昨夜見た夢
・・・・・、
何かとても小難しい試験を受けていた。
例によって答えが分からないどころか、
各問題の題意が全く理解出来ない。
時間を見ると、
試験開始から1時間近く経っていた。
周囲を覗いてみると皆もう、
解答用紙の大半を埋めている。
突然、
隣の席に居た女の子が立ち上がり、
解答用紙を片手に荷物を纏めて、
さっさと出て行った。
同じクラスではないけれど、
よくこの授業で見かける女の子で、
少し、いや私は、
物凄く彼女の事が気になっていた。
「何処の学科の子だろうか・・・。
いやそんなこと考えてる時ではない」
と、目前の机に意識を戻すと、
脇に押しやっていた私の解答用紙がない。
どういうことだろうか。
相当慌てながら顔を上げると、
向こうの隅に居た友人たちの一人が、
目立たない様な素振りで、
こちらに合図をした。
「そろそろ退出しようか。
今からみんなで何か食べに行くぞ」
と、そんな風に見えた。
いや、こっちは解答用紙が無くて、
それどころでは・・・・、
いや何の道、
粘ってみても出来そうにないし、
必須科目でないから落としても、
まあいいか。
たわい無いことを笑談しながら、
長く続く校舎前の通路を歩く、
友人たちの後に気怠く付いて行く。
試験の話は直ぐに止めてしまったので、
多分彼らも出来は余り良くないのだろう。
「○○君」と私を呼ぶ声がした。
振り向くとさっきの女の子がそこに居て、
彼女の言うには、
「あなたの解答用紙を、
間違えて一緒に持ち出してしまった。
わたしのノートとかに紛れていたので、
直ぐに気が付かなかったから、
今、先生の所に行ってあなたが、
再試験を受けれる様に頼んだら、
先生は明日、
午前中に来なさいと言っていた」
何だか、
「再試験を、
掛け合って来たのだから
わたしに感謝しろ」
見たいに得意げに、
彼女はそこに立っていた。
それは良いけど先ず何より、
間違えて俺のを持って行ったなら、
謝罪の言葉があるべきだろう。
そう思いながら、
立ちすくんでいる私をまじまじと見て、
「あなたの答案を見たけど、
あれでは、
とても合格点は取れないわ。
こんな所でのんびりしてないで、
早く帰って明日まで勉強したら」
更に勝ち誇った様子で彼女は、
踵を返してさっさと立ち去った。
淡い光の中に、
赤や黄色や白色が時々揺れる、
花壇の向こうに彼女の姿が消えた時、
私は、はっと気が付いた。
何で、
「それなら一緒に帰って、
明日まで勉強を教えてよ」
と、
彼女に言葉を返さなかったのか!!
あいつ珍しく、
女の子と話をしてるから、
置いてってやれとばかりに、
友人たちも、
もう其処には居なかった。
・・・・・、
目が覚めて改めて、
夢とはいえ、
惜しいことをしたと思った。
夢は夢で過去に、
実際にあったことではないけれど、
それにしても今考えると、
惜しいことをしただとか、
損したなあと、思うことが多々ある。
季節の花だろうか。
今日は、
あの頃と同じように、
穏やかな日差しの中、
爽やかな香りが漂う。