低髄液圧症候群、または脳脊髄液減少症:その3

2019年10月17日 09時47分00秒 | 日記
私が、バアバは脳脊髄液減少症なんじゃないかと思いついたきっかけは、弟とバアバの話を聞いていたことだった。

実は、バアバの体調が悪くなってから、私は土日に実家に上がらないようにしていた。平日は仕事をしているから仕方ないとしても、土日くらいは、バアバもジイジも、りょうちゃんのいない環境でゆっくりできた方がいいと思ったからだ。平日についても、例えばファミリーサポートとか、保育園の一時預かりとかで預かってもらえないか検討もしたけど、ファミリーサポートは事前の登録が必要だったり、保育園の一時預かりは希望者が多くてほとんど空きがないか、毎月抽選で、しかも事前に登録のためにそれぞれの保育園まで行かないといけなかったりして、かなりの手間がかかるため、仕事もそうしょっちゅう休めないし、ジイジが夕方まで公園に連れ出してくれてて、別に預ける必要はないと言ってくれてたので、結局、そのまま毎日見てもらっていた。

でも、仕事帰りにりょうちゃんを迎えに寄った時に、ちょこちょこバアバに様子を聞いていたところでは、喘息の症状が一番辛いようだった。だから、りょうちゃんが風邪をひいてバアバに移さないように気をつけていた。ただ、喘息と言うわりには薬を飲んでも効果がイマイチで、逆にどんどん体調が悪化しているように見えることが気になっていた。
そもそも、薬が合ってないんじゃないか? 本人は喘息と言ってるけど、何か別のアレルギーなんじゃないか? そんな風にも思えた。なぜなら、咳がそれほどひどくないのに、具合が悪いとしきりに言ってたからだ。それに、病名が付く半年くらい前の2016年の後半頃には、なんというか表情筋が緩んでいて、発音も不明瞭で、話をしてても理解力が落ちてるような気がしていた。

そんな時に、たまたまネットで、喘息は誤診が多いという国立相模原病院のアレルギー科の先生のコラムを見つけた。喘息と診断されて強い薬を投与され、まだ若いのに身体がボロボロになったケースもあったとのことだった。もしかしたら、バアバもそうかもしれない。これは、一度、専門の病院、できれば国立相模原病院で診察を受けるべきだ、と思った。

で、その話をしようと思っていた週末、たまたま弟家族が実家に遊びに来た。子供たちが遊んでいる間、バアバと弟と3人で話をしていて、バアバが弟に症状を説明しているのを聞いていた。
そして、聞いているうちに、なんか変だぞ? と思った。バアバが訴えているのは喘息の症状じゃなくて、「頭がグワーンとして起きてられない」「脳がグラグラする感じがする」「常に普通じゃない疲労感がある」「胸のところがカーッとして苦い味がする」「とにかく、あっちもこっちも具合が悪い」ということだった。

あんまりビックリしたので、「それ、喘息じゃないんじゃない? なんか、アレルギーって感じもしないし。むしろ、脳の方なんじゃないの?」と言った。
でも、バアバは、「CTもMRIもやったけど、異常なしって言われたから」とのこと。それで、「一度、国立相模原病院でアレルギーの検査をして、まずは本当に喘息なのかを調べた方がいいよ」と言ったら、実はバアバも同じことを考えていたので、早速、予約してみる、とのことだった。

さて、喘息の方はとりあえずそれでいいとして、問題は脳の方だ。試しに、バアバが言っていた症状を、ひと通り検索ワードにして、ネットで検索をかけてみた。さらに、その時に、原因不明の体調不良とか、診断が付かない、というようなワードも入れてみた。すると、「脳脊髄液減少症」がヒットした。

この時の私は、脳脊髄液減少症についてほとんど知識はなかったけど、脳脊髄液減少症になった人の話をテレビで観たことがあることを思い出した。その人の場合も、どこの病院でもなかなか診断が付かず、原因不明の体調不良に長年悩まされ、家族の誰かがたまたまテレビで脳脊髄液減少症の話を聞いて、自分の身内の症状に当てはまってるんじゃないかと思い、すがるような気持ちで専門医の診察を受けたら、やっぱり脳脊髄液減少症だった、という話だった。

正直、この病名を目にした時、まさに「これだ‼️」と思った。症状を調べてみたら、バアバの話に当てはまることがいくつもあった。そして、国際医療福祉大学熱海病院の篠永先生が有名で書籍もあることを知り、すぐにネットで注文。読んでみたら、ますます確信が深まった。

それで、バアバにも「もしかしたら、脳脊髄液減少症かもしれないよ」と話して、本に書かれている症状を話すと、「すごく当てはまる。なんだか、そんな気がする」と言うので、本を渡して読んでもらった。その結果、やっぱりバアバも確信が深まったようだった。

