魚を大事にしない日本人シリーズ R1-5
ROUND1 江戸前から繋がる世界の海 Part1東京湾には世界の魚が集まる?
東京湾には内湾と外湾があるのをご存じですか?
東京湾は、神奈川・観音崎から千葉・富津岬を結ぶ以北の海域を「東京湾内湾」、同じく神奈川・剣崎(城ケ島の東)と千葉・洲崎(館山の西)のラインから前述の内湾までの海域(浦賀水道)を「東京湾外湾」に区別します。内湾は遠浅のイメージのように平均水深が15m、外湾は114m(最深900m)あって深海鮫がウヨウヨするなど、同じ東京湾でも内湾と外湾では全く環境や魚の生息自体が違います。
国内の漁獲量572万トン(2004年)に対し、東京湾は5万トンとはいえ豊富な漁獲量です。半分が養殖海苔、残りが浅蜊・穴子・鰈(かれい)・鱸(すずき)などです。S40年代の高度成長期には、東京湾岸に次々と石油プラントやコンクリート堤防が作られ、工場からは生活排水が流れ込み、当時は“死の海”と言われていました。
60の河川が流れ込み、工場や各家庭からの生活排水の減量や浄化など、エコ生活と環境への意識を高めることが東京湾を綺麗にする決め手です。汚濁はだいぶ改善されたとはいえ、東京湾で獲れる魚はまだまだ不安が残ります。世界の海から、数々の魚介類が日本に運ばれてきます。東京湾を経由して食卓に上がる魚は、“現代版”の「江戸前」ではないでしょうか(少々、こじつけがキツイ?)。