去る8月21日、嫁さんと久し振りにショッピングおよび京都市内の模型店巡りに出かけました。その際にガチャ販売機コーナーを見かけて、話題の海洋堂「ゆるキャン」プラモケイの販売機があるのを確認しました。この日は5ヶ所のガチャ販売機コーナーを回りましたが、全てに海洋堂「ゆるキャン」プラモケイの販売機が置いてありました。最初に行った北大路イオンモールのガシャココのそれはカプセルが一杯詰まっていましたが、続く3ヶ所は既にかなり売れた後のようで、完売が間近の所もありました。
最後の5ヶ所目は、京都駅前ヨドバシへ寄ってのついでに行った、京都アバンティのガチャ販売機コーナーでした。そこで上図の販売機に向かい、500円を入れて試しに回してみました。出てきたのは犬山あおいでした。その場で嫁さんがカプセルを開けて、「わー、こんなんですか。ほんまにプラモがカプセルに入っとるんですねえ」と感心していました。
かねて夏以降に海洋堂の「アートプラ」シリーズ初のアニメキャラクター品としてゆるキャンのBOX版とキャンプセットが出る旨がアナウンスされていましたが、この8月下旬には第1弾のBOX版がカプセル販売版としてもリリースされました。全国各地のゆるキャンファンがガチャ販売機を探して買っている様子がツイッターでも投稿され、かなりの人気を集めていることが伺えました。
それで、いずれ私も買おうかと考えていると、嫁さんが「模型店巡りのついでにゆるキャンのガチャも探してみます?」と誘ってくれたのでした。ガチのモケジョさんだけに、新しいプラモが出ると何でもかんでも気になる、見たくなる、という嫁さんですから、見た事の無い500円のカプセル入りのプラモとはどんなものか、と興味津々だったようです。
さて、ガチャで買った1個目が犬山あおいでしたが、2個目と3個目は嫁さんが「ちょっとやらせて」と楽しそうに回して確保しました。大垣千明と志摩リンでした。あと1個で全4種コンプリートなるか、と意気込んで私が4個目を回して獲ると、またも犬山あおいでした。「なにやっとんですか?ほんま、運ないですねえ」とストレートに突っ込まれつつ、意地になって5個目に挑戦し、ようやく各務原なでしこをゲットしました。
その後、四条河原町の駿河屋とらしんばんに行き、近くのサイゼリヤで遅い昼食をとった際に、4種のカプセルを上図のように開封して二人で中身を見たりしました。嫁さんが「これで500円は安いですねえ」と三度も繰り返しました。
確かに500円は安いと思います。1/24スケールのキャラクターのフィギュアのプラモデルで500円というのは凄いんじゃないか、と感心してしまいます。
例えば、ガルパンの1/35スケールのフィギュアのプラモデル、プラッツの「1/35 あんこうチームフィギュアセット」は5人セットで定価7700円です。1体あたり1540円になります。対して今回の海洋堂「ゆるキャン」プラモケイは、1/35より大きい1/24スケールで、キャラクターフィギュアの他に、キャラクターの持ち物も入っています。さらに表情などのデカールも付属し、頭部のパーツは表情をプリントしたものが添えられています。かなり豪華な中身ですが、それで500円なのです。未塗装だから安いのだ、と言われたりしますが、ガルパンの「1/35 あんこうチームフィギュアセット」も未塗装のプラモデル製品です。
もともと、ゆるキャンにはあまり関心が無かった嫁さんが、唐突に「模型店巡りのついでにゆるキャンのガチャも探してみます?」と言い出したのも、ゆるキャンに関心が出たからではなく、500円のキャラクタープラモってホンマにあるの?、という疑問と好奇心からだったのだろうと思います。それぐらいに画期的な商品だ、というのは間違いありません。
中身はこういう感じで、球体のカプセルに収まるようにランナーも円形となっています。こんなプラモデル製品は初めて見た気がします。よく見ると、パーツ割りが必要最低限になっていて、接着剤を使わずに組み立てられるように工夫されています。それにもびっくりさせられました。
アニメのキャラクターのプラモデルは昔から色々出ていて、ガルパンでも「ぷちゅあらいず」のあんこうチーム5体のプラモデルが出ています。そのサイズは約12センチです。それぐらいのサイズでないと組み立て式のプラモデルにはならないだろうな、と思っていたのですが、今回の海洋堂「ゆるキャン」プラモケイは6センチちょっとの小ささです。そんな小さいサイズでも組み立て式のプラモデルになったんだ、との驚きがあります。
しかもカプセルトイとしての販売です。この発想が凄い、と思います。サークルの仲間でガチャに詳しい方に聞いた話によると、いまのカプセルトイつまりガチャ製品の年間売上高は約450億円にものぼるそうで、それ自体巨大なマーケットになっています。対してプラモデルの年間売上高は200億円に満たないそうなので、プラモデルをカプセルトイに合わせて開発して、ガチャ製品として販売して約450億円のマーケットにおける新規シェアを狙うのは有望だ、ということでした。
つまり、海洋堂さんがそこまで画策して今回の「ゆるキャン」プラモケイで勝負をかけてきたのかもしれない、ということですが、個人的には「アリだな」と感じます。そうでなくても、1/24スケールの人気アニメキャラクターのプラモデルをカプセルトイの形で中身も一杯詰めて500円という破格の安さで全国展開にて販売する、というのは従来のプラモデルの感覚では有り得ないと思われるので、やっぱり発想の転換というか、凄い着想である、と感じます。
