子どもの頃、来客があると様子をみてのこのこと出ていき、菓子をねだった。
その場では怒られなかったが、客が帰った後、いつも父からきつく叱られる。
そんな時、母はいつも取りなしてくれたことを覚えている。
そんな思い出以外には、両親に叱られた記憶はあまりない。
次第に子どもに返る母に声を荒げることが増え、一方では優しかった母に対し、
申し訳ない思いがつのる。
母が「子どもに返る」という表現は、適切ではない。誰にも訪れる、脳の萎縮、
疾病にどう対応するべきか、ということなのだが、うまく対応できない。
そんな、思い出と言い争いの間で揺れる日々にも、いつか終止符が打たれる。
私は、母が23歳の時の子である。