【雲南地域】森林・林業のお知らせ

(島根県東部農林水産振興センター雲南事務所 林業部が伝える情報ブログ)

出前講座「森林のおくりもの」

2006年12月22日 | 森林教室
 雲南市三刀屋小学校からの依頼により12月12日に出前講座を開きました。5年生は国語の授業で富山和子さんの「森林のおくりもの」という文章を学習しています。森林の大切さについて平易な文章で記述してあります。この授業の一環として森林について学びたいということで出前講座の依頼がありました。
 
 「森林のおくりもの」の全文を掲載すればいいのですが長い文章なので、一部を紹介します。
     
「       森林のおくりもの
                             富山和子
 日本は森の国です。木の国です。国土の三分の二が森林です。
 豊かな森林に恵まれたということは、木材に恵まれたということです。日本にはいたる所すぐれた木材がありました。日本人は、その森林の恵みを精一杯利用して、「木の暮らし」を築いてきました。
 
 大昔から日本人は、木の家に住み、木の道具を使って暮らしました。
 ヨーロッパの古い町には、石やレンガの建物が目立ちます。橋も多くは石橋です。日本の古い町には、木の家が並んでいます。橋も昔は木の橋でした。
 ヨーロッパの人たちは、ナイフとフォークで食事をします。お皿やお盆にもよく金属が使われます。けれども、私たちは木のはしで食事をします。少し前までは、おわんも、お盆も、ご飯しゃもじも、おたまじゃくしも、ふろおけも、鉄道の枕木も、みんな木で作られていたのです。
 
 大昔から日本の山々は、木材の生産でにぎわいました。たくさんの木材が、山から切り出され、いかだに組まれて川を下っていきました。
 下流におろされた木材は、では、どのように使われたでしょうか。
 まっすぐなスギやヒノキの大木は、神社やお寺を建てるのに使われました。
 スギは日本の木材の代表です。スギは谷間の急斜面にも、天に向かってまっすぐに育ちます。そして軽くて丈夫です。その上割れば素直に割れます。 …
 …
 ヒノキも日本の木材の代表です。ヒノキは虫が付きにくく、くさりにくいうえ、雨にも風にも負けません。そこで、立派な建物にはヒノキが使われました。
 かたくしまったケヤキの木は、家を支える大黒柱になりました。木目が美しいのでタンスや机になりました。かたいので、お餅をつくきねやうすになり、荷車や水車の心棒になりました。
 水に強いカラマツやマツは、水車や橋になり、船を造るのにも使われました。
 キリはお琴に使われました。軽いうえ肌触りが心地よいので、上等なげたにもなりました。そして、お母さんの大事なタンスになりました。…

 木は木材になってもまだ生きています。呼吸をしています。水を吸ったりはいたりして、体をふくらませたり、ちぢめたりしています。…
 
 木は長生きです。切られてからでも五百年も千年も生き続けます。たとえば法隆寺を考えてみましょう。法隆寺は木造のもっとも古い建物です。…
 法隆寺に使われた木材は、樹齢二千年のヒノキでした。とすれば、このヒノキは、山の中で二千年生き、切られて建物になってから千三百年も生き、これからさらに千年以上も生き続けることになるのです。…
 
 紙は…    火は…
 
 木材と紙と火とー。それだけでもなんとすばらしいおくりものでしょう。けれども、それらは、森林の大きな働きからすれば、まだほんの一部に過ぎません。森林はもっと別のおくりものを届けてくれるからです。
 あなたは、川の水がなぜなくならないか考えたことがありますか。…
 その秘密こそ森林にあります。森林はふところ深く雨を受け入れると、少しずつ地下に送り込み、やがて下流にはき出してくれます。…
 …    山崩れや水害から平野を守ってくれているのも森林です。 …
 
 では、その森林は誰のおくりものでしょう。それこそは、大昔から先祖たちが植ついで、現代の私たちにおくってくれたかけがえのない遺産なのです。今も、山村の人たちは、木材を生産しながら山々を守っています。海岸でも風や砂と戦いながら、植林が続けられています。

 今、世界のあちこちで砂ばくが広がっています。おびただしい人たちが飢え、死んでいます。「地球の緑を守れ」という声は日増しに高まるばかりです。このようなとき、私たちは、緑豊かな国土に生まれたことに感謝しなければなりません。そして、森林を育てる仕事のすばらしさ、尊さを考えなければならないのです。 」

 という締めで終わります。

 小学5年生の社会でも理科でもなく国語で、森林の働きや森林で働く人々についての文章に出会うことができました。全国の小学5年生がこの授業で文章の読解力を身につけると同時に文章の内容…森のおくりものとはどういうことかをしっかり学んでほしいと思いました。ネットで文章を探しましたが見つからないので抜粋しました。

 授業はできる限り五感で感じることのできるようにと配慮し、スギ、ヒノキ、マツの葉と間伐材を使って色や香りや手触りにより説明をしました。
 森林の働きでは近くの山で森林の土を採取し、水を流して実験しました。45分という限られた時間でしたので、子どもたちに意図するところが十分伝わったかはわかりません。
 ただ、間伐材を試し割をすると、子どもたちはスギやヒノキの香りに興味を持ち、割材が人気だったのはうれしい悲鳴でした。 


 これから森の授業に出かけます。



 スギ、ヒノキの間伐材を使った授業。  早速年輪を数えていました。



森林の土と校庭の土をペットボトルに入れて水を流し込む実験をしました。



 考察の時間。

 

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