それで、とにかく、脳神経外科の先生に診てもらおう、そして、もし脳脊髄液減少症だった場合には、そこの病院ですぐに治療を受けられるように、ブラッドパッチをやっている病院に行かなければ、と思って探し出したのが、K大学病院だった。
かかりつけ医に事情を話すと紹介状を書いてくれたので、そのまますぐに予約を取り、私も診察に同行することにした。

これできっと病名が付いて、治療してもらえるようになる‼️ 
素人だから、いくら本を読んだと言ってもそれが間違っている可能性だってもちろんあると思ったけど、なぜか、それよりも「きっとバアバは脳脊髄液減少症だ」という確信の方が強かった。
だから余計に、K大学病院で、「脳脊髄液減少症じゃない。精神的なものじゃないか」と言われたのがショックだったんだけど・・・(詳しくは、低髄液圧症候群、または脳脊髄液減少症:その2へ)。

この後の展開などについては次回に詳しく書くが、ここで強調したいのは、「本人の体調を、必ずしも本人が一番理解しているとは限らない」ということだ。

実を言うと、これは私の反省でもある。もっと早い段階でじっくり話を聞いていたら、もっと早く脳脊髄液減少症にたどり着けたんじゃないだろうか。
当たり前だけど、バアバはもう大人だから、自分の症状を医者に伝えられるし、自分の体調を一番よく分かっているのはバアバ自身だからと思って、病院に付き添うという発想がそもそもなかった。それに、昔は時々喘息の発作が出ていたのを知ってたので、バアバに喘息が出たと言われて、「最近は出てなかったのに?」と若干疑問に思っても、医者から喘息の薬をもらったと聞けば、「やっぱり喘息だったのか」と、それ以上おかしいとは思わなかった。
怪我をした後、体調がなかなか回復しないからと、バアバがあちこちの病院に検査に行って、「異常なしだった」と言われれば、最初の頃は「良かったね」と思ってたし、ゆっくりしてればそのうち良くなるでしょう、くらいに考えていた。

でも、今になってみれば、そうじゃなかったんだな、と思う。

医者の「異常なし」は、「病気じゃない」ではなく、「今の検査では何も見つかりませんでした」というだけに過ぎないことが、本当によく分かった。

医者が、自分の専門分野以外のことには、あまり熱心になってくれないことや、それ以上、積極的に他の検査や、他科への受診を勧めてくれたり、他の病気の可能性を示唆してくれることは少ないことも分かった。

さらに、病気の渦中、特に、日によって症状が違ったり、すごく具合が悪い時には、患者本人はそれを自分の中で整理して、総合的に考えることなどできないんだ、ということもつくづく分かった。
そもそも、具合が悪すぎるとネットで調べる気力も体力もないし、長時間パソコンに向かうことができなかったりもする。考えてみれば当たり前のことだけど、脳脊髄液減少症の場合、患者本人が自分の病名にたどり着くのは、至難の業なんじゃないだろうか。

だからこそ、家族などがじっくりと話を聞いて、本当の原因がどこにあるのかを考えることは、すごく大事だ。具合が悪い状態が長く続いたり、今までに経験のない症状があったり、薬を飲んでも一向に回復しなかったり、異常なしと言われてもひどく体調が悪い時には、「思っているのと違う病気かもしれない」「薬が間違えているかもしれない」「何か他の病気が隠れているのかもしれない」と考えて、色々調べたり、別の診療科を受診したりした方がいいと思う。それでもなかなか診断が付かないかもしれないけど、諦めずに調べ続けて、可能性を一つずつ潰していくしかない。

それから、いつから具合が悪くなり、どんな症状が出て、どんな風に変わって、いま何が一番辛いのか、といったことをメモにまとめておくのも大事だと思う。病院で先生にじっくり話す時間が取れなかったり、長く話すことに遠慮があったり、病状をその場でしっかりと伝えられる自信がなくても、箇条書きでいいから書いておいて先生に渡せば、先生はそれを読んでくれる。

だからといって、それが必ずしも役立つとか、正しい診断につながるとは限らないけど、色んな病院に行く場合、何度も同じ説明を繰り返す億劫さからは解放されるし、まとめているうちに、自分が思っていたのと違う病気かもしれないと気づくかもしれない。

そして、病状をまとめるのは、できれば本人じゃなくて、周りの人の方がいいような気がする。本人の負担を軽減できるし、具合が悪い本人は、細かいことまであれこれ書きたくなってしまうから、どこが一番辛いのか、どんな症状がしんどいのか、どんな時にその症状が強くなるのか、などと聴きながらまとめれば、意外と周りの人の方が何科を受診したらいいか、適切に判断できるかもしれない。

確実なことは一つも言えないけど、もし今、大変な思いをしていて、原因が分からないという人がいたら、少しでもヒントになればいいと思う。


〈続く〉

コメント (2)
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