大阪府警は20日、府内在住の中国籍の50歳代女性が中国語の電話による特殊詐欺の被害に遭い、3800万円をだまし取られたと発表した。府警は「日本在住の中国人の名簿が出回っているとみられる。詐欺に注意してほしい」と呼びかけている。 発表によると、今月8日、中国の通信会社や警察官を名乗る男から中国語で、「あなた名義で携帯電話が購入されている」「詐欺で逮捕状が出ており、口座の金が詐欺の被害金か確認する」と女性に電話があった。女性は指定された銀行口座に4回、計3800万円を振り込み、だまし取られたという。
読売新聞
この7月、北朝鮮のミサイル発射が止まらない。
北朝鮮は、大型の移動式発射機を使用し、固体推進剤を使用する火星18型大陸間弾道ミサイルの発射試験を7月12日午前9時59分頃に実施した。
2023年4月の発射に続く、二回目の発射である。
飛翔時間は、北朝鮮の弾道ミサイルとしては最長の約74分、飛行距離約1000km、到達高度は6500kmを超えた。
この結果から、火星18は重量100kgの弾頭を1万5000km以上先に飛ばすことが出来るとの試算も報じられた(VOA 7/14付)。
北朝鮮は今回の火星18の発射試験を「戦略核戦力をさらに高度化することを目的とした必須の工程」(労働新聞 7/13付)と位置付け、火星18を将来の“戦略核兵器”にするというのである。
では、火星18をどのような戦略核兵器にするのだろうか。
火星18の先端部(弾頭部)に直結する三段目の直径は、約1.9mとみられている(38NORTH)。火星18型に搭載できる核弾頭を北朝鮮は完成させているのだろうか。
「新しい戦術核兵器」用の核弾頭
北朝鮮はすでに2017年に、推定直径75㎝のひょうたん型の水爆弾頭、またはそのモックアップをメディアで公開しているが、北朝鮮の労働新聞が2023年3月27日に初公開した樽型の「火山31型」核弾頭(?)は、「新しい戦術核兵器」用の核弾頭と定義されている(労働新聞 3/27付)。直径は5cm未満(韓国・中央日報 3/28付、軍事情報サイト「Oryx」日本語版管理人、Tarao Goo氏試算)で、重量は「20kg以下になる可能性」(韓国・中央日報 3/28付)も指摘されている。
北朝鮮は火山31について核実験を実施しておらず、核弾頭として起動するかどうかは不明であり、北朝鮮自身は「戦術核兵器」用の弾頭と位置付けているため、戦略兵器となる火星18型大陸間弾道ミサイルには別の核弾頭が搭載される可能性も否定できない。
しかし、前述のサイズや重量の推定値が正しいとすれば、火星18には、単純に見積もって火山31が4個以上搭載できるのかもしれない。そして、最大射程が1万500kmを超えるとなると、米国本土のみならず、欧州NATO諸国にも届きかねないことになる。
では、米国は北朝鮮が火星18の開発を進めるのを牽制もせず、見逃しているのだろうか。
異例の“3機同時着陸”
火星18が発射された7月12日午前9時59分の約20分後にあたる午前10時22分、東京・横田基地に米空軍のB-52H戦略爆撃機1機が緊急着陸した。
横田基地にB-52爆撃機が飛来するのは約30年ぶりであり、米空軍は「飛行中に整備が必要な事態が発生したため」と説明した。しかし、なぜ北朝鮮が火星18型大陸間弾道ミサイルを発射するタイミングで、B-52H戦略爆撃機を日本周辺で飛ばしていたかの説明はなかった。
B-52Hは、射程1000km以上とされるAGM-158B2 JASSM-ER巡航ミサイルを最大18発搭載できる。
AGM-158B2 JASSM-ER巡航ミサイルの射程なら、物理的には日本海のみならず、四国南方海上の空中からでも北朝鮮は射程内だ。
それだけではない。
「火星18型」の試験発射前日の7月11日には、青森・三沢基地に、2機のB-1B大型爆撃機が着陸した。
米空軍は「非核兵器を大量に搭載するB-1 は、米国の長距離爆撃機部隊の根幹」であり、「乗組員に空軍基地とさまざまな地域での作戦に慣れさせる」ことで「即応性のある世界規模の打撃能力が検証できる」と説明した。
B-1B爆撃機もまた、射程1000km以上のAGM-158B2 JASSM-ERミサイルを最大24発搭載可能だ。横田に緊急着陸したB-52H爆撃機と合わせてみると、米空軍の大型爆撃機3機が同時に日本に着陸しているという異例の事態になっていたのであり、まるで“何か”を牽制しているかのようであった。
