しののめの日本海、島根半島が蜃気楼のようにかすんで見える。
朝の陽をうけて、淡いさくら色に耀く沖合には、五・六隻の白い舟が海鳥のように浮かんでいる。
そのなかを、一隻の漁船が白波をたてながら沖合へと消えて行く。
近くでは、ワカメりょうをする海人たちの桶が、大きな口をあけ“ゆったり、ゆったり”浮かび、海鳥がよりそうように泳いでいる。
“サァサァサァ~、サァサァサァ~、サァサァサァ~”岸辺に波が囁くように寄せ、シャボンのような泡を立て戯れている。
大震災以来、くらい話題ばかりの日々。
こんなに穏やかで平穏な朝を、被災された方々と分かちあうことができたらどんなに心が安らぐことだろう。