない、そこにもここにもある花束のようであるが、『形態の倫理』と、それ以上に『色彩の倫理』を追求した、この心のやさしい画家ボナールにとっては、変質もないものに非凡なものを見る力があり、ルドンの花々の幻想性、神秘性は、むしろなんの変哲もなく、人生の片すみに置き忘れがちなものに、地上的な静けさと美しさ。そにに対して、ルドン対ゴジラ‥‥‥」
「ルドンじゃなく、ラドンじゃない?」
「きっと、ルドンからヒントをもらったんだよ‥‥‥」
「ええとーーなにか?」
「あ、続けてーー」
「ルドン対ゴジラといった時代の流行を取り入れて。かわいい動物と巨大化した狂暴な動物を出現されることによって、感動のスペタクル。すなわち、静物から動物。そして……」
「どうせお遊びでしょ」
「シーー」
「‥‥‥なんという哲学だ!」
「おつかれさま。さ、夕ご飯の支度ね」
「なんでだっちゃ!! おいら、ウサズリーやるだっちゃ!」
「言うこと聞かなかっただっち」
「巨大ウサギにしては小さいんです」
「今日は休日だっちゃ」
「別なものを撮影しましょう」
「ごめんねーー。これでいいかしら?」
「青っぽいのは、ありますでしょうか?」
「わかったわ。着替えてくるね‥‥‥」
「休日のところ、助かります」
≪踊り子、椅子。小石・マティス≫
『リモート・ボナール』ル・カンネ