灯篭流しの海の上が暗くなり始めると、花火大会が始まるんだよ。
まさちゃん、デジカメで初めて花火撮ってみたわ
灯篭流しを写真に撮ろうと思って、まだ花火も始まってなかったし、ちょっと見えるとこまで行って撮ろうとしたら、後ろに場所取りしてたオバちゃん(といっても、まさちゃんと同じくらいの「人やったわ)
「どいてくださ~い!」って、強い口調で言われたいしまった。
まだ、なんにも始まってないし、ちょっと写真撮るだけだから、
『写真撮るだけでも、ダメですか~?』って、まさちゃんワザと冷静に言ったら、またまた怖い顔して「どいてくださ~い!」ってブーイングされた。声かけなかったのも、ちょっと悪かったけど、そんな風に言わなくても、いいじゃん って、まさちゃん思ったよ。
もっと、前のよく見えるところへ行って、今度は『あの~う、ちょっと写真撮ってもいいですか?』って、言ってみたら、今度の人はとっても優しくて「どうぞどうぞ~」って場所まで空けてくれたわ。
まさちゃん、短い時間に優しい人と、そうじゃない人とに出会って、ちょっとした事が人を優しくできるんだな・・・って教えてもらった。
そうこう、してるうちに、花火の時間になった。
花火って近くで見てると、音がすごいんだよね。まず、花火が上がっていく時「ひゅるひゅる~ひゅる~」って音がして、お玉じゃくしみたいに空高く、上がっていくんよ。
そして、上がりきったら、ほんの少しだけ時間があって、今度はどんな花火かな・・・ってワクワクしてると、「どっか~ン」っていう大きな音と一緒に色とりどりの花火がパ~って空一面に広がって、その音は体にまで伝わってくる。
昔は単純な花火しかなかったけれど、今じゃすごいね、いろいろと工夫されてて、今年はまん前で空を見上げながら、十分花火を楽しんだし、家の二階から見てるって言ってた母も、とても満足した様子だったわ。よかったよかった
花火が終わると、座り込んでた人達が一斉に立ち上がり帰り始める。
迷子になったら大変だから、お母ちゃんに『迷子になったらアカンからお姉さんと一緒にいてや~』って少し大きな声で言ったら、母はシッカリお姉さんの手をひいて、腰の曲がりかけた小さい体で、お姉さんの先を歩き出したから、おかしかったよ
また来年も、お兄ちゃんや子供達、お姉さんや、お母ちゃん、出来たらみんなで、花火を見に来れたらいいな、、、と思いながら、まさちゃんは帰っていった。