同時に、プラモデルのカプセルトイとは、いい所に目をつけてきたなあ、という感動があります。500円ですから子供でも買えます。大人でも楽しめます。接着剤無しで簡単に組み立てられるのもポイントです。ゆるキャンファンならば当然買いまくる筈ですが、ファンでなくても買っちゃう層が一定数居るとされるガチャ製品の世界ですから、伸びしろは充分にあると思います。
今回の海洋堂「ゆるキャン」プラモケイ製品は、上図のような4人のフィギュアとそれぞれの持ち物とをプラモデルで再現しています。第1弾のカプセル販売版の4種の中身がこれであり、BOX版のほうは志摩リンの持ち物にバーナーとコッヘルセットが追加されています。海洋堂さんの製品紹介記事はこちら。
ファンの皆様ならよくお分かりでしょうが、この4人の姿は、テレビアニメ第1期の第4、5話のそれです。本栖高校野外活動サークルの初のキャンプ活動にのぞんでイーストウッドキャンプ場へ向かう大垣千明、犬山あおい、各務原なでしこの3人と、ソロキャンプを楽しむべく霧ヶ峰と高ボッチ山へ向かった志摩リンの姿です。
この第4、5話の時点では、まだ斉藤恵那はキャンプ活動に加わっていませんから、斉藤恵那のプラモデルは無いわけです。
そして10月に販売予定の第2弾のキャンプセットのほうは、テレビアニメ第1期の第12話、朝霧高原でのクリスマスキャンプのシーンを再現していますから、そちらでは参加していた斉藤恵那とチクワもプラモデル化されています。この流れで第3弾が出るのであれば、各務原桜や鳥羽美波や土岐綾乃も加えて欲しい、または劇場版の5人をプラモデル化して欲しい、となるのも自然な成り行きとなるでしょう。
さらに重要なポイントは、1/24というスケールサイズであることです。ゆるキャンは周知のようにバイクや車が色々と登場しますが、バイクや車のプラモデルは1/24スケールの製品も多いのです。合わせると、ジオラマが作れる楽しみが広がります。
例えば、志摩リンのビーノは、タミヤの「キャンパスフレンズセットⅡ」に同じ1/24のキットが含まれます。車では鳥羽美波のハスラーがフジミから1/24で発売されています。やっぱり鳥羽美波先生も「グビ姉セット」とかでプラモデル化して欲しいですね・・・。
劇場版の登場車輌ならば、各務原なでしこのジムニー64型がフジミより1/24で発売予定であるほか、大垣千明のマーチ、斉藤恵那のアバルト595もフジミから1/24で出ています。
このように、海洋堂「ゆるキャン」プラモケイ製品は、バイクや車のプラモデルとも相性が良いです。海洋堂さんもそこを狙ってのカプセルトイ販売であったのかもしれませんが、いずれにしても他のプラモデル製品とも組み合わせて楽しめるようになっているのは間違いありません。
いずれにしても、今後の展開が楽しみな新境地のプラモデル製品である、と思います。海洋堂さんの次の一手、つまり第3弾が実現するのかどうか、期待せずにゆるーくまったりと待ちたいと思う次第です。 (続く)
これは型はシリコンかそれに準ずるもので、レジンで複製されています。
シリコン型は簡単に作れる反面そんなに複製が作れません。どんなにがんばっても50個も作ったら型がだめになります。
その都度型を作らないといけないので複製品にはその型代がそれなりの比率で乗っかります。
レジンも通常のプラモデルで使用するスチロール樹脂に比べると高いものになりますのであのような価格になるのでしょう。(原価率はわかりませんけど)
>「ゆるキャン」プラモケイ
対してこちらは通常のプラモデルの生産プロセスを使用していると思われます。
型は金属型でキャラ1つにつき1つの金型で製作しているのではないかと思います。
この場合、型費は100万円程度になりますが、この金型で作ると1万個ぐらいは作れます。
そうなると販売価格に対する型費は100円かそれ以下になります。
あとは通常のプラモデルで必須の箱がいりません。
これもダンボールの型費やら印刷の版代がかかりますのでそれが省略できるのもあるのでしょう。
カプセルは海洋堂の他のカプセルトイ等と同じものを使用しているので原価としてはさほど高くはないと思われます。
>頭部のパーツは表情をプリントしたものが添えられています
デカールだけではなくてこれも付いているのであるなら原価率は高いんでしょうね。
そうなると薄利多売をすることになりますからそれなりの数が出ないとペイできないと思います。
1/24のスケールはおっしゃる通り車等とを組み合わせる場合にすでに存在するキットを当てにすればキャラクタのみに注力できるからですね。
>第3弾が実現するのかどうか
1,2弾の売れ行き次第でしょうか.....
なるほどシリコン型でしたか。ならば高くつくわけです。詳細にわたる解説に感謝です。
>必須の箱がいりません
カプセル販売版の他に箱入りのボックス版も出るんですよ。第2弾以降はカプセルではないので、箱とかパッケージの費用が加わるでしょう。
>第3弾
既にアナウンスされています。初期キービジュアルの志摩リン&ビーノが発売される予定です。海洋堂さんも本格的にブームに乗っかる気のようです。この勢いで第4弾を出してくれるかな、と期待せずに待っています。