名瀬行きの「フェリーきかい」の出港を早朝に見ることが できた。
夜、湾の港に船が到着したのは経験したが、日の出と共に出港するのを見たのは初めてだ。
50年前に名瀬港を出る時は、別れのテープを桟橋と船にいる客と結んで、「蛍の光」に見送られて「ボーー」という汽笛とともに桟橋からゆっくりと離れて行ったものだ。そんな時母の涙が今でも脳裏に焼きついている。
今日の出港は、汽笛も無く、テープも無く、すーーっとゆっくり岸壁を離れていく「フェリーきかい」の姿に時代を感じた。
「フェリーきかい」が沖へ出て奄美に進路を変えた時、ふと彼方をみると、船を見送るように入道雲にかすかな虹が掛かっていた。
創世記 9: 13
「すなわち、わたしは雲の中にわたしの虹を置く。これはわたしと大地の間に立てた契約のしるしとなる。」
飛行機がストのため欠航、当日夕刻7時名瀬発喜界島行きの船に乗り換えた。
約2時間の船旅久しぶりに満喫した。キャビンに荷物を置き、名瀬港を出港する時から喜界島に着くまで、ずーっとデッキの一番上に上がって中学生たちと一緒に潮風に当たりながら夕日を眺めていた。
名瀬港入り口にある「立神」は、上京した時に船から眺めて以来50年振りだ。ちっとも変わっていなかった。昔のままだった。
アヤマル岬の灯台の前を通り過ぎる頃、水平線のかなたに喜界島小野津の「トンビ岬灯台」の灯りがかすかに見えた。灯台によって灯りの強さと点滅の時間が異なるようだ。
9時過ぎに湾のハイキ岬の灯台を見ながら喜界港に入港、下船後、教会まで約20分の夜道を歩いた。
ほとんどの人が車を利用し、夜道を歩いている人はいなかったが、僕の他に一人友人が歩いていたので追いつき、話しながら教会の近くまで歩いて分かれた。
久しぶりの船旅、話しながらの夜道、懐かしい時を過ごした。
詩編 107: 23 「彼らは、海に船を出し、大海を渡って商う者となった。」