さぁ。現金を手に入れることが出来た青年は、翌日 早速仕事の合間に
競艇初体験をすべく、券売り場に並ぼうとしました。
しかしながら どこの売り場も行列になっており
仕事中に 並んでまで券を買っている余裕も無かったので どうしたものか・・・
と考えていると
全く列になっていない売り場を発見
ようし。ここで買おう。と行列から遠ざかり、空いている券売り場へ。
もちろん、どの選手が 早いだの強いだの 知る訳も無く
適当に選んで注文。
青年は 1000円札を出し、一枚の券とおつりを貰おうと待っていたのですが
どうぞ と差し出されたのは 一枚の券のみ。
慌てて “すいません、おつりください”
と言うと “おつりそんなものはないよ。ここは特券売り場だからね。一枚1000だからちょうどだよ”
そそそんなぁ・・・・
当時は 『ニコヨン』と言われた時代。
いまで言う ハローワークのようなところへ行くと 役所からの日雇いの仕事がもらえるのですが
1日働くと 240円がもらえることから ニコヨン と呼ばれていたのだそうです。
そんな貴重な1000円を たった一度の賭け事の為に使ってしまうなんて・・・
それならば 券を返すから 現金を戻してくれ といったものの
それもダメだと断られ、 人生初のお金を賭けての競艇観戦は レースが始まる前から
ガックリし通しな 青年なのでありました・・・
つづく