中原清一郎さんがお書きになった‥‥
カノン!
400ページ近くにも及ぶ長編小説だったのですが、一気に読んでしまいました! 7時間かけて^^;
でも時間が立つのも忘れてしまうくらい、夢中になりましたよ。
知人から本の推薦をされた際、(カタカナで)“カノン”って何のことだろう‥‥と不思議に感じていたのですけど、なんてことはない、人の名前だったのですね。
かいつまんで言うと“カノン”という名の若い女性。徐々に記憶を失くしていく難病にかかってしまった彼女と、末期ガンに侵された中年男性の「海馬」を交換し、立場を入れ替えて、それぞれの人生を歩んでいきます。
『それは、海馬が記憶の中枢にかかわる器官であるためだ。他人の記憶が移植されたときに、移植された人間は、いわばデータを上書きされたようにそれまでの記憶を失い、新たな記憶回路を埋め込まれる。記憶を司る海馬には、神経幹細胞があり、移植されると新たなニューロンを形成する。記憶が移植されると同時に、それが新たに肉体を統御するようになり、その人はまったく別の人格、人生を歩むことになるというのだった』 ※序章【交差する命】P12より
海馬の交換とは、すなわち互いの“記憶の交換”をするということ‥。
分かりやすく例えるなら、メモリースティックを交換するだけで他機種も使用できた、少し前の型のケータイのようなイメージでしょうか。
ただ、この物語の肝の部分ともなっている、性別も違ければ年齢層もまったく異なる二人の海馬の交換なので当然、様々な問題が生じます。
手術によって突如、若い肉体を手にした中身が中年男のカノン。女性として生きていく術を一から学び、日々の生活の中で起こるトラブルを都度乗り越えて、だんだんと“元の彼女”に近づいていく様が、ときに痛々しくも克明に描かれていきます。
死が目前に迫った、彼女の精神が宿る男の方は、そのとき何を想っているのでしょうか。カノンが手術を望んだ本当の理由と併せて、ぜひ本書でご確認していただけたらと思います。
と、ここまで少しマジメに?語ってみました(笑)。
でもどうなんでしょうねぇ。本書の時代設定は東京五輪後の「未来」の日本らしいのですが、いつかそういったことが現実となる日が訪れるのでしょうか。医学用語をふんだんに交えて書きつづる中原氏の文章をみていると、あながち“非現実”とも言いきれないような気がしてきます。
‥まあその暁でも、普段私たちが妄想している風には、なかなか簡単にいかないだろうし“容認”してくれる人も、ほとんどいなさそうですけれど^^;
そういえば読み進めていくうちに、「キスへのプレリュード」という作品を連想しました。
メグ・ライアン演じる若い花嫁と、通りすがりのお爺さんの心と体が入れ替わってしまう話ですよね。
ほら『まったくの別人となってしまっても、なお彼女を愛していられるか?』 そんなテーマだったでしょ?
今回もカノンも、幾分それに近かったのかなぁと。(彼女の)肉体を愛すか、精神を愛すか‥‥みたいなね。すごい大雑把な言い方ですけどw こちらも是非、洋でも邦でもいいから映像化してほしいと感じた次第。
最後に、いつものTS目線で!
術後のカノンの肉体となって目覚めたときの描写は、我々が日頃から目にしているTSF同様の違和感系?タッチを用いています。彼女の若い裸体を実際に目の当たりにしたときの男の反応は‥‥詳細は控えておきましょう(笑)
あと、いちばん可哀想なのは、ややもすると「蛇の生殺し」状態がずっと続くことになる、実はカノンの旦那の方だったのでは? ‥というのはありましたね^^;
カノン!
