医療費控除(還付申告)シリーズ10 国税庁HPで作る確定申告書
Part2/医療費控除の対象編1
■医療費控除が認められる多くの費目を具体的に示して下さい!
入院費・治療費・出産費/医療費控除が認められる範囲1
医療費や薬代ならどんなものでも認められる訳ではありません
■医療費控除が認められる基準を把握しましょう
ここからは、「Part2/医療費控除の対象編」です。控除の対象になる医療費について、説明します。医療や薬に関する費用なら、何でもOKという訳ではありません。医療費の控除には、認められる一定の基準があります。
①入院費・治療費 ②出産費 ③通院費・交通費 ④歯治療費・買い薬 ⑤人間ドック・鍼灸・介護費~このようなケースを3回に渡り、どんな医療費が認められて、どんなものがダメなのかをリストアップしていきます。
■直接・間接の治療はOK、健康促進・病気予防はNG
医療費の控除が認められる、大枠の考え方をご案内します。一般的にみて、手術代・入院費・治療薬など病院で支払った費用などは、概ね対象であることは理解できます。しかし健康促進・病気予防・美容目的は、認められません。
また医療関係費用の対象が同じでも、認められる場合と認められない場合があるのです。例えばタクシーは緊急時ならOKでも、通院を楽にするための乗車はNGです。買い薬(買い薬も対象になりますよ)は、風邪など病気を直すために買ったものはOKでも、予防に買ったものはNGです。
[そっとアドバイス] 状況によっても、控除が認められるか否かが変わります。直接の医療行為に値するか、治療目的か、交通費は緊急性など、概ねの判断はできると思います。当ページ以降の具体的な例を眺めていくと、大体の基準や範囲が分かってくるかと存じます。
■Q.診療・治療のどんなものが対象になるのですか?
病院・診療所での手術・入院・治療など基本的医療は、医療費控除が認められるのは当然です。病院などで出される医療品の他、入院中に出される食事費用も認められます。
しかし入院のための身の回り費用や、自己の都合による差額ベッド代は認められません。但し病院側の都合(普通部屋の空きがない場合など)で、差額ベッドの部屋を一般料金として使用する場合は、当然、普通の入院費用として控除の対象です。このように控除対象の基本は、医療として直接必要なものです。
・治療費、診療費、入院費 ・治療、診療に必要な医薬品
・入院の部屋代、食事費用 ・医師の指示による差額ベッドを一般料金で使用した場合(*上記参照)
・往診に伴う医師等の送迎費 ・出産、分娩費(※次項参照)
・6か月以上寝たきりでおむつを使うことが認められた場合(おむつ使用証明書添付)
・自己都合の差額ベッド(*上記説明) ・医師などへの謝礼金
・入院のための身の回り費用、入院中のTV、レンタル品
・人間ドック(*ケースにより認められることもあり、後号参照・下記リンク)
・予防接種代 ・美容整形費用~本来の医療ではないので認められません。
人間ドック・鍼灸・介護/医療費控除が認められる範囲3
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
■Q.出産費用はどんなものが対象になるのですか?
出産時の他、妊娠中・出産後も直接出産に係わる費用が対象
「出産時」だけでなく、妊娠中あるいは出産後の定期健診なども対象の範囲です。しかし里帰りの費用、マタニティドレス代・出産に関する育児本や育児代などは含まれません。
[そっとアドバイス] 出産育児一時金の支給金額や支給方法もご注意下さい。本人へ直接42万円+αが給付されるのではなく、原則、健保・国保から当該病院へ振り替られます。但し地方自治体、病院によって異なるため、事前に確認しましょう。一般的に、この直接支払制度との差額のみを病院窓口で払うことが多いのですが、申告上はその分が「支払った医療費」の扱いです。
出産は自治体から約42万円+αが支給されるのでお金の心配はだいぶ軽減される
▽
妊娠中の費用
・妊娠中の定期健診費用、その交通費 ・助産師に支払った費用
・流産(*妊娠中絶含む~上記のリンク参照) ・不妊症の治療
・人工受精の費用
・里帰り費用 ・胎児教育、無痛分娩などの受講料
・マタニティドレス代 ・妊娠中の栄養補給のビタミン剤
▽
出産時、出産後の費用
・分娩費用、入院費用 (*同じく、上記リンク参照)
・出産のためのタクシー代
・助産師に支払った費用、交通費、食事代
・出産後の定期健診費用、その交通費
・異常分娩、流産などの入院費用 (*同上記リンク参照)
・出産時の寝間着、身の回り品 ・乳幼児のおむつ、育児用品
・ガーゼ、脱脂綿、洗浄器 ・出産に関する育児本、ビデオ
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
当内容以外の医療費控除の対象項目をさらにお知りになりたい方は
下記の書籍をお勧めします(既出)。
「医療費控除のすべてがわかる本」 監修者 藤本清一 税務研究会出版局
このほかの記事をご覧になりたい方は、タイトル下の「医療費控除(還付申告)」を
クリック願います。そして、冒頭ページのリンクインデックスからお移り下さい。