ベースがだいたい出来上がったので、駅舎などの建物の製作にとりかかった。画用紙を用意して、記録メモや写真から駅舎の原図を描き起こして上図のように正面図と側面図を仕上げた。
Nゲージのジオラマを作って楽しむ場合、駅もストラクチャーで販売されているキットを買って組み立てるケースが多いが、私の場合は実在の井川駅を再現するので、ズバリのストラクチャーが出ているわけはなく、自作するしか方法が無い。
駅以外の施設を作る時も、ホームとかトンネルとかは井川線独自の小さなサイズになるので、市販のストラクチャー類がそのまま使えない。多くは自作することになるかと思う。
画用紙に1/150スケールで原図よりトレースして図を描いた。これを切り取って折り曲げれば建物の形になるようにした。
切り取って、仮に組み立てた状態である。左より売店跡、駅舎、事務棟である。今回の井川駅のジオラマの建物はこの三つで全てであった。
仮組みしたものを再び展開して実物と同じような色のポスカやコピックペンで着彩し、戸口や窓などの輪郭線を極細ペンで描き起こした。
再び組み立てて、内部から接着剤を塗って固定した。
駅舎の庇部分はプラ板で作り、計6本の支柱は1ミリブラ丸棒で作って庇と同じ緑色に塗り、実物と同じように取り付けた。
建物が仕上がったので、その敷地部分のベースをグレー系のカラーで仕上げ塗りした。
ホーム部分も同じように仕上げ塗りした。カラーは駅舎敷地のグレーよりもやや濃いカラーにした。
続いて山裾部分の工作にとりかかった。グリーンマックスの2513番「石目模様 石垣B」をカットして自然石乱積みの部分を作った。
このように曲げてカットしてペース上にセットした。駅舎の改札口の斜め向かいの、井川駅の大きな駅名標が建つ区画である。このような自然石乱積みの部分はトンネルの北側にも擁壁として有るので、そちらの工作でも使った。
それ以外のコンクリートブロックの部分は、グリーンマックスの2514番、「石目模様 石垣C」を使用した。
上図のように張り出し部分も実際と同じように仕上げた。もとは雨などで山裾から土砂が線路敷に流れ込むのを防ぐための擁壁だったのだろうと思う。
続いて山裾の地表面を作ることにした。ダイソーで買ってきた上図の「超軽量工作ねんど」を使用した。パッケージに表示がなされていないが、紙粘土の軽量版であり、表面が紙と変わらないので、水性絵具での着彩も容易である。加えてジオラマ自体の軽量化をはかるには、これが一番だろうと考えている。
むしって薄く引き伸ばしたのを上図のように貼り付けていった。スタイロフォームにもよく馴染むので、地表面の起伏を自在に表すことが出来た。乾燥して固まるまでに二日ぐらいはかかるので、それまでに木を差して位置決めが出来るし、作り直しや追加盛り付けが出来る。100均の紙粘土だが、ジオラマへの適性は抜群で、これからも重宝すると思う。
次は岩肌および露岩の表現である。ダイソーの「カラーグラスサンド」を使用した。園芸用品コーナーにあるので、本来は鉢植え用の素材なのであろう。サイズやカラーがいくつかあるが、上図の品は一番小さなサイズにあたる。
トンネル横の擁壁をセットし、その下に露出する岩崖と地表面の露岩を「カラーグラスサンド」を積んだり並べたりして作った。地面が紙粘土なので、押し込めばそのままくっつくが、後でポロポロ外れても困るので、瞬間接着剤を流し込んで接着固定した。
続きのベースも並行して作っていった。紙粘土を薄く貼りつけた山裾が、積雪のように見えて面白かった。雪の景色を再現するのにも使えるな、と気付いた。
山裾の地表面は、再び水性塗料のクサカベのアキーラで塗った。ガルパンプラモデルの塗装用に購入して使っているものだが、Nゲージジオラマの製作にも応用出来るのは有り難かった。紙粘土で形成した地表面の塗装には最適の絵具である。
4色の絵具を使って上図のように塗った。ほとんど水彩画のタッチで進めたが、複数の色を混ぜ合わせているので発色は多彩となって、一種のグラデーション効果による地層面の表現も楽しめた。
上図には2本の木が見えるが、これらもダイソーの品である。3本入りで100円。最近のダイソーやセリアには、ジオラマ情景製作用の素材も色々売っているので、時々チェックしている。
塗り上がったのを、二日ほど置いて乾燥させた状態が上図である。アキーラは水性塗料ながらエマルション効果による油性塗料の性質も併せ持つため、塗っている時は半光沢になるが、乾燥させれば光沢が落ちて落ち着いた色になる。
こうして山裾の地表面が仕上がった。その上にジオラマ用の情景パウダーを撒き散らしてゆけば、草や芝などが作れるわけである。 (続く)