食品のカラクリシリーズ
駅そば/麺穀類
日本全国の美味しい駅そばを追い求める「そば鉄」レポーターもいる
美味しい店・店の実力が分かるのは何といっても「たぬきそば」
ご家庭で作った、たぬきときつねが合体した「たぬきつねそば」/フリー素材
■駅そばの液(つゆ)の相違、白ネギ・青ネギの分岐駅はどこでしょう?
過日、PC作業をしながらたまたま聴いていた、パソコンで聴くNHKネットラジオ
「ラジル★ラジル」からの「駅そば」談のご紹介です。ラーメンレポーターはごまんといますが、ひたすら全国の美味しい「駅そば」を追い求めるレポーターが存在することを知りました。“乗り鉄・撮り鉄”など様々な鉄道ファンがいても、「そば鉄?」はこのお一人だけかも知れません。ラジオにゲスト出演していたのは、鈴木弘毅さんです。美味しい駅そばを求め、東京・大阪はもちろん、北海道から九州のローカル線の駅まで旅に出ます。私はこの美味しい話に引き付けられ、図書館から著者本を借りてきました。ラジオのトークと合わせて、その内容をご紹介します。出発進行!
東日本と西日本の文化・生活・食べ物の相違境界線が、よく岐阜・関ヶ原辺りと聞きます。もちろん駅そばの液(つゆ)やネギにも、「分岐駅」があります。東日本の濃口醤油・西日本の薄口醤油を使う店は、やはり関ヶ原(東海道本線)を境にハッキリ分かれます。北陸本線では、富山駅です。駅そばも市内の蕎麦店でも関東風・関西風が混在し、その他の食材も含めて東西の食文化がぶつかる地域と言えそうです。関西本線では、木曽三川が流れる愛知・三重県境辺りです。次に東日本の白ネギ・西日本の青ネギの境界駅は、東海道本線は意外や関東に近く熱海・三島間、北陸本線は石川・福井県境です。
■鈴木弘毅著「全国駅そば名店100選」から一部の店を紹介
全国には、どんな駅そばがあるのでしょうか? ただ、天婦羅・かき揚げ・月見・山菜そばはどこでもあるので、ここでは敢えて奇想天外?の駅そばをご紹介しましょう!
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北海道】 遠軽駅「あいがもそば」、苫小牧駅「ホッキそば」(北寄貝)
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東北】 本八戸駅「煎餅そば」、久慈駅「まめぶそば」(胡桃と黒砂糖の団子)、山形駅「いも煮そば」
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関東】 水戸駅「納豆そば」、南浦和駅「三元豚のカツそば」、東京駅「カツ煮そば」、立川駅「おでんそば」、小田原駅「梅そば」、我孫子駅「唐揚げそば」(巨大からあげ2個)
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甲信越・東海・北陸】 新潟駅「のりそば」(丼一面に乾燥海苔)、熱海駅「黒はんぺんそば」、篠ノ井駅「野沢菜わさび昆布そば」、名古屋駅「名古屋コーチンそば」
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近畿】 京都駅「しっぽくそば」、新大阪駅「明石焼き/たこ焼きのそば」、近鉄・大阪阿部野橋駅「紅白うどんそば」(一杯の丼にうどんと蕎麦の組合せ)
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中国・四国・九州】 備後矢野駅「福縁せんそば」(三色餅)、出雲市駅「三色割子そば」(とろろ芋・うずらの卵・大根おろし~別々の小さな容器・三段重ね)、下関駅「ふく天そば」(フグ)、鳥栖駅「あすぱら天そば」(アスパラのかき揚げ)、熊本駅「火の国そば」(馬肉・辛し蓮根) ※一部を除き、JR駅
100選のうち、ホンノ少しの紹介でした。著書には店名・駅内外の具体的な位置・蕎麦の写真・美味しさのポイントが詳しく書かれています。関心のある方は、ご覧下さい。
「全国駅そば名店100選」 鈴木弘毅著、洋泉社、207ページ、880円+税
■今や駅そばはホームから消えつつある?その理由は
初めて行った店で店の実力が分かるのが、「たぬきそば」(東日本のたぬきは、天かす・揚げ玉)だそうです。普通、天婦羅そばと思いがちですが、安いたぬきでもけっして手を抜かない店の姿勢なら、天婦羅やその他何を食べても美味しいという理屈です。2,000店以上の駅そばを食べ尽くした、鈴木氏の言葉に説得力がありますね。同じチェーン店であっても気を付けることは、駅が違えば味や美味しさが違う点です。中小回転寿司チェーンの体質に近く、元々は別個の店だったものを、資本力で看板を統一しただけなのです。それぞれの駅ではお客や従業員が長く続いているので、そう簡単に味まで揃える(変える)ことは難しいようです。
私などは乗り継ぎの合間に、寒い風が吹きさらすホームで掻き込むように食べたものです。その駅そばは、段々、ホームから消え、改札外のコンコースや待合室周辺に移動しつつあります。理由は、・ホームに店があるとホームが狭くなりラッシュ時などは危険 ・食の安全意識が高まり人がごった返すホームでは不衛生 ・皮肉なことにダイヤが整備され乗換えの待ち時間が短くホームでの需要が減った ・ローカル駅では乗降客自体がかなり減っている ・逆に人口が多い地域では駅外にあったほうが一般客も利用できるなどです。私は、ホームにあってこそ駅そばと考えますが、収益性・利便性を考えると、ますます「駅“外”そば」になりつつあります。
■一般の駅そば・街の立ち食いそばは化学調味料出汁・中国産のそば
ところで、あるラーメンレポーターは生涯2万食を食べたと豪語し、50代・60代前半で亡くなる方が相次いでいます。一方、そばはラーメンほど過剰な油脂はなくても、塩分の摂り過ぎが気になります。ここからは、一般的に見た駅そばや立ち食いそば店の液や麺の品質問題です。鈴木氏が推薦する店は、しっかり鰹節・煮干し・昆布などから取った出汁を使っているのでしょう。しかし安さだけの店は、業務用の麺液出汁です。ベースの醤油は「新式醸造しょうゆ」と呼び、発酵させておらず、糖分・化学調味料・着色料・香料を混ぜ合わせた言わばシロップです。合わせる出汁も、同じような成分です。麺は中国産で、リン酸塩が多く含まれカルシウムを吸収させにくくします。そば食は栄養素が乏しく、トータルな食生活では好ましくないでしょう。
市販の液体出汁・顆粒出汁や業務用麺つゆは化学調味料の味
生麺は不健康食、石油系溶剤の保水剤や過剰な塩分が添加
※業務用液出汁・麺の酷さ