先日の
愛媛の田舎への旅での話です
晩の食事を頂いたあと
その家の主のMさんを囲んで
皆で
あれやこれやと話していました
「それは違う!」と
眠い目がさめる話が
突然出てきました
それは六十年近く前の
田舎でのこと
四人の子供たちで
遊んでいました
Mさんが
小さな小屋に入った時
子供らしく悪戯で
表にいたWさんが
戸の下のスキ間から竹で
突きました
それがMさんの足の指に刺さって
出血の大騒ぎになりました
閉じた小屋の中にいたのに
Mさんは何故か
竹で突いたのは
わたしの兄だと言っていました
それから五十年後
入院の兄を
遠く愛媛から神戸の病院へ
Mさんが
見舞いに訪れてくれた折
子供の頃に竹で足を怪我した
話も出たとか
そしてこの間の
秋の晩に話は戻って
Mさんはこう続けました
「今まで竹で突いたのは
自分ではない、と何度も言うとったけど
やっと
ワシがやった、と認めた」と
まぁ昔懐かしい思い出話の
ひとつとして出た話でしたが
「それは違う!」と
わたしは即座に言いました
「わたしは
その時そこに居て
ハッキリ見て覚えています
竹で突いたのは兄ではありません
もう一人の人です」と
このコトに関しての話は
もうそこで終わりました
では何故
兄は病院のベッドで
「自分がやった」と
ウソの白状をしたのか
彼らしいです
「もう死んでいくのに
あいつがやったとか言う事もない
そんな事くらい
オレが被って天国へ持っていこう」
との思いだったと解ります
田舎で兄に対する誤解を
偶然にも
弁護できて良かったと思いました
本日は
ただそれだけです
トボトボ