しかしそれでも前述のように、将来の“戦略核戦力”の更なる高度化を目指す北朝鮮は、米空軍の異例な“抑止”を無視するかのように「火星18型」の発射試験を強行したのである。
火星18型大陸間弾道ミサイルの発射翌日の7月13日には、米空軍は横田に緊急着陸したのとは別のB-52H爆撃機を派遣し、韓国空軍や航空自衛隊と個別に共同訓練を実施した。
42年ぶりの米戦略ミサイル原潜の韓国入港と北朝鮮の反発
そして7月18日には、韓国の釜山に米海軍のオハイオ級戦略ミサイル原潜ケンタッキー(SSBN737)が入港した。
韓国への戦略ミサイル原潜の入港は、1981年3月に鎮海にロバート・E・リー(SSBN601)が入港して以来、42年ぶりとされる。
北朝鮮は、ケンタッキーが韓国へ入港した翌日の19日、「午前3時半ごろから同3時46分ごろにかけて…平壌の順安付近から朝鮮半島東の日本海上に向け、短距離弾道ミサイル2発を発射した」(韓国・聯合ニュース 7/19付)。
この2発のミサイルについて、浜田防衛相は同日の臨時記者会見で「落下したのはいずれも朝鮮半島東の我が国の排他的経済水域外」「当該弾道ミサイルは変則軌道で飛翔した可能性があり…1発目が3時29分頃発射し、最高高度約50km程度で、約550km程度飛翔。2発目は、3時45分頃発射、最高高度約50km程度で、約600km程度飛翔したとみられる」と発表した。
これもまた、北朝鮮による米軍の牽制、抑止をあえて無視したかのような動きであった。
変則軌道というのは、従来の弾道ミサイルのような単純な楕円軌道ではなく、途中で軌道が変化して、どのように飛ぶか予測がつきにくい飛び方のことをいう。従って、弾道ミサイルの未来位置について予測計算が難しくなると、迎撃ミサイルをその予測位置に放つことが難しくなる。つまり、弾道ミサイル防衛が難しくなるということだ。
北朝鮮が19日に発射したミサイルだが、①発射が2発連続して行われたこと、②飛距離が約550kmまたは約600kmであったこと、③最高高度が約50kmであったこと、④変則軌道であったことから断定は出来ないが、北朝鮮が保有・配備しているミサイルのなかでは、KN-23短距離弾道ミサイル、または、その射程延長型とみられる。
この飛距離550㎞は、ミサイルが発射された平壌の順安から、米海軍戦略ミサイル原潜ケンタッキーが入港した釜山までの距離にほぼ匹敵する。つまり、ミサイルの発射方向を南に変更すれば、物理的には釜山は射程内だったかもしれない。しかも、最高高度50㎞で変則軌道ということになれば、迎撃は難しいと考えられても不自然ではない。
韓国・尹大統領の足下にトライデントⅡD5戦略核ミサイル
しかし、韓国の尹錫悦大統領は、釜山入港中だった米海軍戦略ミサイル原潜ケンタッキーに夫婦で乗艦し、トライデントⅡD5戦略核ミサイルの発射装置の蓋を踏みしめ「高度化している北朝鮮の核・ミサイル脅威に圧倒的で決然と対応していくだろう」と強い言葉を放ったのである。
戦略ミサイル原潜の韓国入港は、あくまでも北朝鮮に対する牽制であり、抑止であるというのだ。
ケンタッキーには、核弾頭を内蔵したトライデントⅡD5弾道ミサイルを24発搭載できる。しかし、トライデントⅡD5ミサイルの射程は、1万2000kmとされ、物理的には、日本海、東シナ海から北朝鮮を射程内とするなら、その距離を遥かに超えることになる。
物理的に北朝鮮を射程にするのなら、ケンタッキーは、むしろ太平洋側に出るか、トライデントⅡD5ミサイルを意図的に高く打ち上げて手前に弾着させるロフテッド軌道、または逆に低い軌道で飛距離を短くするデプレスド軌道にする必要があるだろう。しかし、ロフテッド軌道であれ、デプレスド軌道であれ、いずれも敵に相対的に近づき、ミサイル発射の瞬間に露見しやすくなるので、戦略ミサイル原潜の本来の用途からは望ましくないだろう。
そして北朝鮮は、戦略ミサイル原潜ケンタッキーの韓国入港は抑止にはならないとでも言わんばかりに、ケンタッキーの入港先である釜山を射程に出来る変則軌道のミサイルを2発発射したのだ。
では、先述の尹大統領の強気とも見える発言には何があるのだろうか。
変則軌道ミサイルの意外な弱点?