400ページ近くにも及ぶ長編小説だったのですが、一気に読んでしまいました! 7時間かけて^^;
でも時間が立つのも忘れてしまうくらい、夢中になりましたよ。
知人から本の推薦をされた際、(カタカナで)“カノン”って何のことだろう‥‥と不思議に感じていたのですけど、なんてことはない、人の名前だったのですね。
かいつまんで言うと“カノン”という名の若い女性。徐々に記憶を失くしていく難病にかかってしまった彼女と、末期ガンに侵された中年男性の「海馬」を交換し、立場を入れ替えて、それぞれの人生を歩んでいきます。
『それは、海馬が記憶の中枢にかかわる器官であるためだ。他人の記憶が移植されたときに、移植された人間は、いわばデータを上書きされたようにそれまでの記憶を失い、新たな記憶回路を埋め込まれる。記憶を司る海馬には、神経幹細胞があり、移植されると新たなニューロンを形成する。記憶が移植されると同時に、それが新たに肉体を統御するようになり、その人はまったく別の人格、人生を歩むことになるというのだった』 ※序章【交差する命】P12より
海馬の交換とは、すなわち互いの“記憶の交換”をするということ‥。
分かりやすく例えるなら、メモリースティックを交換するだけで他機種も使用できた、少し前の型のケータイのようなイメージでしょうか。
ただ、この物語の肝の部分ともなっている、性別も違ければ年齢層もまったく異なる二人の海馬の交換なので当然、様々な問題が生じます。
手術によって突如、若い肉体を手にした中身が中年男のカノン。女性として生きていく術を一から学び、日々の生活の中で起こるトラブルを都度乗り越えて、だんだんと“元の彼女”に近づいていく様が、ときに痛々しくも克明に描かれていきます。
死が目前に迫った、彼女の精神が宿る男の方は、そのとき何を想っているのでしょうか。カノンが手術を望んだ本当の理由と併せて、ぜひ本書でご確認していただけたらと思います。
と、ここまで少しマジメに?語ってみました(笑)。
でもどうなんでしょうねぇ。本書の時代設定は東京五輪後の「未来」の日本らしいのですが、いつかそういったことが現実となる日が訪れるのでしょうか。医学用語をふんだんに交えて書きつづる中原氏の文章をみていると、あながち“非現実”とも言いきれないような気がしてきます。
‥まあその暁でも、普段私たちが妄想している風には、なかなか簡単にいかないだろうし“容認”してくれる人も、ほとんどいなさそうですけれど^^;
そういえば読み進めていくうちに、「キスへのプレリュード」という作品を連想しました。
メグ・ライアン演じる若い花嫁と、通りすがりのお爺さんの心と体が入れ替わってしまう話ですよね。
ほら『まったくの別人となってしまっても、なお彼女を愛していられるか?』 そんなテーマだったでしょ?
今回もカノンも、幾分それに近かったのかなぁと。(彼女の)肉体を愛すか、精神を愛すか‥‥みたいなね。すごい大雑把な言い方ですけどw こちらも是非、洋でも邦でもいいから映像化してほしいと感じた次第。
最後に、いつものTS目線で!
術後のカノンの肉体となって目覚めたときの描写は、我々が日頃から目にしているTSF同様の違和感系?タッチを用いています。彼女の若い裸体を実際に目の当たりにしたときの男の反応は‥‥詳細は控えておきましょう(笑)
あと、いちばん可哀想なのは、ややもすると「蛇の生殺し」状態がずっと続くことになる、実はカノンの旦那の方だったのでは? ‥というのはありましたね^^;
男性側は若い男だと女の体に興味を持つので
老人にしてあるし、たばこやビールの嗜好品も
元の男性がたしなまないのに体に引きづられてといっていたのはいずれ元の女性が愛した主人を愛するようになることを暗示させているし、カノンといっただけで、自分のことを女性として認識するにいたったこと。元の女性に近づくのでなく融合した新しい女性の誕生であることが「カノン」に凝縮されている。
きっと女性として旦那さんを愛して、女性として出産をする道をこれから生きていくのだろうと、結末から予想できる。
単純なTSFではないが、深い文章だと思う。
ただ、TSマニアな自分としては思わず「ピクッ」と反応してしまう箇所もありました(笑)
すごく素敵な小説なのにヘンなことを言ってすみません!
