「バイト代が出たら母さんに渡すね。これまでたくさんお小遣いをもらってきたお返しに」
こう話していた17歳の高校生。
ことし3月、自分の部屋で倒れて亡くなっているのをきょうだいが見つけた。
その体内から検出されたのは鎮痛剤として使われるフェンタニル。
いまアメリカで、このフェンタニルが原因で命を落とす若者が相次いでいる。
いったい何が起きているのか。現地を取材した。
(ワシントン支局記者 西河篤俊)
1錠数ドルで薬物中毒に
われわれが向かったのはアメリカ西部アリゾナ州。
あのグランドキャニオンがあり、メジャーリーグのキャンプがよく行われるところでもある。
州都フェニックスを車で移動していると、路上で横たわる人たちが目に入ってきた。体をくの字に曲げ、もうろうとした状態の人も。
あのグランドキャニオンがあり、メジャーリーグのキャンプがよく行われるところでもある。
州都フェニックスを車で移動していると、路上で横たわる人たちが目に入ってきた。体をくの字に曲げ、もうろうとした状態の人も。
薬物中毒の症状とみられる。
こうした人たちを支援する団体のメンバーとともに街なかを回っていると、1人の男性が話を聞かせてくれた。
路上生活をしている28歳の男性。
数年前からフェンタニルを服用しているという。密売人を通じて1錠数ドルほどで、簡単に手に入れられると打ち明ける。
「路上生活で背中が痛いときなどに飲むと、痛みを止める効果があります。高揚感も得ることができます。とても強くてハイになれるから、その感覚を得ようと何でもしてしまいます。どこでも買えるから、金さえあれば買ってしまうんです」
鎮痛剤のフェンタニルが違法薬物として
もともとはがんの痛みをやわらげるなど、合法的な鎮痛剤のフェンタニル。
それが最近ではメキシコで密造されたものが国境を越えてアメリカに流入し、密売人などを通じて違法に売買されている。
ヘロインの50倍、モルヒネの100倍の鎮痛作用があると言われているが、見た目は普通の錠剤と変わらない。このため、強い薬物と知らずに飲んで過剰摂取となるケースが相次いでいる。そもそもの問題は2000年代にさかのぼる。
オピオイドと呼ばれる鎮痛剤が、痛み止めとして比較的簡単かつ合法的に使用されるようになり、依存する人が一気に増えた。
オピオイドの中にはいくつかの種類があるが、中でも格段に強いのがフェンタニルで、その強さから命を落とす人が相次ぐようになったのだ。
それが最近ではメキシコで密造されたものが国境を越えてアメリカに流入し、密売人などを通じて違法に売買されている。
ヘロインの50倍、モルヒネの100倍の鎮痛作用があると言われているが、見た目は普通の錠剤と変わらない。このため、強い薬物と知らずに飲んで過剰摂取となるケースが相次いでいる。そもそもの問題は2000年代にさかのぼる。
オピオイドと呼ばれる鎮痛剤が、痛み止めとして比較的簡単かつ合法的に使用されるようになり、依存する人が一気に増えた。
オピオイドの中にはいくつかの種類があるが、中でも格段に強いのがフェンタニルで、その強さから命を落とす人が相次ぐようになったのだ。
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