2023年5月4日、ロシアは、極超音速空中発射弾道ミサイル、キンジャールをMiG-31K攻撃機から発射した。
キンジャールは、MiG-31K作戦機やTu-22M3爆撃機に吊り下げられて投下され、空中で噴射を開始すると複雑に機動しマッハ10という極超音速で飛ぶ、変則軌道のミサイルだ。
そしてキンジャールは、「非核」弾頭だけではなく、威力がTNT爆薬換算で5~50ktの核弾頭も搭載出来る(Jane Weapon Systems STRATEGIC 2023-24)。
キンジャールのベースとなったのは、イスカンデル複合ミサイル・システムから発射される9M723弾道ミサイルだ。
9M723弾道ミサイルは、西側のミサイル防衛をかわすため、レーダーに映りにくい弾体構造及び素材を使用し、楕円軌道なら最高到達高度80kmであるのに対し、迎撃レーダーを極力かわすため、最高高度50kmの低進弾道で飛翔することが可能だとされていた。
この性能は、±30度まで可動の4枚の動翼と、噴射口に突き出して噴射の向きを調整する4枚のベーンを使って実現するもので、さらにこのミサイルは、上昇段階のブースト・フェーズと標的に向かう最終段階のターミナル・フェーズで機動できるとされていたのである。ベーンは、上昇途中の高度12~15kmまでミサイルを機動させるのに有効とされる。
そして、北朝鮮のKN-23ミサイルもまた、単純な弾道軌道を描かない9M723弾道ミサイルと噴射口の形状などが似ている。
弓なりの楕円軌道を描いて飛ぶ従来の弾道ミサイルに比べれば、9M723ミサイル(と、性能向上型の9M723―1ミサイル、それにKN-23ミサイル)は、西側のミサイル防衛を回避するために機動し、推進材の燃焼終了後は滑空しながら“不規則”な飛び方をすることになる。
キンジャールは、噴射口内に突き出したベーンやX字翼を使って機動し、敵の防空システムを回避しながら最高速度マッハ10に達する。
キンジャールの飛翔中の最高高度は30kmとされ、日米のイージス艦に搭載される弾道ミサイル迎撃用のSM-3迎撃ミサイルが、空気の薄いところ、高度70km以上でしか迎撃実績がなく、米陸軍のTHAAD迎撃ミサイルも迎撃高度が約40~150kmとされているため、キンジャールの飛行高度そのものもミサイル防衛を回避するのに向いていると言えるかもしれない。
キンジャールは2022年に10~12発、そして2023年3月にはウクライナに発射されていたが、これらはウクライナ軍に撃墜されたことはなかった。
極超音速空中発射弾道ミサイルの撃墜
しかしウクライナ軍は5月7日、5月4日にロシアが発射したキンジャールを、4月下旬に米、独、オランダから供与を受け配備されたパトリオットによりキーウ近郊で撃墜したと発表。米国防省も追認した。
キーウで公開されたキンジャール・ミサイルの弾頭(爆発部分)の残骸らしきモノには、斜め前から何かが衝突して金属が避け、深さ数cmの穴があった。
標的を直撃するミサイル。これは、在韓米軍や自衛隊にも配備されているPAC-3ミサイルまたはPAC-3MSE/PAC-3CRIミサイルの特徴の一つ、「Hit-To-Kill」と呼ばれる、いうなれば、体当たり攻撃モードにそっくりだ。
PAC-3ミサイルは、側面に多数の小型噴射口が装備されていて、小型噴射口からの噴射で、飛翔中のPAC-3ミサイルの進行方向を細かく変更し、標的に向かう。そして、標的をえぐるように体当たりをするモードがあるのだ。
キンジャールを撃墜したのが、PAC-3ミサイルであるなら、それは、どのように行われたのだろうか。
キンジャールは、最高速度マッハ10に達するかもしれないが、ミサイル防衛を避けるために機動すれば、速度は落ちる。特に、噴射終了後の大気中での機動なら、さらに、キンジャールの速度は落ちるだろう。
PAC-3ミサイルの射程は20~30kmとされ、防御範囲は狭いが、ロシアが放ったキンジャールが、狙ったのは、まさに4月にウクライナに引き渡されたばかりの「パトリオット地上配型迎撃ミサイル・システムそのものだった」と報じられた(CNN 5/14)。つまり、キンジャールが機動して、速度が落ちて、PAC-3ミサイルの射程に入ったところで撃墜された。返り討ちにあった、というような状況だったのだろうか。
