継続高校チームが重戦車KV-1を保有している事は、既に劇場版の時点で戦車道ニュースの記載に示されてプラウダ高校チームが異議申し立てを行った旨が綴られていましたが、最終章第4話にて上図の劇中車が初めて登場したことにより、その異議申し立てが通っていなかったことが分かりました。
ですが、もとはプラウダ高校チームの所有車輌であったことは、試合中の被弾で増加装甲が剥がれてプラウダ高校の校章マークが露わになった時点で確定しました。その直後のカチューシャ、ノンナ、クラーラらの会話にて、KV-1が継続高校の所有に帰した経緯が明らかになっています。
そのKV-1は、プラウダ高校チームが所有していた頃とは外見が異なっているようです。全体的にはフィンランド軍仕様に合わせてあります。砲塔左右側面のプラウダ高校の校章マークも増加装甲に覆われていますが、その増加装甲はKV-1Eのパーツの一部で、継続高校がKV-1Eタイプのフィンランド軍仕様に改造した経緯を伺わせます。
それで、劇中車の基本形はKV-1Eエクラナミなのだろうと推測し、劇場での初視聴後に中古ショップにて、他の劇中車のキットと併せてトランペッターの適応キットを買っておきました。当時のポストはこちら。
ですが、2023年11月のサークルの売買譲渡会にてAFV部会の大先輩の一人Sさんに「どうしてもトラペのエクラナミを作りたいので欲しい」と頼まれて売却したため、継続高校KV-1の製作もいったん後送りとなりました。
ですが、数日後にSさんより「トラペのキットを売ってくれたお礼に」と上図のタミヤ製品が送られてきました。2020年に発売された、タミヤのKV-1シリーズの最新のキットでした。
これは良いものを下さったな、と思いましたが、その後にサークルのガルパン仲間のT氏より教えてもらった3Dプリントパーツセットが、このタミヤ製品向けのものであることが分かり、驚かされました。上図のキットが、継続高校KV-1の再現製作における最適のキットに昇格したのですから、トランペッターのエクラナミを売却した苦渋の決断が、思わぬ幸運を呼び寄せた形だなあ、と思いました。
中身です。安心と安定のタミヤスタンダードです。一見して組み立て易そうだなと分かります。ですが、この時点ではこのキットのパーツのままでは、劇中車の足回りを作れない、という重大な事実に気付いていませんでした。
右が組み立てガイド、左が概要説明書です。以前に制作したタミヤの旧キットには、概要説明書は入ってなかったので、このキットがリニューアル後の新製品であることが実感出来ました。ただし、履帯パーツは苦手な連結式のほうになっていました。売却したトランペッターのキットがベルト式であったことを思い出し、あっちのほうが良かったかも、と一瞬思いました。
そして上図が、サークルのガルパン仲間のT氏より教えてもらった3Dプリントパーツセットです。通販サイトBOOTHにて「須田林戦車工廠」さんが販売している「KV-1Eフィンランド軍仕様コンバージョンキット」でした。当時はテスト販売版でしたが、2025年1月時点では正規版が入手可能でした。
ちなみに正規版のほうは、2025年1月にモケジョのマユコさんが購入したものを見せて貰う機会がありましたが、T氏や私が購入したテスト販売版と中身は同じで、一部のパーツの修正差し替えがある程度でした。
こちらは私がT氏と共に購入したテスト販売版の中身です。これを使えば労せずしてフィンランド軍仕様の劇中車を再現製作出来るというのですから、こういった3Dプリントパーツというのは今後はプラモデルの製作環境を大いに変えてゆく重要なアイテムとしてシェアを拡大していくのだろうな、と思いました。
既に海外では、プラモデル自体が3Dプリントパーツで構成される製品を開発販売するメーカーが幾つか出ていると聞きます。多くは中国のメーカーであるようで、日本でも買える代表的な製品が「手工坊老姚(Fortune Meow's Studio)」などのシリーズなどです。そのシリーズでも、B1bis、M3中戦車リー、マチルダⅡ、T60軽戦車、T34中戦車、T26軽戦車、T-7戦闘車などの、ガルパン戦車にも作れる幾つかのキットが出ています。
それらの多くはパーツ数が20個から30個程度になるらしく、組み立ても楽であると聞きます。それで、いずれ試しに1個買って、どんなものかを体験してみようかと思案しています。
こうした3Dプリントパーツセットを使うのは、今回が初めてでした。素材は20種類以上もあるそうで、プラ材よりは硬質かつ繊細であると聞きます。素材によっては細部の表現も綺麗に出るため、エッチングパーツよりも精巧な出来になるそうです。
例えば、戦車のハッチのハンドルとかは、従来は真鍮線などで再現していますが、そういう部分も細かく成形出来るのだ、と聞きます。既に海外メーカーの製品は技術的にも進んでいるそうで、躍進めざましい中国の新興メーカーを中心に数多くの3Dプリントパーツセットキットが出回っている、と聞かされました。
「いずれプラモは金型から3Dプリンターに変わっていって、もっと精密な3Dプリンタが開発されてさらに精巧なキットが出るようになるだろうから、俺たちもいっぺん使って勉強しとこうぜ」とのT氏の提案に、「なるほど、そうだな」と応じて手にとってみたものの、何をどう扱ってパーツとして使うのかが、最初は全く分かりませんでした。
パーツの中にはミリ単位の細かいものや薄いものもあって、壊さないように恐る恐るピンセットでつまんだりして、とにかく緊張の連続でした。キットに添えられていた説明書「光硬化式3Dプリンタのプリント品の取り扱いについて」を何度も読み、未知の素材の概要や特徴や使い方を少しずつ覚えていきました。
ガイドのほうにはパーツの内容と、そのサポート材の除去についての説明があり、それに従ってサポート材をニッパーやアートナイフで切り離していき、上図のように準備しました。
同時に、通販サイトBOOTHの「須田林戦車工廠」さんの説明文も読み、これから作るKV-1を劇中車に合わせて作る際に、上部転輪や転輪や誘導輪などの足回りの殆どのパーツがKV-2のそれを転用する必要がある、と知りました。この時点で、今回のタミヤキットのパーツのままでは、劇中車の足回りを作れない、という重大な事実に気付いたのでした。
それで、翌日の退勤後に京都ヨドバシへ立ち寄り、タミヤのKV-2(ミリタリーミニチュアシリーズNo.375)を買ってきて、その足回りの必要なパーツを転用する準備を整えました。
ステップ1では車体下部を組み立てます。ガイドの指示通りに進めますが、これに「KV-1Eフィンランド軍仕様コンバージョンキット」の3Dプリントパーツを取り付けるためのダボ穴を開ける作業が追加されます。
ステップ1で組み立てる車体下部のパーツです。
組み上がりました。
続けて、3Dプリントパーツを取り付けるためのダボ穴を左右側面に4ヶ所ずつ開けました。増加装甲の3Dプリントパーツを仮にあてて穴の位置を確認したうえで、裏側のダボ穴を目安にしてピンバイスで開口しました。 (続く)