英国は中国から高速鉄道車両を買わない」
日立の交通CEO、現地生産に強み
【ロンドン=内藤泰朗】日立製作所のアリステア・ドーマー交通システム事業グローバル最高経営責任者(CEO)は、欧州での同社の鉄道事業戦略について説明し、英国で2017年から建設が計画されている新幹線(HS2)事業への参入に意欲を示した。一方、ライバルの中国企業が英国から新幹線車両を受注することはあり得ないとの見方を示した。
ドーマー氏は、英北部に完成した新鉄道車両工場について、「世界最高の技術が集積された山口県の日立製作所笠戸事業所が母親となって生まれた息子だ」と表現。「最高品質の車両が生産されることになる」と述べた。
そのうえで、ドイツのシーメンスやカナダのボンバルディアなど、競合メーカーとの世界的な競争にも勝てる態勢が整ったとの自信をみせた。売り上げ目標については、年間4千億円から8千億円規模に拡大させたいとの意向を示した。
さらに、人口が密集するロンドンとバーミンガム、マンチェスターなどを結ぶ英国の新幹線建設計画について、「日立には、英国が求める省エネや騒音対策技術、経験がある。フランスやドイツなど欧州では、高速鉄道はその国でつくられなければならない。英国もそう。英国が(現地に生産工場のない)中国から車両を買うことは考えられない」と説明。日立は英政府に魅力的な英国製車両を近い将来、提案できると語った