KN-23でも同じような状況が起こると考えられても不思議ではない。速度が落ちたキンジャールならPAC-3ミサイルの標的になりえたなら、KN-23やそれを小型化したような「新型戦術誘導兵器」もPAC-3ミサイルで迎撃可能となるかもしれない。
韓国軍は、PAC-3システムを航空自衛隊に匹敵する24個中隊(120発射装置)分保有しているほか、在韓米軍もPAC-3システムを一固大隊(2~6個中隊)分配備している。
尹大統領の強気とも見える発言の背景には、米海軍の戦略ミサイル原潜をKN-23の射程内に入港させても、KN-23のような北朝鮮の変則軌道のミサイルを迎撃できるPAC-3地上配備型迎撃ミサイル・システムがあるのではないだろうか。
ケンタッキーが韓国・釜山を離れた翌日にあたる7月22日午前4時頃から、北朝鮮は、朝鮮半島西の黄海に向けて、複数の巡航ミサイルを発射した(聯合ニュース7/22付)。発射されたミサイルの種類は断定できないが、金星3型地対艦巡航ミサイルや戦略巡航ミサイル「ファサル(矢)-1」または「ファサル(矢)-2」等が考えられるだろう。
北朝鮮の主張によれば、ファサル-1は飛距離1500km、ファサル-2なら1800kmの飛行実績があるミサイルだ。
北朝鮮もまた、米韓側、特に尹錫悦大統領の動揺を誘おうと懸命なのかもしれない。
FNNプライムオンライン
【執筆:フジテレビ上席解説委員 能勢伸之】
韓国軍合同参謀本部は、北朝鮮が24日午後11時55分(日本時間同)から25日午前0時ごろにかけて、首都平壌周辺から日本海に向け短距離弾道ミサイル2発を発射したと明らかにした。日本政府関係者によると、ミサイルは日本の排他的経済水域(EEZ)外に落下したとみられる。 24日に米原子力潜水艦アナポリスが韓国南部済州(チェジュ)島に入港。米韓は「核の傘」に象徴される拡大抑止の強化を目的に戦略兵器の朝鮮半島展開を活発化させており、北朝鮮が反発した可能性がある。 北朝鮮は12日、約3カ月ぶりに大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星18」を発射。弾道ミサイルを搭載できる戦略原潜ケンタッキーが18日に韓国に入港すると、19日未明に平壌郊外の順安(スナン)付近から短距離弾道ミサイル2発を発射した。 さらに20日には、北朝鮮の法令で定める「核兵器の使用条件に該当し得る」と戦略原潜入港に反発する国防相談話を発表。22日、朝鮮半島西側の黄海に向け数発の巡航ミサイルを発射するなど、軍事的威嚇を強めている。 北朝鮮は、朝鮮戦争の休戦協定締結から70年となる今月27日前後に大規模な閲兵式を開催する見通し。(ソウル 時吉達也) 産経新聞
防衛省は25日未明、北朝鮮が弾道ミサイル2発を東方向に向けて発射したと発表した。2発とも朝鮮半島東側の日本海で、日本の排他的経済水域(EEZ)外に落下したと推定される。現時点で被害情報は確認されていない。 政府は北朝鮮に対し、北京の大使館ルートを通じて厳重に抗議し、強く非難した。 防衛省によると、1発目は24日午後11時54分ごろ発射し、最高高度約100キロ、飛距離は約350キロ。2発目は同59分ごろの発射で、最高高度約100キロ、飛距離は約400キロだった。 浜田靖一防衛相は、米国や韓国などと緊密に連携しつつ、情報収集・分析に全力を挙げることや不測の事態に備え、警戒監視に万全を期すよう指示した。
産経新聞
防衛省は25日未明、北朝鮮が24日午後11時54分頃と同59分頃に、内陸部から弾道ミサイル2発を東方向に発射したと発表した。いずれも日本の排他的経済水域(EEZ)外の日本海に落下したと推定される。 飛行距離はそれぞれ約350キロ・メートルと約400キロ・メートルで、最高高度はいずれも約100キロ・メートルだった。航空機や船舶への被害は確認されていない。
読売新聞