作者の作品は今回、初めて目を通したのですが、おっしゃる通り、構成も見事でした。
中原さんという方も、私の記憶が正しければ主人公の寒河江の歳に近いかと思われますが、メイクの仕方であったり、若い女性のファッションであったり‥執筆前にずいぶんと研究を重ねたのでしょうね(それか以前から関心があったか)。
あと職場内での「女性社会」特有の空気感といいますか、そういった描写も本当にリアルに感じました。
>きっと女性として旦那さんを愛して、女性として出産をする道をこれから生きていくのだろうと、結末から予想できる。
そうですね、読者は皆そうなることを望んでいるでしょうね。
オンライン小説を除いて活字ものは最近読んでないですね。昔の海外ものだと「彼が彼女になった訳」「時空の支配者」あたりは好きでした。日本のだと有名どころの作家のものにもありましたね。「地球になった男」「狼なんてこわくない」「大変だぁぁ」「超革命的中学生集団」「あばよ!明日の由紀」あたり。マイナーだと「少女のようにキララかに」はオチが好きでしたね。
でもいざ真剣に読んでみたらよかったです。もっとも「カノン」がアタリだった可能性もありますが。
ディテールの奥深さといい、プロの書き手は違うなぁ、そんな風に感心させられましたね。
mieさんはたくさん活字の該当作品をご存知なようで!先述の経緯から“文字系”の情報提供して下さる方はこれまで多くはなかったので、嬉しいです。
コメしてただいた作品、大いに参考にさせて頂きたいと思います。ありがとうございました。
SF作家の巨匠で内容はそごくおもしろいです。
悪徳なんかこわくないとカノン前提はすごく共通する部分がありますが、根底になるものは違います。
手術による性転換、老人から若い女性への変身といった部分は同じですが、カノンは変身がテーマではない。そこが大きく違います。
今回はダークよりの漫画を紹介します。
タイトルは「Deep Stalker―ソノ皮デ美少女ニナル」で
非常にダークサイドによっているので気に入ってくれれば。
付き合いが長いだけに?さすがツボをよく分かってらっしゃる(笑)
amazonのレビューではあまり評価が芳しくないようですが、予想に反して「TSFチック」であったというものがほとんどで、逆に歓迎すらしてしまいましたよ。ポチ決定です。
「悪徳なんかこわくない」も、それこそダークテイストのようですね。mieさんも言われていたので、一読の価値はあるとみました。
今回もありがとうございます。
記事にあったカノンは正しくは歌音。元の女性の名前です。
自身を男性から女性へと意識した瞬間に叫んだ名前が
カノン。
歌音でなくカノンと叫んだのは似て非なる新しい女性への
変貌したから。中原さんお書籍はこのように読者に応じて深い解釈を提供する。
悪徳なんかこわくないは題材は同じですがあくまでも
SFです。
同じ作者ですが
「女の半生を生きた男、キャシー 」か
「男の半生を持つ女、ロージー」が
「悪徳なんか怖くない」より おすすめです。
どちらも入手困難ですが.
あちこちつまみ食い状態なのですが、皆さんのコメント通り、きめ細かな描写は見事ですね。
欲を言えば、女性になった中年男と、その子供の関係がとても丹念に描かれている一方で、亭主との間の夫と妻という関係はあっさりです。また女性性との向き合い方も物足りない印象ですね。
もっともそんなことを望んでいるのは我々TSF好きだけかも知れませんが。(自分が亭主だったら蛇の生殺し状態に耐えられないかも)
嬉しいですねぇ。そういってもらえると紹介した甲斐がありますし、情報を提供してくださった方も喜んでくれると思います。
中川さんに私らのような嗜好というか願望はおそらくなく、あくまでSF小説の一環として、お書きになったのでしょうね。
だからアダルティな要素を求めるのは筋違いなのかもしれませんけれど「蛇の生殺し」状態のことは、読後に私も真っ先に感じましたw
>考えてみればAVは心理描写とはほぼ無縁ですね
はい^^; でもAV以外ですと、そこまで踏み込んだものはつくれませんし、線引きが難しいんですよね。
たとえば「放課後」なんかですと、まちがっても観月ありさの裸はさらせませんし(笑)。
のちのち正式表明?する予定ではいますが、ボディジャックは回避する予定です。
やはり、エロだけが目的ではない自分にとって、見るに堪えない演出が多すぎますので‥
ただ、純文学としても、夫との夫婦関係とか、女性性というのはもっと書いてよかった、というか書いてしかるべきと思います。移植の原因を子供に求めすぎたのが、そこにしか説明ができないのが問題かと思います。
例え原因が子供だとしても、第二子が求められる状況とか、夫との夫婦生活を単に拒絶せずにそこで悩むという展開もできたハズです。カノンに生理は来てないようですし。(たぶん)
やはり男性作家の限界なのかもしれません。orz
>夫との夫婦関係とか、女性性というのはもっと書いてよかった
そうですねぇ。確かにそれなら我々のアンテナももっとビンビンに反応してたかもしれませんね(笑)。
カノンになって初めて友人と居酒屋で落ち合った描写、あったじゃないですか。
あのときの友人の反応などは心理的な観点からいうと、けっこう好きでしたけどね。
明日これを少しかじった記事を書きますので、またよろしくお願いします^^
>写、あったじゃないですか。
>あのときの友人の反応などは心理的な観点からいう
>と、けっこう好きでしたけどね。
あそこがカノンの萌えポイントの一つですかね。「周りから引かれる」っていうのはありがちですが、我々にとっては反応できるところです。
新しい記事期待してます。
議論を深めるには、もっとインタラクティブにやりとりできる環境があるとイイかも。